固定価格買取制度におけるプレミアム単価(FIT価格+α)買取支援について

電力システム改革により電力の小売全面自由化が実施され、エネルギー業界においては様々な制度改革が行われました。その内の再エネ拡大についてはFITが大きな役割を果たしております。

そのFIT小売買取制度と計画値同時同量制度の整合性を図るための発電インバランス等に係る特例制度については、電力の小売全面自由化が実施された2016年代から「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会制度設計ワーキンググループ」にてより本格的に検討が行われてきました。

現状においては送配電事業者が、法律で定められた買取価格で買い取った再生可能エネルギー(FIT)電気を小売電気事業者へ引渡す方法は3つあり、原則としては卸電力取引市場を経由して小売に引き渡すこととなります。

その上で、例えば電源を特定した供給が必要となる場合等において、再生可能エネルギー電気卸供給約款に基づく送配電事業者と小売電気事業者との相対供給も可能となっています(図1)。

図1 引渡しの詳細(省令事項) 出典:経済産業省

固定価格買取制度(FIT)の売電単価上乗せによる採算性向上について

太陽光発電等の再エネ設備の採算性については、発電する電力を可能な限り高額で売電していく事で高めることが可能です。その点で、固定価格買取制度(FIT)を利用することで期間が限定されるものの、高額な水準で電力を売電することが可能となります。

原則として固定価格買取制度(FIT)の買取単価は各年で開催される「調達価格等算定委員会」にて適正な値が検討され、その単価に基づき再エネ発電は買取されていきます。FITの買取単価につきましては、資源エネルギー庁のHPをご確認ください。

ただし、発電事業者が小売電気事業者と特定卸供給契約を締結することで、通常のFITによる売電収益に追加で小売電気事業者から特定契約によるプレミアム α円/kWhの追加収益を得ることが可能となります(図2)。

小売電気事業者側は、インバランスの管理報酬と、小売需要家からの産地価値を得ることで「+α円/kWh」の追加報酬を発電事業者にお支払いが可能となりますが、一方でインバランスリスクを負います。そのため、基本的には財務面が強固かつ企業規模が一定以上で、再エネの需給管理に長けた小売電気事業者でないと対応が難しいこととなります。

また「特定卸供給」に関してはFIT買取分は引き続き一般送配電事業者となるため、FITで設定された単価以上の売電は国の制度によって保証されています。

本スキームによるメリットは、シンプルにFIT案件の売電収益性を高められる点です。FITを利用する側からすると、デメリットは発生しない制度設計となっておりメリットが際立つように見えますが、対応可能な小売電気事業者が非常に限定的である点が難点となります。

小売電気事業者側はインバランスの管理を高度に実行する必要性および需給調整リスクを負うため、費用対効果やシステム開発・修繕のほか人員の技術力等の観点からも、全ての再エネ案件で「+αの買取」を実行できることとはなりません。

またエリア毎で各小売電気事業者が受け入れられる容量もあるため、当該エリアの枠が多く空いていれば+α円のプレミアムを得られる可能性が高まりますが、枠が小さくなるほど対応不可となるケースが増えていきます。

図2 固定プレミアムα円(特定契約)の流れ

基本的には、発電事業者側に強いメリットがあり、小売電気事業者側の負担が目立つために、依頼の際には小売電気事業者側との調整が必要となってきます。

当センターでは、FIT制度を活用して売電している発電事業者様に対して、本スキームによって当該発電所の採算性を高めるご支援をしております。ご関心のある方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。