エネルギー革命の中心を担う蓄電池 第3回
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2023年11月06日
一般社団法人エネルギー情報センター
今注目を集める「リチウムイオン電池」について、その概要を全4回にわたってご紹介します。
執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
理事 江田健二
富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。
記事出典:書籍『2時間でわかる 蓄電池ビジネスの未来: ウィズコロナ時代に拡大する20兆円市場に注目せよ!』(2020年)
蓄電池業界の最新トレンド
蓄電池は住宅や店舗、オフィスや公共施設など様々な分野で普及が進んでおり、蓄電池システムはこの先5年、10年で最も技術的イノベーションが起こる分野だといわれています。
蓄電池技術は近年ますます進化しており、家庭用蓄電池もかなりコンパクト化され、性能も良くなっています。EVで有名なアメリカのテスラモーターズ社は「パワーウォール」という蓄電池を販売していますが、これは比較的安くてデザインもシンプル、しかも高性能という画期的な家庭用蓄電池システムです。パワーウォールは2020年春から日本でも発売を始めました。
またメルセデス・ベンツなどの高級車を手がけるドイツのダイムラー社は、新たに定置用(据え置き型)蓄電池の専門子会社メルセデス・ベンツ・エナジー社を設立し、オフィスや家庭で使える定置用リチウム蓄電池のグローバル展開を行っています。
蓄電池はまだまだ価格が高く、家庭においても産業分野においても導入コストが高額であることが大きな課題です。またコスト以外にも「充電に時間がかかり過ぎる」「利用可能時間が短い」という点がネックだといわれてきました。つまり、「充電する時にはかなりの時間がかかるのに、フル充電しても短時間でバッテリーが減ってしまう」という点です。しかし今後はこうした点も改善されていき、より安く、より高性能の蓄電池が開発・実用化されていくでしょう。
進化する充電技術「自動充電」と「無線充電」
蓄電池は住宅や店舗、オフィスや公共施設など様々な分野で普及が進んでおり、蓄電池システムはこの先5年、10年で最も技術的イノベーションが起こる分野だといわれています。
将来的にEVやモバイル機器、IoT機器が増えれば増えるほど、今までと違う場面での充電ニーズが高まります。それは「いつでも必要な時すぐに充電したい」というニーズです。こうしたニーズに応えるように、スーパーマーケットやショッピングモールの駐車場などでの、EVの新しい充電方式が実現しつつあります。
その一つが「自動充電」です。EVがIoTやAI技術を活用して自動的に充電状況を把握し、駐車場で電力が足りない時は自動で充電・記録・決済してくれるのです。ここに今話題のブロックチェーン技術が活用されます。
外での充電ニーズが高まるのはEVだけではありません。外出時に持ち歩くスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器もその対象です。皆さんも外出先で、「スマホのバッテリーが残り少ない! どこかで充電できないかな?」と困ったことはありませんか?
ここで、外で充電するというシーンにおいて重要となってくる新技術があります。それは「無線充電(ワイヤレス充電)」です。充電器(コード)がなくても、無線(ワイヤレス)状態で充電(給電・送電)ができるシステムです。非接触型給電とも呼ばれるワイヤレス充電は、すでにスマートフォンの充電などに使っている方も多いのではないでしょうか。
ワイヤレス充電(給電・送電)はすでにかなり技術開発が進んでいて、実用化の段階に入っています。このシステムが普及すれば、家の中も無線化して生活がより快適&便利になるはずです。基本的にコンセントから電気を取る必要がなくなりますから、テレビやオーディオを置く場所がコンセントの場所によって限定されなくなり、部屋のレイアウトの自由度も増します。
この技術を使えば、Wi‐Fiを受信するような感覚で充電ができます。これから急速に普及するであろうドローンや移動式ロボットも街中で無線充電するのが一般的になるでしょう。先ほどお話したEVの外出先駐車場での自動充電も、このワイヤレス充電がなければ成り立ちません。ワイヤレス充電は、蓄電池と電力・エネルギービジネスにおいて、今後重要なキーワードとなっていくはずです。
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一般社団法人エネルギー情報センター
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