Zunum Aero社、2022年までに電動小型旅客機を飛行させる計画を発表

2017年10月10日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

Zunum Aero社、2022年までに電動小型旅客機を飛行させる計画を発表の写真

10月5日、Zunum Aero社が2022年までに電動小型旅客機を飛行させる計画を発表しました。これまで、2020年までの飛行を目指す計画を発表していましたが、計画が練り直されることで、飛行時期が2022年と修正されました。

世界で広がる交通部門の電動化

運輸部門における電動化は自動車だけではなく船舶や航空機にも及んでおり、世界各地で開発が進んでいます。例えば、船舶においては、7月に福岡に本社を置くエコマリンパワーが、久福汽船と協力して、船舶用再生可能エネルギーソリューション「Aquarius MRE」の海上試運転の準備を開始したと発表しました[関連記事]。

航空機においては、9月にドイツの航空機スタートアップLiliumが、電動航空タクシーのネットワークを構築するため、9000万ドルを調達したと発表しています。また、スロバキアに本拠を置き、ハイブリッド自動車に変形する飛行機を手がけるAeroMobilは、7月にIPM(InfraPartners Management)から投資を受けたと発表しています。

そのほかにも、マサチューセッツ州を拠点とするTerrafugiaは、垂直離着陸とコンピュータ制御飛行を備えた電気自動車を開発しています。さらに、Googleの共同設立者であるLarry Page氏は、Kitty HawkとZeeという2つの航空スタートアップを支えています。

こうした中、ボーイング系のベンチャーキャピタル「HorizonX」と米国の格安航空会社であるJetBlue傘下の「JetBlue Technology Ventures」が支援するスタートアップ、Zunum Aeroが2022年までに電気小型旅客機を飛行させる計画を発表しました。Zunum Aeroはこれまで、2020年までの飛行を目指す計画を発表していましたが、計画が練り直されることで、飛行時期が2022年と修正されました。

電動航空機のネットワーク構築、地域活性化に

Zunum Aeroが2022年の飛行を計画する電動航空機は、12人乗りの小型であり、時速340マイルの最大巡航速度で飛行することが可能です(図1)。経済性も高く、従来型から運賃を40〜80%削減可能としています。操業コストとしては、一座席あたりで8セント/マイル、航空機全体としては約250ドル/時間となります。加えて、電動推進のため騒音を75%削減可能であり、排出ガスを80%削減します。

Zunum Aeroの電動航空機は短距離をターゲットとしており、地域航空を活性化させる狙いがあります。米国には約5000もの空港がありますが、その内の2%ほどの空港のみで、航空交通量の95%以上を占めています。そのため、ごく一部の空港のみで、大半の航空交通を取り扱っていることとなります。Zunum Aeroはこうした、大規模かつ長距離のフライトではなく、ほとんど使用されていない地域空港を利用することで、電動式航空機ネットワークを構築することを目指しています。

Zunum Aeroの電動航空機において、離陸に必要な滑走距離は2200フィート(約670メートル)と非常に短いため、規模の小さな地方の空港であっても運用可能であり、安価な運賃を提供することができます。現状、地方においては航空機の飛行頻度が少なく、目的地の設定も限定的であり、かつ運賃も高く設定される傾向にあります。それを、電動式航空機ネットワークが構築されることで、多様な地域を短距離航空機が結び、交通の利便性が向上することが想定されます。

地域と都会が電動航空機によって繋がることにより、地域の活性化も期待できます。加えて、内燃機関の自動車から、電動飛行機へと交通手段が移行することで、排出ガスの削減にも繋がるポテンシャルがあります。

電動飛行機のイメージ

図1 電動飛行機のイメージ 出典:Zunum Aero

2019年に地上でのテストを開始予定

今後の計画について、FAAの認証については2014年より取得作業が進行中であり、2018年末までに完了する予定です。また、2022年に予定されている航空管制システムの大幅なアップグレードにより、悪天候での飛行能力も向上することが想定されます。

また、Zunum Aeroは、シカゴ地区に2つ目の開発センターを開設する予定であるとしており、2022年のテスト飛行に先立って、2019年に地上でのテストを開始する予定であるとしています。

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