企業活動のCO2削減、非化石価値の調達代行サービス受付について

脱炭素社会やSDGsなど、地球環境改善に取り組む日本にとって、企業経営における非化石化(CO2削減)は切っても切り離せない制度です。非化石化への理解を深め、企業としてのPR活動・顧客への新サービス提供などへ役立てましょう。

本記事では、非化石証書の調達をベースとして制度設計の概要や、購入のメリットや注意点について解説します。購入時の流れについても解説しているので、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

また、非化石価値の導入をご検討中の企業様等におかましては、無料相談を受け付けておりますのでお気軽にお問合せ下さい。

そもそも非化石とはなに?

非化石とは、化石燃料(石油や石炭など)以外のエネルギー源です。温室効果ガス(CO2など)を削減し、地球環境改善に役立てるためのエネルギー源として活用されます。たとえば、以下のような発電方法が非化石として扱われています。

非化石の例

  1. 太陽光発電
  2. 太陽熱発電
  3. 風力発電
  4. 地熱発電
  5. バイオマス発電

上記のように、化石燃料を使わず、温室効果ガスを排出しないエネルギー源が非化石です。

非化石証書について

非化石証書とは、非化石を活用した発電方法であることを証明し、電気に再生可能エネルギー由来としての価値を与える証明書です。たとえば、金や宝石などは見た目・希少性などから「高い価値がある」と判断され、現物を取引します。

しかし、非化石電源により作り出される電気は目に見えず、そのままの状態では化石燃料により作り出される電気と同じ価値です。そのため、非化石による発電は「地球環境に貢献できる価値(環境価値)」が付加され、証明書として可視化されています。

非化石証書はJPEXとの取引がある企業によって購入されており、購入した需要家はCO2排出の削減に貢献しているとみなされます。つまり、非化石証書はCO2フリー化の支援サービスの一環であり、購入した需要家は地球環境へ配慮していることをアピールすることが可能です。

非化石証書が導入される背景

非化石証書が導入される主な背景は、地球温暖化の原因となるCO2削減に向けた取り組みによるものです。世界的にCO2排出の少ないエネルギー源(非化石電源)が求められており、日本でも高度化法(非化石電源を促進させる法律)が定められました。この法律により、小売電気事業者は2030年までに非化石電源比率44%を達成する必要があります。

しかし、電気は目に見えるものではないので、小売電気事業者は非化石電源だけを選んで電気を調達できません。そのため、新しい取引市場として「非化石価値取引所」が創設され、その後非化石電源であることを証明する非化石証書が導入されました。

非化石証書があれば、証書の購入分だけCO2の排出を抑えたとみなされます。非化石証書は、地球環境改善の促進を主な目的として取引されています。

非化石証書の制度の開始時期

日本における非化石証書の制度開始は2018年5月からです。取引はオークション形式で行われ、当初は電力会社・小売電気事業者の間で取引されていました。

初回のオークションでは「FIT非化石証書(再エネ指定)」の購入が行われました。2020年以降は、「非FIT非化石証書(再エネ指定)」「非FIT非化石証書(指定なし)」などが購入されています。さらに、2021年11月に制度変更があり、現在ではJPEXとの取引がある企業(電気を使う側)による購入も可能です。

非化石証書(CO2フリー化の支援サービス)の種類

非化石証書(CO2フリー化の支援サービス)には、大別すると以下3つの種類があります。

<非化石証書(CO2フリー化の支援サービス)の種類>

  1. FIT非化石証書(再エネ指定)
  2. 非FIT非化石証書(再エネ指定)
  3. 非FIT非化石証書(指定なし)

各証書は役割や仕組みが異なるので、正しく理解しておくようにしましょう。

FIT非化石証書(再エネ指定)

FIT非化石証書(再エネ指定)とは、FIT制度をベースに買い取られた電気を証書として形にしたものです。

FIT制度とは
  1. 再生可能エネルギー導入を促進させることが目的
  2. 対象となる再生可能エネルギーは太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのいずれか
  3. 再生可能エネルギーで発電した電気を国が買い取ることを約束
  4. 買取費用の一部は国民が賦課金(電気料金の一部)という形で負担

再生可能エネルギー由来の電気は発電コストが高く、簡単に導入できません。そのため、FIT制度対象の電気は国が一定期間買い取ることが約束され、費用の一部を国民が負担する形で成立しています。こちらが、再生可能エネルギー発電促進賦課金となります。

ただし、FIT制度で購入された電気には、非化石としての価値がなく、「電気としての価値」と切り離されて売買されます。

非FIT非化石証書(再エネ指定)

非FIT非化石証書(再エネ指定)とは、FIT制度の対象にならない電気を証書として形にしたものです。

<非FIT非化石証書とは>
  1. FIT制度の対象ではないものの、再生可能エネルギー由来100%と認められる
  2. 国民負担がない(電気料金への賦課金を削減)
  3. 大型水力などの電力が対象

具体的には、地球環境改善に役立つ電気でありながら、電力供給にかかるコストなどの負担が少ないことを意味します。また、現在小売電気事業者は非FIT非化石証書を対象とした電気の売買がメインです。

非FIT非化石証書(指定なし)

非FIT非化石証書(指定なし)とは、以下の条件を満たす証書です。

非FIT非化石証書(指定なし)とは
  1. FIT制度の対象ではない
  2. 化石燃料を使っていない
  3. 再生可能エネルギー由来の電気ではない

たとえば、原子力発電は指定なしの非FIT非化石証書に該当します。再生可能エネルギーとしての価値は与えられていませんが、CO2排出を削減する価値は認められています。

非化石証書を購入するとどうなる?

非化石証書を導入することにより、以下のような効果に期待できます。

<非化石証書導入後の変化や効果について>

  1. 需要家(中小企業)はCO2排出を抑えた事業運営
  2. 非化石証書比率の向上

非化石証書を導入することにより、通常の環境活動では発揮できないCO2削減に取り組めます。非化石証書は市場流通量が多く、効率的にCO2の排出削減が可能です。実際、大手企業でもCO2排出の削減手段として非化石証書の購入が行われています。

非化石証書を導入する流れ

非化石証書を導入する流れについて解説します。小売電気事業者から非化石証書を導入する際の流れを見ていきましょう。

<非化石証書を購入する流れ>

  1. 取引開始に向けた準備
  2. 申込み
  3. 取引開始
①取引開始に向けた準備

まずは取引開始に向け、以下の準備を行います。

  1. 調達したい非化石証書の必要期間や使用量を把握する
  2. 価格水準や調達スケジュールを調整する
  3. お客様が社内検討する
  4. 問題なければ、取引スタートに向け書類準備等を進める/li>
  5. 小売電気事業者と書類を締結する
支払処理の流れ
  1. 入札(対象月の中旬)後、翌月6営業日に請求書が取引企業から届く
  2. 請求書届いた月末までに入金(振込)を行う。
非化石証書の発行について
  1. 入札(対象月の中旬)後、当月末にJPEXから取引した企業に割り当てられた非化石証書が届くので、取引企業から受け取る

調達量を伝える時期から取引開始の期日までは、タイトなスケジュールになる可能性があります。事前に社内で方針決済の取得などを済ませ、スムーズに取引が行えるよう備えておきましょう。

②申込み

申込みは以下の流れで行います。

<申込みについて>
  1. 電気料金明細等から電気使用量を確認する
  2. 「どこの」「どんな」電気(環境価値)をどれくらい(kWh)希望するのか決定する
  3. 非化石価値の請求書が発行される
  4. 通常割当申請(どこの・どんな電気をどれだけ割り当てるか)が行われる
  5. 非化石価値に係る支払いを行う
<申込みに必要な情報について>
  1. どこの(所在地):47都道府県から選ぶ※指定無でも問題ありません
  2. どんな(発電設備):太陽光、風力、火力、地熱、バイオマスから選ぶ※指定無でも問題ありません

つまり、どのエリアからどのようなタイプの非化石証書(電気)を購入するのかを決め、取引企業へ依頼します。希望通りに電気を割り当ててもらえるかはわからないため、申込書には第一希望・第二希望まで記載しておきましょう。

もし第一・第二希望ともに割り当ててもらえない場合は、所在地・発電設備を指定なしで購入する必要があります。それでも納得がいかない場合、申込みをキャンセルすることになるでしょう。

③取引開始

非化石証書に係る支払いが終わった後は、翌月には入札が始まります。では、具体的な流れを見ていきましょう。

<取引開始の流れ>
  1. 当月上旬から中旬にかけて、指定の単価で入札が開始される
  2. 約定した際は、非化石価値トラッキング事務局にて自社の名称が登録される(事務局対応)
  3. 事務局内で処理が行われ、非化石証書が発行される(証書はすべてデジタルデータで管理される)

非化石価値・非化石証書によくある質問

非化石価値・非化石証書によくある質問について、Q&A形式で紹介します。

<非化石価値・非化石証書によくある質問>

  1. そもそも非化石とはなに?
  2. 非化石証書とは?
  3. 非化石証書は何種類ある?
  4. 非化石証書のメリットと注意点を知りたい
  5. 非化石証書を購入するとどうなる?
  6. 非化石証書を購入する流れを知りたい
そもそも非化石とはなに?

非化石とは、石油・石炭・天然ガスなど化石燃料以外のエネルギー源の事です。化石燃料を使った発電はCO2を発生させてしまい、地球環境悪化を促進させるリスクがあります。

世界的にもCO2の排出削減が課題として取り上げられているため、日本でも化石燃料の利用を減らし、再生可能エネルギーを使った非化石電源への置き換えが進められています。

非化石証書とは?

非化石証書とは、再生可能エネルギーにより得られた電気に価値を与えるための証明書です。

非化石証書の特徴
  1. 再生可能エネルギー由来であることを証明する
  2. 「電気としての価値」+「CO2の排出削減による価値」が付加される
  3. 発電方式を指定できない取引市場において、クリーンなエネルギーを指定して購入できる
  4. 証書によって国が定める非化石電源比率44%達成を目指せる
非化石証書は何種類ある?

非化石証書は、大別すると以下の3種類があります。

【非化石証書の種類】
証書の種類 特徴
FIT非化石証書(再エネ指定)
  1. 再生可能エネルギーの導入促進が目的
  2. 太陽光や風力、水力などで作られる電気が対象
  3. 国が買い取ることを約束している
  4. 買取費用の一部は国民が負担する
非FIT非化石証書(再エネ指定)
  1. FIT制度対象外の電気
  2. 国民負担はなし
  3. 大型水力などの電気が対象
非FIT非化石証書(指定なし)
  1. FIT制度対象外の電気
  2. 化石燃料を使っていない
  3. 再生可能エネルギー由来の電気ではない
非化石証書のメリットと注意点を知りたい

非化石証書のメリット・注意点は次のとおりです。

【非化石証書のメリット・注意点】
メリット 注意点
  1. 化石燃料比率を下げられる
  2. 非化石電源比率の向上が期待できる
  3. 環境にやさしい企業としてアピールできる
  1. FIT電気には非化石価値がない

非化石証書の導入により、小売電気事業者は化石燃料を使用していない電気を購入できます。国が定める非化石電源比率44%達成に向けて取り組めるほか、対外的に環境にやさしい企業としてアピールすることが可能です。

一方、FIT電気は需要家への不利益を防ぐため、市場においては「電気としての価値」「非化石としての価値」を切り分けて扱われています。太陽光発電等を開発してもFITを経由する場合は原則として非化石としての価値はないので、その点は中位が必要です。

非化石証書を購入するとどうなる?

非化石証書の導入により、事業者としてのイメージアップが図れます。非化石証書の導入は、地球環境改善へ向けて取り組む姿勢を企業としてアピールできるからです。

また、非化石証書の導入により、「地球や自然環境保護に取り組みたい」と考えている需要家に向けて、エコなサービスを提供できます。新たな客層獲得にもつながるため、非化石証書は事業者・需要家の双方にメリットのある制度といえます。

非化石証書を購入する流れを知りたい

非化石証書を購入する流れは次のとおりです。

<非化石証書購入の流れ>
  1. 電気の調達量を検討する
  2. 各種手続きを行う(単価表や費用の概算などを設定する)
  3. どのような電気(地域や発電方法)を購入するのか検討する
  4. 非化石価値に関する入札申込みをする
  5. 指定の単価で入札が開始される
  6. 約定後は非化石価値トラッキング事務局へ自社の名称を登録する
  7. 非化石証書が発行される

基本的には、非化石価値の調達には小売電気事業者等の専門企業を介することとなります。自社調達も可能ではありますが、JEPX会員になる等の複数のハードルがあります。会員規定や入会費・年会費なども必要なほか、入札の手間や調達量の算定等の処理も必要であるため、非化石証書を購入する際は代理会社の利用を検討しましょう。

非化石価値の導入をご検討の方へ

新電力ネット運営事務局では、非化石価値の導入をご検討中の企業様等におかまして無料相談を受け付けておりますのでお気軽にお問合せ下さい。