デジタルだからできること「超高速シェア(共有)」

2020年07月30日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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世の中がこれからデジタル化によって何かとっても味気ない世界になってしまうのではなく、デジタル化によって、今まで以上に豊かな社会が生まれます。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
    理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」』(2017年)

写真、音楽、通信、デジタル化されてきたモノたち

これからの電気とエネルギーの話をする前に、「インターネット」「通信」「アナログからデジタル」というキーワードとともに過去を振り返ってみたいと思います。過去20年~30年の時代の変化を再認識することで、これからお話しする電気とエネルギーの話がより分かりやすくなるはずです。

インターネット革命、通信システム革命は、言い換えれば「アナログからデジタルへの移行」が行われた時代です。このアナログからデジタルへの移行は、この20~30年の間に通信システム分野だけでなく、様々な分野で起こった変化です。

たとえばカメラはフィルム式からデジタルカメラへ、音楽の分野であれば、レコードからCD、そしてネット経由のダウンロードやストリーミングへ、本も紙の本から電子書籍へと、一気にデジタル化の道を歩んできました。このままいろいろなものが次々とデジタル化されて、アナログなものを手にすることができなくなってしまうのではないかという一抹の不安を覚える人も少なくないでしょう。

確かにアナログにはアナログのよさがあります。アナログであることでしか成立しない世界があり、そのよさや価値は当然アナログとして残すべきでしょう。アナログは、表現における個性や多様性、温かさなどの情緒を伝え味わうことができます。

音楽の世界で最近アナログレコード、昔のオーディオが再ブームになっていると聞きます。こうしたアナログなシステムを通して鳴らされる音の多様性、豊かさは、デジタル信号を使った音楽からは味わうことができません。

また、写真の世界でもいまだにフィルムにこだわっている写真家が少なくありません。フィルムで写した写真には、デジタル写真にはない独特の色と光があるのです。そうしたアナログ文化は、今後もそれが必要とされる限り、残していくべき人類の遺産です。

一方、デジタルは効率よくスピーディーに様々な情報を伝えることができる、データを蓄積して様々な形で利用できるという利点があります。アナログとデジタルの棲み分け、使い分けが重要なのだと思います。たとえばコミュニケーションにおいても、友達や仕事仲間とはLINE、暑中見舞いや年賀状など季節の葉書、大切な人に大切な気持ちを伝えるときには手紙、といったように使い分ける。書籍も紙の本で読む方と電子書籍で読む方がいるように、常にどちらか好きな方を選べるということが大切なのです。

古きよきものに大きな価値観を置き、次々と世に出てくる新しいテクノロジーやデジタル的なものに抵抗感を覚える人たちもいると思います。ですが、そんな人たちに知ってほしいのは、世の中がこれからデジタル化によって何かとっても味気ない世界になってしまうのではなく、「デジタル化によって、今まで以上に豊かな社会が生まれる」ということです。

デジタルだからできること「超高速シェア(共有)」

次に、デジタルだからこそできること、デジタルのよさについて考えてみましょう。デジタルの特性を再認識しておくことも、この後お話しする電気とエネルギーの話題と大きく関係してきます。

デジタル化とはすなわち「情報やコンテンツを電子データ化すること」です。前述の写真、音楽、手紙などをはじめ、かつては紙でしかなかった地図がパソコンやスマートフォンで見られるようになったことはデータ化の分かりやすい例です。デジタル化、データ化することによって、様々なメリットが生まれますが、最大のメリットは情報が蓄積・保存・伝達しやすくなるということです。そうしたメリットを活かして、多くの産業やビジネスが発展し、デジタル技術が科学や研究の分野においても大いなる貢献をしてきたことは、改めて言うまでもありません。

私たちの日常生活の中でも、スマートフォンをはじめ家電や車のナビゲーションシステムなどデジタル化されて便利になったものがたくさんあります。私が個人的に、「ああ、デジタル化されて便利になったなあ」としみじみ感じるものの一つは写真です。私の学生の頃はまだスマートフォンどころかデジカメもない時代で、海外旅行へ行くときは「写ルンです」という使い捨てフィルムカメラを持っていきました。その「写ルンです」を持ってモロッコを旅したことがあるのですが、現地で撮った写真を日本に帰ってからプリントして、さらに家族や知人のために何百枚という写真の中からセレクトして、焼き増しして、一人ひとりに配る、という非常に手間と時間がかかることをやっていました。
今なら旅行中に実況中継さながらに、スマートフォンで撮った写真を即時にフェイスブックにアップして皆に共有(シェア)したり、LINEで送ることができます。つまり、写真がデジタル化されたことによる最大の恩恵は、その場で見られるとか、撮り直しがきくとか、保存・管理が楽になったというだけでなく、その写真をその場にいない人と簡単かつスピーディー(超高速)に「シェア(共有)できるようになった」ということなのです。

このようにデジタル化によって、私たちの日常生活に「シェア」というライフスタイル、概念が急速に広がりつつあります。また今、モノを所有するのではなく空いているもの、あまっているものをシェアして有効活用するシェアリングエコノミー(ビジネス)という考え方、ビジネス形態も拡大しつつあります。代表的な例は、タクシー配車サービスの「Uber」(ウーバー)や、空き部屋を活用した宿泊サービスを提供する「Airbnb」(エアビーアンドビー)などです。
世界は今「所有・独占」の時代から「シェア・共有」する時代に移行しつつあるのです。そして、ついに電気までもデジタル化され、シェアできる時代が近づいています。読者の皆様は、「電気のシェアってどういうこと?」と思われるでしょう。次回のコラムでは、デジタル化される電気についてご紹介したいと思います。

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