再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移
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再生可能エネルギー発電促進賦課金について
社会経済を支える重要インフラであるエネルギー需要は、世界規模で急速に増加しており、現状、約8割を海外からの輸入に頼っている日本では、エネルギー自給率の向上が大きな課題の一つとなっています。
そこで注目されているのが、日本の豊かな自然を生かして電気を生み出す「再生可能エネルギー」です。再生可能エネルギーの普及拡大を目指し、日本では2012年7月より「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」を開始しています。
FIT制度は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。この買取に要する費用負担は、電気を利用する国民全員から再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下、再エネ賦課金)という形で収集されています。
再エネ賦課金は、電気料金に上乗せされる形で、電力会社より各需要家に請求されます。なお、再エネ賦課金の単価は、年度ごとに国が全国一律で決定しており、全国全ての電力会社で同一の料金体系となっております。再エネ賦課金の推移については、下記表をご覧ください。
年度 | 買い取り単価 | 昨年度比 | 標準家庭の負担(300kWh/月) |
---|---|---|---|
2012年度 (2012年8月分~2013年3月分) |
0.22円/kWh | – | 年額792円、月額66円 |
2013年度 (2013年4月分~2014年4月分) |
0.35円/kWh | 0.13円(約60%)増 | 年額1260円、月額105円 |
2014年度 (2014年5月分~2015年4月分) |
0.75円/kWh | 0.4円(約115%)増 | 年額2700円、月額225円 |
2015年度 (2015年5月分~2016年4月分) |
1.58円/kWh | 0.83円(約110%)増 | 年額5688円、月額474円 |
2016年度 (2016年5月分~2017年4月分) |
2.25円/kWh | 0.67円(約42%)増 | 年額8100円、月額675円 |
2017年度 (2017年5月分~2018年4月分) |
2.64円/kWh | 0.39円(約17%)増 | 年額9504円、月額792円 |
2018年度 (2018年5月分~2019年4月分) |
2.90円/kWh | 0.26円(約10%)増 | 年額10440円、月額870円 |
2019年度 (2019年5月分~2020年4月分) |
2.95円/kWh | 0.05円(約2%)増 | 年額10620円、月額885円 |
2020年度 (2020年5月分~2021年4月分) |
2.98円/kWh | 0.03円(約1%)増 | 年額10728円、月額894円 |
2021年度 (2021年5月分~2022年4月分) |
3.36円/kWh | 0.38円(約13%)増 | 年額12096円、月額1008円 |
2022年度 (2022年5月分~2023年4月分) |
3.45円/kWh | 0.09円(約3%)増 | 年額12420円、月額1035円 |
2023年度 (2023年5月分~2024年4月分) |
1.40円/kWh | -2.05円(約59%)減 | 年額5040円、月額420円 |
2024年度 (2024年5月分~2025年4月分) |
3.49円/kWh | 2.09円(約149%)増 | 年額12564円、月額1047円 |
出典:経済産業省
減免制度について
電力多消費事業者の国際競争力の維持・強化の観点から、一定の基準を満たす事業所については、経済産業大臣の認定を受けることにより、賦課金の減免措置の適用を受けることができます。2016年9月28日公布の減免制度の政省令によって、製造業等8割、その他は4割の減免となります。
減免認定を受けるための要件
- 製造業においては電気の使用に係る原単位(売上高千円当たりの電気の使用量)が平均の8倍を超える事業を行う者、非製造業においては電気の使用に係る原単位が平均の14倍を超える事業を行う者(製造業、非製造業ともに5.6kWh/千円を超える必要あり)。
- 申請事業所の申請事業における電気使用量が年間100万kWhを超えること。
- 申請事業における電気使用量が申請事業所の電気使用量の過半を占めていること。
- 原単位の改善のための取組を行う者。
認定事業者に対して適⽤される減免率 出展:資源エネルギー庁
太陽光発電促進賦課金から再エネ賦課金への移行
日本はかつて再エネ大国であり、日本のエネルギー自給率は1950年代に58%の水準を達成、その大部分を水力が占めていました。日本における本格的な再エネの取り組みが始まったのは、オイルショックを皮切りに1974年に国家プロジェクトとして進められた「サンシャイン計画」でした。
その後、日本では数多くの再エネ普及策が推し進められ、2004年には太陽光発電の累積導入量で世界一という実績を打ち立てました。
ただし、2000年代も半ばを過ぎると、環境問題への注目の高まりもあって、世界各国の再エネ技術開発や導入拡大の取り組みが加速していき、日本も相対的により高度な対応が求められるようになりました。
2012年から始まったFIT法はその対策の一つであり、その前身といえる制度に「太陽光発電の余剰電力買取制度」があります。2009年11月1日から始まった太陽光発電の余剰電力買取制度は、「低炭素社会の実現」に向けて、「エネルギー供給構造高度化法」にもとづき制定されました。
「太陽光発電の余剰電力買取制度」は、「国民の全員参加」により太陽光発電の普及拡大を目指すものであり、太陽光発電システムによって作られた電力のうち、使われずに余った余剰電力を、法令で定める条件により電力会社が買取するものです(水力、バイオマス、地熱は対象外)。
電力会社が余剰電力の買取に要した費用は、低炭素社会の実現という観点から、2010年4月1日以降、「太陽光発電促進付加金」として、電気を使用する全ての需要家が負担することとなりました。
しかし、太陽光発電促進付加金については、2012年7月より「FIT制度」に移行したことで、再エネ賦課金に統一されました。そのため、2014年9月分の請求をもって、太陽光発電促進付加金は適用終了となりました。