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スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第9回 エネルギービジネスのキーパーソン、イーロン・マスク

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スマホでサンマが焼ける日ーコラムー第9回 エネルギービジネスのキーパーソン、イーロン・マスクの写真

イーロン・マスクは第2のスティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツとも言われる一方、その突飛な発想やアグレッシブな経営の仕方に対しては賛否両論あります。しかし私は、電気・エネルギー分野の革命者として人類史に名を残すのではないかと考えています。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
    理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」』(2017年)

人類史に名を残す?イーロン・マスクという革命者

前回のコラムではEV(電気自動車)が将来蓄電池がわりになるという話をしましたが、これからEVはどれくらいのスピードで社会に普及していくのでしょうか。ある調査(Bloomberg New Energy Finance)によると、2040年までにEV販売は4100万台になると予測されています。この数字から計算すると、EVが新車の小型乗用車販売で35%のシェアを占め、道路を走る車の約4分の1がEVになる計算になります。この予測がどこまで正しいかは現時点では分かりませんが、いずれにせよEVがこれからの電気・エネルギー産業にとって重要なキーワードになることは間違いないでしょう。

そして、EVについて語る上ではずせないのがテスラモーターズです。テスラモーターズも、前回のコラムでお話ししたように、高性能の蓄電池「パワーウォール」を開発・販売している会社ですが、このコラム内でも再三にわたって「テスラ」というワードが出てきますので、ここで少しテスラモーターズについて触れておきたいと思います。テスラモーターズは、2003年に現CEOのイーロン・マスクらシリコンバレーのエンジニア数名によって設立された会社ですが、ただの電気自動車メーカーではありません。前述のように蓄電池「パワーウォール」の開発・販売を行うなど、EVのみならずエネルギー関連のイノベーションに力を注ぐ、今世界から注目を集める革新的なテクノロジー会社です。

テスラモーターズは生産・販売方法も他の自動車メーカーと一線を画しており、ディーラー網を持たず、まるでアップルストアのように、高級ショッピングエリアなどに実物が見られるギャラリーを作り、販売は基本的にウェブを通じて行っています。日本でも東京・港区の南青山に国内唯一のショールームを開設して注目を集めています。テスラモーターズのCEO、イーロン・マスクは、EV事業のほかにも「スペースX」という会社を設立して、「人類を火星に送る」ことを目標にロケット開発や打ち上げなど宇宙開発にも取り組んでいることで有名です。

イーロン・マスクは第2のスティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツとも言われる一方、その突飛な発想やアグレッシブな経営の仕方に対しては賛否両論あり、その評価は分かれています。しかし私は、コンピュータの世界で人類の歴史に名を残すであろうジョブズやゲイツ同様に、イーロン・マスクは電気・エネルギー分野の革命者として人類史に名を残すのではないかと考えています。先ごろテスラモーターズは、太陽光発電ベンチャーの「ソーラーシティ」という会社を買収、イーロン・マスクはスペースX、テスラモーターズに続く3つ目の事業、ソーラービジネスに乗り出しました。

イーロン・マスクは、宇宙産業、電気自動車産業、電気エネルギー産業、これらすべてを手中に収めつつ、それぞれの分野におけるテクノロジーやシステムを相互に結びつけ、エネルギー産業全体を支配していく。そんな野望を抱いているのでは、とも言われています。イーロン・マスクに対する評価はさておき、彼がこれからの電気エネルギー産業、エネルギービジネスのキーパーソンであることは間違いありません。次はどんな破壊的イノベーションを我々に見せてくれるのか、大いに楽しみにしたいところです。

無駄をなくす=「最適化」ということ

少し横道にそれてしまいました。ここでもう一度コラムのテーマに戻りましょう。アナログからデジタル、電気のシェア、集中から分散、大きいから小さい、そして蓄電池をはじめとする様々な技術や電力システムの変革によって、電力・エネルギー産業だけでなく、私たちの生活も大きく変わっていきます。

そうした変化による恩恵、目的と言ってもいいかもしれませんが、いずれにせよ、ここで重要なことは単に新しいビジネスが生まれるとか、経済効果が、とか、生活がより便利になるということだけではなく、「無駄の少ない循環型社会」を生み出すということです。この、電力・エネルギーの無駄をなくすという発想は、電力・エネルギーの生産と利用を「最適化する」と言い換えることができます。

どんなことでも、無駄をなくす、最適化するというのは、ごくごく当たり前のことだと言う方もいるでしょう。みなさん、特に主婦の方は普段の生活の中で、お金でもモノでも何でも無駄遣いをしないようにがんばっていると思います。野菜は少しでも無駄なく全部使おうとか、マヨネーズも最後のひと絞りまで使うとか、特売をしているスーパーまで足を運んだり、靴や下着もいよいよこれは使えないというところに至るまで使うなど、しっかり最後まで使ってちょっとでも無駄をなくそうとしているはずです。

ところが、電力・エネルギーに関しては、ちょっとした節電以外、ほぼ何もしてこなかったように思います。多くの人は、エネルギー、電気に関してはなぜか無頓着、無関心なのです。電気は自動的に供給されて電気料金を支払う、というある種、税金的な感覚できてしまったのではないでしょうか。しかしこれからは違います。ここまで話してきたように、電力・エネルギーを作る、送る、貯めておく、分け合う、使うというすべての面において、自分たちの意思でコントロールできる世の中になります。そうなると、電力・エネルギーについても、お金をどう稼いでどう貯めて、どう使うかを日々真剣に考えているように、どうやって効率的にし、最適化し、無駄をなくそうかと自主的に考えざるを得なくなるはずです。

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