電力の小売営業ルール改訂、非化石証書の環境価値で訴求可能、しかし電源構成に影響せず
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一般社団法人エネルギー情報センター

6月8日、経済産業省は平成28年に制定された「電力の小売営業に関する指針」を改訂したと発表しました。非化石証書による環境価値の表示などに対応したものであり、加えて2017年1月に制定された「ガスの小売営業に関する指針」を参考にした修正が行われています。
電力の小売営業ルール、3度目の改訂
2016年4月1日、第2弾の改正電気事業法が施行され、これまでは基本的に特別高圧・高圧部門のみ自由化されていた電力小売が、低圧部門を含めて全面自由化されることとなりました。この小売の全面自由化に伴い、様々な事業者が電気事業に参入することとなりましたが、そのことを踏まえ「電力の小売営業に関する指針」が制定されています。
この指針は、需要家の利益の保護や電気事業の健全な発達を図る上で望ましい行為や、電気事業法上問題となる行為などが示されています。内容としては、①需要家への適切な情報提供、②営業・契約形態の適正化、③契約内容の適正化、④苦情・問合せへの対応の適正化、⑤契約の解除手続といった各項目について説明がなされています。
指針が最初に制定されたのは全面自由化の始まる前の2016年1月であり(関連記事)、同年7月には小売全面自由化前後の状況等を踏まえた改定が行われています。そして今回、①非化石証書の購入による環境価値の表示への対応、②電気の需要家保護のさらなる充実などのため、2017年6月8日に3度目の改訂が実施されました。また、改訂内容の一部は、2017年1月に制定された「ガスの小売営業に関する指針」が参考にされています(関連記事)。
非化石証書の環境価値で訴求可能
平成29年度開始の非化石価値取引市場について、非化石証書を購入したとしても小売電気事業者の電源構成には影響しません。それは、証書が持つ非化石価値は「小売供給を行うために発電・調達する電気」に関する電源構成そのものとは異なること等が理由となっています。
そのため、再生可能エネルギー指定の非化石証書を購入したことを理由として、「再生可能エネルギー電気を100%発電・調達している」と表示することは問題となります。実際に小売供給を行うために再生可能エネルギー電気を発電・調達していると需要家の誤認を招く懸念があるためです。
ただし、「再生可能エネルギー指定の非化石証書の購入により、実質的に、再生可能エネルギー電気△△%の調達を実現している」などと訴求することは可能です。また、証書が再エネ指定ではない場合でも、「非化石証書の購入により、実質的に、二酸化炭素排出量がゼロの電源(いわゆる「CO2ゼロエミッション電源」)△△%の調達を実現している」といった表示も可能です。つまり、例えば実際の電源構成の表示を併せて行うなど、証書の環境価値と、小売供給に係る電源構成が異なることの誤認を招かない表示であれば問題になりません(図1)。

図1 電源構成等の算定や開示を行う場合の具体例 出典:経済産業省
非化石証書について
非化石証書は、再生可能エネルギーなどに由来する電気の非化石価値を顕在化し、取引を可能にするため当該非化石価値を化体した証書です。再生可能エネルギー由来の非化石証書については「再生可能エネルギー指定」の非化石証書として販売することが可能です。証書の持つ環境価値としては、①非化石価値のほか、②CO2ゼロエミッション価値や、③環境表示価値が主なものとしてあります(図2)。
非化石証書の他にも、環境価値を証書のような形でやりとりする既存制度はいくつか存在します。電気の持つ環境価値を取引するものとしては、Jクレジット、グリーン電力CO2削減相当量認証制度が挙げられます。

図2 証書のメニューとそれぞれの持つ環境価値 出典:経済産業省
今回の指針改定では、非化石証書の部分以外にも多岐にわたる改訂が行われており、例えば「契約変更の際の説明」が挙げられます。契約変更の際の説明について、軽微な変更以外の場合、例えば料金の値上げといった場合には、需要家が認識しやすい方法で伝達する必要があります。
このときに問題となる事例として、検針票・請求書の裏面に小さな文字(日本工業規格Z8305に規定する8ポイント未満の文字)で当該変更しようとする事項を記載するだけの方法が挙げられ、これでは十分な「説明」とはなりません。
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