スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第10回 ワイヤレス給電で生活がより快適&便利になる

2020年12月22日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第10回 ワイヤレス給電で生活がより快適&便利になるの写真

インターネットのWi-Fiルーターのように電気を飛ばす、ワイヤレス給電技術が普及すれば、家の中も無線化して生活がより快適&便利になるはずです。ニコラ・テスラは100年以上前に無線送電の仕組みに着目していました。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
    理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」』(2017年)

じゃまな電線、電気コードをなくして「ワイヤレス」(無線)に!

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都の小池百合子知事が、都内の電柱をなくし電線を地中に埋める「無電柱化・電線地中化」を公約に掲げていました。このプロジェクトを実行するためには莫大な費用と時間がかかることはもちろん、電線を地中化したあとの送電線のメンテナンスが今よりも大変になり、災害などによるトラブル時の復旧に時間がかかるのではという懸念など多くの問題もあります。しかしメリットとしては、「景観の向上」「安全で快適な歩行空間の確保」「都市防災力の強化」などがあります。こうしたメリットとデメリットの両方を考慮し、慎重な判断が必要なプロジェクトと言えるでしょう。

さて、みなさんの身の回りに目を向けてみてください。家の中には街中の電線のように、電気を送るためのたくさんの電気コードがあると思います。テレビ、ラジオ、オーディオ、電話機、照明、パソコン、スマートフォンの充電器、季節によっては扇風機やストーブなどの家電。場合によってはタコ足配線になっていたり、コード同士がからみあってぐちゃぐちゃになっていたりしませんか。また、電源コンセントの位置によっては、家電を置く位置が制約されてしまったり、何メートルもの延長コードが必要になったりと、室内のレイアウトにいろいろ頭を悩ませている方も多いでしょう。一方、掃除機やアイロン、ヘアドライヤーなど動かしながら使う家電も随分コードレス化商品が普及してきましたが、まだまだコード式の家電を使っている家庭が多いかと思います。

「この家電がコードレスになればいいのに」「電気コードが必要なくなれば部屋が綺麗になるのに」「電源コンセントの場所に縛られずに家電を自由にレイアウトできたらいいな」と思っている人も多いのではないでしょうか。そんな多くの人たちが感じている「ワイヤー(線)に縛られた」生活の不便さを解消してくれそうな技術の開発が今進んでいます。電線を使わず電気を無線で飛ばす「ワイヤレス給電」という技術です。

今家の中で、インターネットのWi-Fiルーターからパソコンやタブレットに電波を飛ばしてインターネットを繋いでいるように、家の中に電気を飛ばす「電気発信器」のようなものがあって、そこから飛んでくる電気を各家電に取り込む、というイメージです。夢のような話かと思われるかもしれませんが、このワイヤレス給電(非接触型給電とも)はすでにかなり技術開発が進んでいて、実用化の段階に入っています。もちろん大容量の電気の長距離無線送電の実用化はもっと先の話になると思いますが、10メートル、20メートルくらいの家庭規模の距離であれば、送受電できるシステムは比較的近いうちに実用化されるでしょう。

このワイヤレス給電技術が普及すれば、家の中も無線化して生活がより快適&便利になるはずです。もちろんコンセントもなくなりますから、コンセントの場所によってテレビやオーディオを置く場所が限定されなくなり、部屋のレイアウトの自由度も増します。スマートフォンも、うちに帰って毎日充電器に繋いで充電しなくても、家に帰ってそのまま玄関に置いておくだけで、あっという間に充電してくれるような時代が来るでしょう。

また、製品の中に蓄電池、充電池を入れることを前提にデザインしなくていいので、家電製品のデザインも大きく変わるでしょう。バッテリーの重たいノートパソコンも軽量化されて持ち運びが便利になり、今までできなかったデザインも可能になるはずです。おそらく電気自動車のデザインも変わり、様々な機器のデザインの可能性が広がるはずです。さらに、機器から接続端子をなくすことができるため、ホコリが機器の中に入って誤作動や故障を起こすリスクを減らせるだけでなく、防水機能を持たせることができるという利点もあります。

100年前に「無線送電」を発明した不遇の天才ニコラ・テスラ

みなさん「電気を電波のように無線で飛ばす」と言うと、少しびっくりするかもしれませんが、考えてもみてください。雷の電気は空中で発生して空中を飛んでいます。また、静電気も空中を飛んでいるわけですし、みなさんが子供の頃理科の実験で目にした電磁石でも、空間を電気が移動しています。そもそも電気は線(ワイヤー)がなくても空中を移動できるものなのです。

こうした電気の特性を利用して、電気を線(ワイヤー)なしで送ったり受け取ったりできる「無線送電」の仕組みを、なんと100年以上前に研究開発し、実際にシステムを作り上げた研究者がいます。彼の名はニコラ・テスラ。旧ユーゴスラビア出身でアメリカに渡ってエジソンの元で研究活動をした、無線技術の先駆者と呼ばれる発明家です。

ニコラ・テスラは無線、ラジオ、無線操縦、放電照明、現在我々が使っている冷蔵庫やエアコン、洗濯機などに使われている交流モーターの技術や原理を発明しました。日本ではテスラの名はあまり知られていませんが、アメリカではエジソンやアインシュタインなどと並び誰もが知っている天才科学者です。テスラは数多くの人類史に残る重要な発明を成し遂げたにもかかわらず、生前はその業績が正当に評価されることなく生涯を終えた「不遇の天才」と呼ばれるサイエンティストでしたが、近年になって改めて再評価されはじめています。ちなみにイーロン・マスク率いるテスラモーターズの社名は、彼の名前からとっていることは有名な話です。

そんなテスラが、無線による電力の伝送「無線送電」の研究・実験に取り組み始めたのは、今から100年以上前の1890年代後半のことでした。テスラは「電気エネルギーを無線で送受信できれば、送電線を使った送電コストを大幅に削減でき、世界中に電気が送れる」と考え、この研究を始めたのです。テスラは何度も実験と失敗を繰りかえし、無線送電システムを作り上げていきましたが、様々な事情により挫折。結局、無線による送電の実用化は実現しませんでした。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

スマートメーター普及で広がる、エネルギーデータ活用戦略を考えるvol.1の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2021年07月12日

新電力ネット運営事務局

スマートメーター普及で広がる、エネルギーデータ活用戦略を考えるvol.1

日本では、2014年からスマートメーターの設置がはじまり、今年2月末には東京電力エリアで約2800万件が取り付け済みとなりました。今後、2024年までに全国に取り付けられる予定となっており、スマートメーターが普及することで、電力データの活用が本格化してきました。そこで今回は、企業事例や海外事例を参考に、エネルギーデータ活用戦略について考えます。

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第17回 テクノロジーの発達で電力需要が増えるの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2021年07月02日

新電力ネット運営事務局

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第17回 テクノロジーの発達で電力需要が増える

電力コストの低下やテクノロジーの発達・普及で世界の電力需要はさらに増えていくと予測しています。マイニングビジネス、ロケット開発など進歩発展への追求が電力の需要をさらに生み出していくと考えられます。

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第16回 情報はクローズドよりオープンにするほうが得する時代の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2021年06月07日

新電力ネット運営事務局

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第16回 情報はクローズドよりオープンにするほうが得する時代

かつて情報はクローズドにしておくほうが良いという考え方が主流でした。ですが今のインターネット社会では、エネルギー情報をオープンにすることが資産となります。オープン思考のほうが得をする時代なのかもしれないです。

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第15回 「第2のグーグル」が出現する可能性の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2021年05月06日

新電力ネット運営事務局

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第15回 「第2のグーグル」が出現する可能性

IoTと電気利用データのデジタル化によって、検索の時代から予測の時代になります。ここから新しいサービスを提供する、第2のグーグルが出現するかもしれません。例えば買ってからもバージョンアップする家電です。

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第14回 電気は「運ぶ産業」から「情報産業」への写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2021年04月01日

新電力ネット運営事務局

スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第14回 電気は「運ぶ産業」から「情報産業」へ

IoTから様々な新しいサービスやシステムが生まれ、社会がより快適で便利になると期待されています。電気、エネルギー産業はこれまでの単なる電気を運ぶという流通業から「情報産業」に変わります。