エネルギー革命の中心を担う蓄電池 第2回

2023年10月08日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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今注目を集める「リチウムイオン電池」について、その概要を全4回にわたってご紹介します。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『2時間でわかる 蓄電池ビジネスの未来: ウィズコロナ時代に拡大する20兆円市場に注目せよ!』(2020年)

蓄電池に期待される社会的役割とは

前回、「リチウムイオン電池は、環境を壊すことなく私たちの消費活動を支える持続可能な社会になくてはならないものであり、エネルギー革命の中心を担う」とお話ししました。ここでは、様々な側面から蓄電池の役割について具体的に解説していくわけですが、まずは大きな視点に立って「蓄電池に期待されている社会的役割」についてお話ししておきましょう。

資源エネルギー庁が公表している「社会的視点から見た、蓄電池に期待されている主な役割」は次のようなものです。

  1. 次世代自動車の普及
  2. 余った電気を貯めておく
  3. 電力系統の安定をはかり、再エネ導入を促進する
  4. 電力需要・供給の「ピークカット、ピークシフト」に役立てる
  5. 防災に役立てる

これらが具体的にどのようなことなのか、一つ一つ見ていきましょう。

次世代自動車の普及

前述したとおり、EVやPHV(プラグインハイブリッド自動車)など次世代自動車は、持続可能な社会実現に貢献するものとして普及拡大が期待されています。中でもEVは、大型蓄電池としても活用できる、という点に注目が集まっています。EVに搭載されている蓄電池は、日常の家庭用電源としてだけでなく、停電や電力不足の際のバッテリーとしても役立ちます。

余った電気を貯めておく

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの発電量は天候に左右されがちです。この再エネによる発電量が需要電力量以上になってしまった場合、使い切れない電気を蓄電池に貯めておいて、必要な時に家庭で使うことができます。また、夜間に蓄電池に余剰電力を貯めておき、電力需要の高まる昼間に利用することも可能です。

これまで電気は、発電したらすぐに使わなくてはならず、大量の電気エネルギーをコストをかけずに貯めておくことは困難でした。ですが、大型蓄電池によって、大量の電気エネルギーを貯金のように貯めておけるようになったのです。

電力系統の安定をはかり、再エネ導入を促進する

前述のように、これまで再エネ電源は安定的に電力を供給することは容易ではありませんでした。また、再エネ電源が現在の電力系統(発電や送電などに使う電力設備が構成するシステム全体)に大量に導入された場合、電力系統に大きな負荷をかけてしまいます。そこで役立つのが蓄電池です。メガソーラー発電所に蓄電池を併設することにより、再エネの出力平準化、電力系統の安定化を図る取り組みが進んでいます。再生可能エネルギーの導入においても、蓄電池は重要な役割を果たすというわけです。

電力需要・供給の「ピークカット、ピークシフト」に役立てる

みんなが一斉に電力を使う時間帯に、蓄電池に貯めておいた電気を使うようにすれば、電力の消費を抑えるピークカット(冷暖房の使用などによってできる電力需要のピークを低く抑えるように電力消費を制御すること)や、ピークシフト(電力供給のピークを別の時間帯にシフトさせること)にも役立てることができます。

防災に役立てる

東日本大震災によって発生した電力不足をきっかけに、停電や節電の対策として、蓄電池の重要性が改めて認識されるようになりました。地震や台風などの災害で停電が発生したとき、蓄電池があれば非常用電源として活用することができます。

このように、蓄電池は様々な役割を担っており、大きな期待を集めています。ですが、これだけでは蓄電池が皆さんの生活にどう関係してくるのか、また、これからのビジネスとどう連動してくるのか、ちょっとピンとこないかもしれません。蓄電池がどう皆さんの生活や仕事・ビジネスに関わってくるのか。そのあたりについては、次回以降で詳しくお話ししていこうと思います。

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