太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす①ー犯罪が増え続ける背景と自衛についてー

2024年06月13日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす①ー犯罪が増え続ける背景と自衛についてーの写真

太陽光発電施設から銅線が盗まれる事件が後を絶ちません。銅相場が高止まりし、売却狙いの犯罪が再生可能エネルギーの産業を脅かしています。第2回にわたり銅窃盗の再生エネルギー戦略への影響と各企業の防止策についてご紹介します。1回目は太陽光発電設備が狙われる理由と自衛について、2回目は太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてお届けします。

なぜ太陽光発電設備が狙われるのか

2023年に銅窃盗被害件数が過去最大となりました。犯人の検挙も進んでいますが、それ以上に窃盗団数が急増しています。

急増の背景には近年の世界的な銅の価格高騰があります。非鉄金属大手のJX金属によると銅の月間平均価格は2020年5月に1キロ604円でしたが2021年3月からは1000円を超え続けています。2024年5月には1643円となり2.7倍の値となりました。
また、もうひとつの要因として人目に付かない山間部などに設置されていることもあげられます。

窃盗犯の手口

北関東を中心に被害が急増しています。犯罪グループは日中に下見をし夜にフェンスを壊して敷地内に侵入し犯行に及びます。
送電用の銅線ケーブルを車に積める大きさに切ってから、金属買い取り業者へ持ち込んで換金します。夜は発電がなく、事業者は異常に気づきにくいといいます。

対応に追われる保険会社。保険金支払いは20倍に

日本損害保険協会は2024年2月、損害保険会社7社における「企業向けの太陽光発電設備向け火災保険」の事故発生状況などに関する調査報告書を公開しました。太陽光発電設備の盗難による保険金は、5年前と比べて約20倍に急増しています。

盗難に由来して発生した保険金の推移 (出典:日本損害保険協会)

また、保険会社によっては「盗難は補償対象外」になるケースも増えました。盗難被害を補償する保険の適用条件が厳しくなり、事業者にも不安が広がっています。日本損害保険協会は今後も事故の増加傾向が続いた場合、持続的な保険提供が困難になる可能性もあるとして、事故発生自体を未然に防ぐ取り組みが重要となると述べました。

未然に防ぐ取り組みとして

  1. フェンスの強化
  2. 防犯設備・警備システムの導入
  3. 定期的なメンテナンス
  4. ケーブルを銅からアルミへ変更
  5. ケーブルの埋設・露出部分のガード

などがあげられます。

全国でも被害数が突出している茨城県は農地の回りや山間部などに太陽光発電施設があり、犯罪グループの標的となっています。こうした中、茨城県警察本部は、買い取り側を規制して犯罪の抑制につなげようと、金属買い取り業者が売主の身分証を確認することを義務付ける「県金属くず取扱業に関する条例」の改正を目指しています。また、犯罪防止チラシを制作するなど、犯罪防止への呼びかけを強めています。

左:いばらき防犯NEWS 右:金属盗難防止対策チラシ (出典:茨城県警察)

太陽光発電は2030年のエネルギーミックスや2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生エネルギーの中核として位置づけられています。こういった窃盗被害や設備コストの増加は、新規参入のハードルを高める要因となり再エネ拡大にとって大きな障害となりかねません。

次回は、太陽光発電設備の盗難から事業者を守り、カーボンニュートラルの実現を後押ししていく、銅線の盗難対策としてのアルミ導体ケーブルやケーブル自体を覆い保護するプロテクターなどの商品についてご紹介します。

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす①ー犯罪が増え続ける背景と自衛についてーの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年06月13日

新電力ネット運営事務局

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす①ー犯罪が増え続ける背景と自衛についてー

太陽光発電施設から銅線が盗まれる事件が後を絶ちません。銅相場が高止まりし、売却狙いの犯罪が再生可能エネルギーの産業を脅かしています。第2回にわたり銅窃盗の再生エネルギー戦略への影響と各企業の防止策についてご紹介します。1回目は太陽光発電設備が狙われる理由と自衛について、2回目は太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてお届けします。

次世代太陽光発電「ペロブスカイト太陽電池」、国内外の最新動向と日本の戦略の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年04月06日

新電力ネット運営事務局

次世代太陽光発電「ペロブスカイト太陽電池」、国内外の最新動向と日本の戦略

今回は、ペロブスカイト太陽電池市場の規模拡大や国内の導入事例、海外の動向、そして今後の日本の戦略について紹介します。

2024年度にも国内で初導入が計画される潮流発電。世界の先進的な事例や、その仕組みと可能性とは!?の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年08月17日

新電力ネット運営事務局

2024年度にも国内で初導入が計画される潮流発電。世界の先進的な事例や、その仕組みと可能性とは!?

排他的経済水域世界第6位という海洋国である我が国において、海洋エネルギーは大きなポテンシャルを有しています。潮流発電は一定の規則性を持った潮汐力により、年間を通じて安定的で、予測可能な発電方式であることから今後の可能性として期待がされます。今回は、潮流発電(潮汐力発電)について紹介します。

太陽光パネルの廃棄とリユース・リサイクルの現状と課題の写真

一般社団法人 環境エネルギー循環センター(EECC)

2023年07月31日

EECC運営事務局

太陽光パネルの廃棄とリユース・リサイクルの現状と課題

導入が進んだ太陽光パネルの廃棄に関する問題について、政府が検討会を通じで業界団体にヒアリングをしています。その中で、実態が浮き彫りになってきた太陽光パネルのリユース・リサイクルの現状と課題についてご紹介します。

日本はポテンシャルが高い!?地熱発電を地域観光や企業の自家発電に活用の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年12月07日

新電力ネット運営事務局

日本はポテンシャルが高い!?地熱発電を地域観光や企業の自家発電に活用

電力高騰や原発再稼働などがメディアで取りざたされている電力業界。カーボンニュートラル社会に向けて、これから考えれることは何か。今回は、日本にはまだポテンシャルのあるクリーンエネルギーの一つである地熱発電を取り上げ、国内外の事例をご紹介します。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス ビジネス屋と技術屋が一緒に考える脱炭素