スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第14回 電気は「運ぶ産業」から「情報産業」へ

2021年04月01日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第14回 電気は「運ぶ産業」から「情報産業」への写真

IoTから様々な新しいサービスやシステムが生まれ、社会がより快適で便利になると期待されています。電気、エネルギー産業はこれまでの単なる電気を運ぶという流通業から「情報産業」に変わります。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
    理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」』(2017年)

電力業界は「IoTの練習場」?

これまでのコラムで、随所でIoTという言葉を取り上げてきましたが、「これなんて読むんですか? ロト?」などと言っている人もいるくらい、IoTに対する理解、浸透は進んでいません。また、言葉の意味やおおよその概念は知っていても、具体的なイメージが持てている人は少ないのではないでしょうか。もののインターネットと言われて余計分からなくなってしまうかもしれません。おそらくインターネットが出始めの頃、これからはユビキタス(インターネットでいつでもどこでも繋がることができる世界)の時代だ、と言われて、多くの人が「インターネット? ユビキタス? 何のことだろう?」と不思議に思ったのと同じような感覚でしょうか。

以前にも説明しましたが、IoTはすべてのモノがインターネットとつながることによって、そこから様々な新しいサービスやシステムが生まれ、社会がより快適で便利になるのではと期待されている技術です。私がこのコラムで改めて強く述べておきたいことは、「IoTとこれからの電力・エネルギー産業」には非常に密接な関係があり、これからの電力・エネルギービジネスは、IoT抜きには語れない、ということです。

これは少し産業分野の話になりますが、以前、元グーグル米国本社副社長でエネルギー流通事業会社エナリスの村上憲郎会長とお話ししたとき、村上さんは「電力業界、電力ビジネスは〝最初のIoTの練習場〟。VPP(仮想発電所)は明らかにIoTの突破口であり、IoTの歴史において、おそらく最初の大きな事例になるはず」とおっしゃっていました。   私は、なるほど「IoTの練習場」とは面白い言い方をされるな、と思いましたが、確かにスマートメーターを中心に電力ビジネスがデジタル化に向かう中、IoTの練習場という言葉はこれからの電力業界を言い表すのにぴったりな表現ではないでしょうか。

また村上さんはこうもおっしゃっています。「インターネットでものを制御するということの先駆けは、この電力システム改革の中で始まるといっても過言ではないでしょう。これからの世界経済の覇権を握る上で鍵になるのは間違いなくIoTで、2020年代に必ず乗り込んでくるアップル、アマゾン、グーグル、テスラ(テスラ・モーターズ)などとの戦いは第4次産業革命の戦いになります。この時に日本の中心を担うのが電力業界です」(『3時間でわかる これからの電力業界』/グーテンブックより)IoTの視点から見ても、電力産業には今後大きな期待が寄せられているというわけです。

電気は「運ぶ産業」から「情報産業」へ

ある予測によると、今から15年後か20年後には、インターネットと繋がっているモノの数が現在の約3000倍になるそうです。この3000倍という数字が果たしてどれくらいすごいのか、なかなかイメージがしにくいと思いますが、今、みなさんの身の回りでインターネットとつながっているものを挙げてくださいと聞いたら、スマートフォン、パソコン、タブレット、ゲーム機などだいたい3~5個くらいでしょう。それが3000倍になるということは、今、あなたが持っているもの、家にあるものほぼすべて、たとえば服や靴、カバン、メガネ、筆記用具、財布、本、家電や家具、トイレ、お風呂などがすべてインターネットとつながるイメージでしょうか。

IoTで多くの所持品がインターネット(クラウドコンピューティング)につながって、所持品に取り付けられたセンサーから様々なデータが取得されます。と同時に、すべてのものが電気を使用することになるので、スマートメーターなどの機器を介してすべてのものの電気利用データも取得でき、電気利用状況が「見える化」されます。ちなみに、ここで重要になってくるのが「フォグコンピューティング」と呼ばれる、今まで以上に大量のデータを処理できる新しいコンピュータ技術です。これは、クラウド(雲)とデバイスの間での情報の行き来をさらに高度化するためのコンピュータ技術で、雲よりも一段デバイスに近いために「フォグ(霧)」と呼ばれているのですが、今後のIoTに欠かせない技術として注目していくべきでしょう。

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