FIT法、バイオマスの調達価格や燃料区分が変更の可能性、入札制度の導入も視野に

2017年12月01日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

FIT法、バイオマスの調達価格や燃料区分が変更の可能性、入札制度の導入も視野にの写真

11月21日、調達価格等算定委員会にて、認定量が急増している「一般木材等バイオマス発電」については、2018・2019年度の調達価格が変更される可能性や、入札制度の導入も視野に入れることが示されました。入札制度は2018年度から導入される可能性があり、対象となる設備規模は今後検討される予定です。

急増する一般木材等バイオマス発電、FIT認定量は2030年度目標の約3倍

固定価格買取制度において、バイオマス発電の認定量が急増しており、2017年3月末時点で認定量は1200万kWを超えました。エネルギーミックスにおいて、2030年度時点のバイオマス発電設備の容量が602万~728万kWと設定されていますが、既にこの水準に迫る勢いです。バイオマスの中でも、一般木材等によるFIT認定量が急増しており、既にエネルギーミックスで想定した2030年度の導入水準の3倍程度となっています(図1)。

バイオマスFIT認定量の推移

図1 バイオマスFIT認定量の推移 出典:経済産業省

諸外国と比較しても、日本のFITによる買取価格は高止まっている状況です。一般木材等バイオマス発電(5,000kW)の買取価格を見ると、2015年において日本は24円/kWhですが、イタリアは15.3円/kWh、ドイツは12.9円/kWhという水準です(図2)。

一般木材等バイオマス発電(5,000kW)の買取価格の推移

図2 一般木材等バイオマス発電(5,000kW)の買取価格の推移 出典:経済産業省

2018~2019年度の買取価格が改めて設定される可能性

改正FIT法においては、リードタイムが長い電源について、複数年度の調達価格を定めることができます。これは、開発に長期間かかる発電類型において、買取価格が分からないまま、事業の具体化(環境アセスメントや地元調整)を進めざるを得ない状況を回避するためのものです。

経済産業省は2017年3月、固定価格買取制度の平成29年度の買取価格を発表しました。その際、バイオマス発電については2017~2019年度の価格が定められました。ただし、現在の価格設定ではバイオマス発電が想定外に急増しています。そのため、2018~2019年度の買取価格を改めて設定する必要性が、調達価格等算定委員会により議論されています。

一般木材等バイオマス発電については、2017年3月までの認定量が全て稼働すると仮定した場合、2030年度における電源構成比率は6.9%となります。エネルギーミックスで想定した2.4%の3倍程度と著しく乖離し、2030年度の買取費用は1.8兆円となります。エネルギーミックスで想定した0.6兆円と比べても、国民負担への影響が大きいと考えられます。

改正FIT法では、国民負担の軽減につながると認められる電源については、入札対象に指定することができます。この点、一般木材等バイオマス発電の区分については、認定量の急増によって昨年度から大きく状況が変化しています。そのため、入札制度の対象とするか検討が進められることとなります。

入札制度は2018年度の導入を検討

事業用太陽光発電については既に入札制度に移行しており、11月21日、第1回目の入札結果が公表されました[関連記事]。

事業用太陽光発電の第1回~第3回の入札対象規模は、2MW以上と設定されました。この規模であると、入札による価格競争により、価格低減が期待されたためです。一般木材等バイオマス発電についても、競争状況を勘案して、入札対象規模が今後決定される見込みです。

その他の入札条件における詳細についても、事業用太陽光における入札制の結果等を踏まえて、今後決定される予定です。なお、今回議論の対象となるのはバイオマスの中でも一般木材等であり、その他のメタン発酵ガスや未利用材などは対象となりません(図3)。

バイオマス買取価格の一覧

図3 バイオマス買取価格の一覧 出典:経済産業省

入札制を2018年度に実施する場合、2019・2020年度の調達価格等については、入札制の結果を踏まえて検討を行う必要があります。そのため、今年度の委員会では、2019・2020年度の一般木材等バイオマス発電については調達価格等が定められない可能性があります(図4)。

バイオマス発電の2019・2020年度の調達価格等

図4 バイオマス発電の2019・2020年度の調達価格等 出典:経済産業省

新しい区分「パーム油等」が設置される見込み

バイオマス発電の調達区分が設定されたのは、2012年の委員会です。当時は、詳細のデータが把握できないことから、「農産物の収穫に伴って生じるバイオマス」と認められるものには、一般木材等バイオマスの価格が適用されました。パーム油等は農産物の収穫工程に生じる副産物を燃料用に加工したものにあたるため、一般木材等バイオマスの価格が適用されました。

しかし、現在の一般木材等バイオマス発電と比べて、パーム油等は資本費が低く、燃料費は高いというコスト構造の大きな違いがあることが分かってきました(図5)。従って、パーム油等を利用したバイオマス発電の取扱いについては、一般木材等とは別の区分を設定すべきとしています。

バイオマス発電の費用構造

図5 バイオマス発電の費用構造 出典:経済産業省

パーム油については、持続可能性について第三者認証の必要性

改正FIT法においては、バイオマスの安定的調達が見込まれることが認定要件に追加されていますが、今後バイオマス発電が急増することにより、燃料の安定調達・持続可能性に与える影響が大きくなると考えられます。

そのため、一般木材等バイオマス発電については、バイオマスの安定的調達について確認する方法を見直す必要があるとして議論が進められています。具体的には、輸入材について、国内商社等との安定調達契約書等だけではなく、現地燃料調達者等との安定調達契約書等も含めて確認することが候補として挙げられています。

また、パーム油については、持続可能性(合法性)についても、RSPOなどの第三者認証によって確認する必要性が検討されます(図6)。

これらについては、既認定案件も含めて確認を行う必要があると指摘されています。認証の取得に一定程度の時間を要することから、既認定案件の持続可能性の確認については、一定の経過措置(例えば1年間)を設けるべきとされています。

燃料の安定調達の確保

図6 燃料の安定調達の確保 出典:経済産業省

未稼働案件の防止、運転開始期限など設定

一般木材等バイオマス発電については、国民負担の抑制の観点から未稼働案件を防止していくことが重要とされています。そのため今後は、認定日から一定期間内に設備の発注等が行われていることが確認されることで、未稼働案件を防止していく可能性があります。設備発注期限は、既存案件の場合、認定日から2年と設定される見込みです。

新規認定案件については、予め運転開始期限を設けることが検討されます。認定取得後の工事や手続等に通常要する時間を考慮すると、運転開始期限は認定日から4年と設定される見込みです(図7)。

未稼働案件の防止について

図7 未稼働案件の防止について 出典:経済産業省

既設であっても大きな改修を伴う場合「新設」扱いに

これまで、木質等バイオマス発電については、既設の火力発電設備を利用して行うバイオマス発電事業は、FIT制度による買取りの対象外となっていました。これは、新設の場合に比べて、新規投資コストが小さいことが要因となっています。

しかし、新設に相当するほどの大規模な更新・改修を行う案件については、季節であっても「新設」案件として買取対象とすることが議論されています。例えば、①燃料タイプの転換(液体燃料 ⇒ 固形燃料)②バイオマス専焼設備(バイオマス比率90%以上)への転換、③主要な電気設備(タービン・発電機)の全更新という要素を全て満たすものであれば、新設と同等の投資と見なせるとしています。

FIT終了後の持続可能性について

バイオマス発電は構造上、石炭火力への転換が可能です。そのため、FIT制度の終了後には採算性などの観点から、案件によっては石炭火力へ転換するケースも想定されます。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

関西電力や東京ガスが異業種との共同研究・調査を実施。カーボンリサイクルの社会実装を目指すの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年04月19日

新電力ネット運営事務局

関西電力や東京ガスが異業種との共同研究・調査を実施。カーボンリサイクルの社会実装を目指す

2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて、企業の再エネ導入や自動車をはじめとするEV化の動きが活発になっています。一方、もう少し先を見据えた動きも着々と進められており、その一つにカーボンリサイクルの取り組みがあります。今回は、将来的な社会実装を目指す、関西電力や東京ガスが行っている異業種との共同研究や連携の動きをご紹介します。

川崎重工の取り組みから見える日本の水素戦略と、世界各国の水素戦略についての写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年03月29日

新電力ネット運営事務局

川崎重工の取り組みから見える日本の水素戦略と、世界各国の水素戦略について

川崎重工業(以下、川崎重工)が大型ガスエンジンにおける水素30%混焼技術を開発。昨年には世界初の液化水素運搬船を公開しました。今回は、次世代のクリーンエネルギーである水素に注力する川崎重工の取り組みに注目しながら、日本の水素戦略と世界各国の水素戦略についてご紹介します。

欧州によるカーボンニュートラルへの対応、イギリスやフランスで進む核融合研究および原発新設の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年02月26日

新電力ネット運営事務局

欧州によるカーボンニュートラルへの対応、イギリスやフランスで進む核融合研究および原発新設

フランスが先日、脱炭素戦略に伴う原発新設を発表し、話題となりました。今回は、世界が化石燃料からのエネルギー転換を模索する中で、イギリスで発表された核融合研究の結果や、欧州委員会の動向、その背景について考えていきます。

家庭部門のCO2排出量66%減目標、住宅の省エネルギー対策「ZEH」とはの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2021年08月10日

新電力ネット運営事務局

家庭部門のCO2排出量66%減目標、住宅の省エネルギー対策「ZEH」とは

コロナの影響により在宅勤務が日常的なものとなったことで、私たちはより快適性や経済性に優れた住まいに対する関心は高まりつつあるのではないでしょうか。そのような中で、7月26日に政府が公表した「地球温暖化対策計画」の原案で、温室効果ガスの排出量を家庭部門で66%削減する検討をしていることが明らかになりました。また、27日には再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下、タスクフォース)にて新築戸建て住宅の約6割に太陽光発電設備を設置することが表明されました。そこで今回は、家庭部門の省エネルギーの取り組みについて、その中でも特に「ZEH(ゼッチ)」に注目して考えていきます。

世界的な半導体不足の中で、『次世代パワー半導体・先端半導体』は日本の脱炭素×成長戦略のキーワードとなるかの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2021年07月09日

新電力ネット運営事務局

世界的な半導体不足の中で、『次世代パワー半導体・先端半導体』は日本の脱炭素×成長戦略のキーワードとなるか

5月19日、トヨタ自動車は「世界的な半導体不足で国内の2つの工場の稼働を一時停止する」と発表しました。約2万台の生産に影響が出るといいます。加藤官房長官は「半導体は産業のコメともいわれ、経済社会を支える極めて重要な基盤の部品」と述べた上で、「代替装置の調達支援など経済産業省でしっかり対応していく」としました。しかし、31日、米インテルCEOは「半導体不足解消はあと数年かかる」という見方を発表しています。 では今回は、いつから、どうしてこのような半導体不足という事態が起こったのか、またそこから見えてきた課題とは。そしてそれを克服し、脱炭素社会実現と経済成長の原動力とするための日本の取り組みについてご紹介していきます。