「コーヒーかす」を自動車の燃料に、英ロンドン名物の赤い2階建てバスでエコ燃料採用
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2017年11月20日
一般社団法人エネルギー情報センター

11月19日、Royal Dutch Shellとbio-beanは廃棄物となる「コーヒーかす」から作られたバイオ燃料を使用して、ロンドンのバスの一部に電力を供給していることを明らかにしました。bio-beanはShellから資金と技術面での支援を受け、2013年から4年を費やし、コーヒーを抽出した後の豆かすを原料とする燃料を開発しました。
コーヒーを抽出した後の豆かすをバスの燃料に
英国は毎年50万トンのコーヒー粉を廃棄しており、そのほとんどは埋立地経由で処分されています。そこでは、二酸化炭素の28倍もの温室効果を持つメタンが放出されることとなります。
コーヒー粉の廃棄は、メタンの排出といった環境への悪影響だけではなく、企業にとっての経済的負担も大きいです。それは、英国政府による埋立税などが要因となります。
しかし、廃棄されるコーヒー豆は高カロリーかつ貴重な化合物を含んでおり、クリーンな燃料を生産するのに理想的な原料とすることが可能です。bio- beanは、そうした廃棄される「コーヒーかす」の特徴に着眼し、廃棄されるコーヒー豆を高度なバイオ燃料および生化学物質にリサイクルするプロセスを工業化した世界で初めての企業です。2013年にArthur Kay氏によって設立されました。
そのbio-beanとRoyal Dutch Shellが、廃棄物となる「コーヒーかす」から作られたバイオ燃料を使用して、ロンドンのバスの一部に電力を供給していることを明らかにしました。bio-beanはShellから資金と技術面での支援を受け、2013年から4年を費やし、コーヒーを抽出した後の豆かすを原料とする燃料を開発しました。
従来のディーゼル燃料と比較して、CO2排出量を10-15%削減
bio-beanによると、ロンドンでは一人当たり平均、一日に2.3カップのコーヒーを飲み、年間で20万トン以上のコーヒー廃棄物を生産します。それらが埋め立てられるとすると、約1億2600万kgものCO2を排出するポテンシャルがあります。
bio-beanは、本来廃棄されるコーヒー豆をコーヒーショップ、オフィス、輸送用ハブ、コーヒー工場等から回収し、持続可能で高性能な製品にリサイクルしています。今回の発表により、「コーヒーかす」から作ったバイオ燃料を使って、ロンドンのバスに電力を供給していることが明らかになりました(図1)。
bio-beanは、英最大のバイオ燃料メーカーであるArgent Energyと協力して、コーヒーオイルをブレンドしたB20というバイオ燃料に加工します。bio-beanが集め自社工場で加工したコーヒーかすは、Argent Energyに送られて油脂につぎ足され、バイオ成分が20%のバイオディーゼル燃料となります。
今回、6000リットルものコーヒーオイルがB20を形成するために利用され、ロンドンバスに利用されます。このコーヒーかすによる燃料は、ロンドンバス1年間分を稼働させるエネルギーに相当します。また、B20バイオディーゼルは、従来のディーゼル燃料と比較して、CO2排出量を10-15%削減することが可能です。
なお、Shellとbio-beanによる今回のコラボレーションは、ポジティブなエネルギー革新を引き起こす起業家を支援する、Shellのmake the futureイニシアチブの一環となります。
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