ガス自由化、小売営業に関する指針を経産省が発表

2017年01月30日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

ガス自由化、小売営業に関する指針を経産省が発表の写真

1月26日、経済産業省は「ガスの小売営業に関する指針」を制定しました。ガス小売事業者や、「媒介」、「取次ぎ」、「代理」といった事業者が営業活動を実施する際に問題となる行為や、もしくは望ましいとされる行為などが記載されたものとなります。

5つの項目を元にガス小売営業に関する指針を制定

経済産業省は、12月20日付けで電力・ガス取引監視等委員会から、「ガスの小売営業に関する指針」の制定について建議を受けたことを踏まえ、今回「ガスの小売営業に関する指針」を制定しました。同指針は、下記5つの項目について、望ましい行為や、反対にガス事業法上問題となる行為(業務改善命令又は業務改善勧告が発動される原因となり得る行為)などを示すものです。

  1. 需要家への適切な情報提供
  2. 営業・契約形態の適正化
  3. 契約内容の適正化
  4. 苦情・問合せへの対応の適正化
  5. 契約の解除手続等の適正化の各項目について

セット割引等におけるガス料金への配分額の明示は必要なし

料金請求の根拠となるガス使用量等の情報について、需要家が自ら把握することは困難です。そのため、請求された料金が正しいかどうかを需要家が判断できるようにする必要があります。例えば、請求書へ料金請求の根拠となるガス使用量等の情報を記載することや、もしくはウェブサイトでの閲覧を可能とする方法が挙げられます。

ガス単体ではなく、様々なサービス料金の請求が一緒になったセット販売の場合を見てみます。この場合も、ガス料金の額の算出方法については明示する必要があります。ただ、セット割引等のガス料金への配分金額については明記の必要はありません。これを常に明示するとすれば、「ガスと他の商品・役務のセットで毎月●●円割引」といった料金メニューの設定が困難となり、自由な商品開発の妨げになると考えられるためです。このため、セット割引等のガス料金への配分金額については、これを明示する必要まではないとされています(図1)。

セット販売の説明時における料金算定方法の明示の例

図1 セット販売の説明時における料金算定方法の明示の例 出典:経済産業省

セット販売、違約金期間のズレが生じる場合などは適切な説明が望ましい

需要家がセット商品の契約を解除し、別のガス小売事業者へ切り替えるケースを見てみます。この場合、当該セット商品に係る各契約の契約期間が個別に設定されていると、複数の契約の更新時期がズレる可能性が出てきます。つまり、複数の契約が同時に解除される可能性があり、そうすると常に違約金等が発生する事態が生じ得ます(図2)。

そのためガス小売事業者等は、セット販売に係る複数の契約を同時に解除する場合には常に違約金等が発生することについて、適切に説明することが望ましいとされています。また、そもそもの各契約期間を同じ期間に設定することや、もしくはセット販売の各契約のうち最も長期の契約期間の満了時には、違約金等の負担なく同時に解除できるようにすることが推奨されています。

セット販売における複数の契約の契約期間が異なる場合

図2 セット販売における複数の契約の契約期間が異なる場合 出典:経済産業省

小売ライセンスを所有していない事業者の指針

ガス小売事業において、基本的にはライセンスを所有していない場合は事業展開することができません。ただし、「媒介」、「取次ぎ」又は「代理」を行うことはガス事業法上許容されており、今後はこうした形でのビジネス参入も増えていくと想定されます。

まず、「媒介」、「取次ぎ」、「代理」について概要を見ていきます。「媒介」とは、ガス小売事業者と需要側の間に立って、小売供給契約の成立に尽力する行為のことです。「取次ぎ」とは、自己の名をもってガス小売事業者の計算において、小売供給契約をすることを引き受ける行為をいいます。「代理」とは、ガス小売事業者の名をもって、ガス小売事業者のために実施する意思表示を示し活動することです。またこれら事業者は、需要家に対する説明義務及び契約締結前・締結後の書面交付義務を負います。

ガス事業の媒介・取次・代理モデルについて

ガス事業の媒介・取次・代理モデルについて 出典:経済産業省

営業活動の際には、媒介等であることなどの説明が必要

ガス小売の全面自由化後、媒介・取次・代理業者による様々な営業活動(テレビCM、WEB広告、チラシ等)が予想されます。しかし、実際に小売供給を行うのはガス小売事業者であることから、その部分について需要家の誤解が生じるようなことは問題となります。そのため、媒介・取次・代理業者は、ガス小売事業者の名称を示したり、自己が行う行為は媒介等であること等について説明する義務が課されています。

なお、媒介・取次・代理業者によるテレビCMなどにおける説明等において、「自社のガスを供給している」旨の表示等を行う場合は、需要家の誤解や混乱を招く恐れがあります。そうすると、ガスの使用者の利益の保護に支障が生じるおそれがあるため問題となります。

媒介、取次、代理を業として行う者の営業活動の例

媒介、取次、代理を業として行う者の営業活動の例 出典:経済産業省

業務委託契約は可能、ただし小売事業者は自らガス供給すること等が必要

ガス事業を推進するにあたっては、供給能力の確保や需要家からの苦情・問合せへの対応、新たな同時同量制度への対応、消費機器に関する保安業務など、広範な業務を担う必要があります。そのため、それら業務の一部を専門の事業者に業務委託することは、当該ガス小売事業者の責任において許容されます。

なお、ガス小売事業者としての業務を委託する場合であっても、ガス事業法上、①ガス小売事業者が自ら需要家に対してガスの供給(小売供給)を行うこと、②ガス小売事業者又は卸売事業者が自らガス導管事業者と託送供給契約を締結することが、それぞれ必要です。

ガス小売事業者による業務委託モデル

ガス小売事業者による業務委託モデル 出典:経済産業省

今回、経済産業省が公表した指針は、様々な事業者がガス事業に参入することを踏まえ、関係事業者がガス事業法及びその関係法令を遵守するための指針を示すものです。また、関係事業者による自主的な取組を促す指針を示すものであります。これによって、ガスの需要家の保護の充実を図り、需要家が安心してガスの供給を受けられるようにするとともに、ガス事業の健全な発達に資することを目的としています。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

東京都キャップ&トレード制度、2020年度より第3期に突入、高まる低炭素電力への期待の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年12月18日

新電力ネット運営事務局

東京都キャップ&トレード制度、2020年度より第3期に突入、高まる低炭素電力への期待

キャップ&トレード制度は、都内CO2排出量の削減を目指し、オフィスビル等のエネルギー需要側にCO2排出削減を義務付ける制度です。同制度は現在、第2計画期間(2015年度~2019年度)に入っており、2020年度~2024年には第3期に突入します。本コラムでは、制度概要や、今後の動きについて見ていきます。

経産省とNEDO、世界初となる「水素閣僚会議」を東京で開催、Tokyo Statement(東京宣言)発表の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年11月08日

新電力ネット運営事務局

経産省とNEDO、世界初となる「水素閣僚会議」を東京で開催、Tokyo Statement(東京宣言)発表

10月23日、経済産業省及びNEDOの主催の下、世界で初めて閣僚レベルが水素社会の実現をメインテーマとして議論を交わす「水素閣僚会議」が東京において開催されました。その成果として「Tokyo Statement(東京宣言)」が示されました。

2019年11月以降のFIT満了に向けた取り組み、経産省が売電事業者の受付開始の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年10月25日

新電力ネット運営事務局

2019年11月以降のFIT満了に向けた取り組み、経産省が売電事業者の受付開始

余剰電力買取制度が始まった直後である2009年11月に適用を受けた住宅用太陽光発電設備は、買取期間が10年間のため、2019年11月以降順次、買取期間が満了を迎えます。経済産業省は、こうした電源を買い取る「売電事業者」の登録受付を開始しています。

FIT適用の太陽光パネルに蓄電池を増設するビジネス、今後は可能となる見込みの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年10月18日

新電力ネット運営事務局

FIT適用の太陽光パネルに蓄電池を増設するビジネス、今後は可能となる見込み

10月15日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会が開催されました。その中で、既認定案件による国民負担 の抑制に向けた対応について議論が行われました。

一般送配電事業者が開発を進める需給調整市場、事業者側で必要な対応とはの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年10月16日

新電力ネット運営事務局

一般送配電事業者が開発を進める需給調整市場、事業者側で必要な対応とは

現在、2021年4月の需給調整市場開設に向けて、一般送配電事業者を代表して東京電力PGおよび中部電力が共同で「需給調整市場システム」の開発を進めています。今回の記事では、「需給調整市場」について概要を整理します。