電気で自己保湿するコンタクトレンズ、バイオ電池や無線給電で安全駆動、東北大学発表

2019年12月09日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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東北大学は、開発したハイドロゲル素材をコンタクトレンズに用いると、通電によってレンズ内に水流が発生し、乾燥速度が低下することを実証しました。さらに、生体親和性の高いバイオ電池を搭載して、有機物のみで構成された自己保湿型の抗ドライアイレンズの実現にも成功しました。

通電でレンズ内に水流、抗ドライアイ機構搭載のコンタクトレンズ

コンタクトレンズは、単なる視力矯正器具にとどまらず、美容・ファッションとしても普及しており、東北大学によると日本人の5人に1人が使用しています。今後、生体モニタや通信機能を有するスマートレンズが登場すると、コンタクトレンズの役割がさらに拡大していくと予想されています。

スマートコンタクトレンズは、AR(拡張現実)への応用のほか、医療用として生体ステータスを把握できる機能や、まばたきでシャッターを切るカメラ機能など、国内外で様々な開発が進められています。

しかしながら、スマートコンタクトレンズは視力矯正がメインではなく、生活を便利にする機能としての側面が強いため、その普及には目への負担を極力少なくすることが重要であると考えられます。

その点、コンタクトレンズの装着は水分の蒸発を促進するため、ドライアイ症状を深刻化する傾向があります。涙液の不足によるドライアイは、違和感によるQOLの低下、さらに角膜の炎症や損傷によって視覚障害の原因になる恐れがあり、スマートコンタクトレンズの利便性がこうしたデメリットを上回ることは非常に難しいものであると想定されます。

こうした中、東北大学は、開発したハイドロゲル素材をコンタクトレンズに用いると、通電によってレンズ内に水流が発生し、乾燥速度が低下することを実証しました。さらに、生体親和性の高いバイオ電池を搭載して、有機物のみで構成された自己保湿型の抗ドライアイレンズの実現にも成功しました。

点眼器や注射器に並ぶ眼孔への注出入法となる可能性

今回、東北大学大学院工学研究科の西澤グループは、コンタクトレンズ内に「電気浸透流」を発生させることで保湿が可能であることを実証しました。下瞼裏の涙液メニスカスから涙を汲み上げてレンズの湿潤を維持するものであり、新しいスマートレンズの開発につながる成果となります。

研究グループによると、世界初となる自己保湿コンタクトレンズの機能実証に成功したのは、ハイドロゲルの合成・成型技術、イオン伝導度による含水量モニタリング技術、および生体親和性電池による発電技術の蓄積によるものとしています。

電気浸透流は、固定電荷の存在などによってイオンの移動度に大きな差がある場合に、通電に伴って生じる流れであり、キャピラリー電気泳動やマイクロ流路における送液に利用されています。一方、ハイドロゲルに固定電荷を導入して電気浸透流による送液システムとする検討例は殆どなく、コンタクトレンズ内部に発生する浸透流と保湿性能との関連が指摘されたことも、これまでありませんでした(図1)。

今回の自己保湿するコンタクトレンズの機能は、ドライアイの緩和だけに留まりません。目薬の徐放制御や、房水排出の誘起による眼圧制御においても応用できる可能性もあり、点眼器や注射器に並ぶ眼孔への注出入法として発展すると期待できます。

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