沖縄県初、日本の離島で初のスマート水素ステーション、宮古空港で稼働開始

2017年08月09日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

沖縄県初、日本の離島で初のスマート水素ステーション、宮古空港で稼働開始の写真

Hondaは8月7日、宮古空港ターミナルがHondaのスマート水素ステーション、燃料電池自動車(FCV)、外部給電器を導入したと発表しました。日本の離島で初のスマート水素ステーションとなり、沖縄県で初めて燃料電池自動車の稼働が実現することとなります。

持続可能な島づくりを進める宮古島

宮古島は、エメラルドグリーンの海と、特色ある動植物が生息する四方を海に囲まれた隆起珊瑚礁からなる島です。国指定の名勝地である東平安名崎や国内最大級のサンゴ礁群「八重干瀬」、また国内ベストビーチランキング1にランクインした与那覇前浜ビーチ、ラムサール条約の登録をうけた与那覇湾など、豊富な自然・景観資源を有しています。

また、豊富な自然のもとでスポーツを楽しむべく、毎年国際的規模のイベントである全日本トライアスロン宮古島大会の開催、プロ野球をはじめとするスポーツキャンプの実施など「スポーツアイランド」としても知名度をあげています。そうしたこともあり、平成28年には年間約70万人の観光客が訪れる一大観光地となります。

こうした豊かな自然がある一方、産業経済活動の活発化などにより、地下水や海洋の汚染、不法投棄等の問題が現れるようになりました。そのため、宮古島市は2008年に「エコアイランド宮古島宣言」を行い、持続可能な島づくりに向けて取り組むこととしました。宣言後はその具現化に向けた計画策定を行い、2009年に「環境モデル都市」として認定を受けるに至りました。その中で、基準年(2003年)のCO2排出量約32万t-CO2に対し、2030年度までに約4割、2050年度までに約7割を削減する目標を掲げ、様々な取り組みを進めています。

そうしたこともあり、宮古島市は、2016年に沖縄県内で初となる「地中熱を利用したヒートポンプシステム」と「モニタリング設備」を設置するほか、2017年には「宮古島市電気自動車普及に係る基本計画書」を策定するなどの活動を進めてきました。

宮古空港において、日本の離島で初のスマート水素ステーションが稼働

宮古空港貨物ターミナルにおいては、独立分散型太陽光発電・蓄電池施設が、2016年4月から本格稼働しています。太陽光発電システムは83kW、蓄電池設備は218kWhの規模となります。年間発電電力量は9万7千KWで、貨物ターミナル区域の年間消費電力量の78%を賄える試算となります。また、台風等停電時も蓄電池に貯めた電源を使用でき、マンゴーなどフライト農作物の冷蔵保管に活用できると期待されています。

この宮古空港において、日本の離島で初のスマート水素ステーションが稼働開始すると、Hondaが発表しました。宮古空港ターミナルの事業が、環境省「二酸化炭素排出抑制対策事業」に採択され、その事業においてHondaのスマート水素ステーション、燃料電池自動車「クラリティ FUEL CELL」、外部給電器「Power Exporter 9000」が導入されます(図1)。

稼働を開始した宮古空港のSHSとクラリティ

図1 稼働を開始した宮古空港のスマート水素ステーションとクラリティ 出典:Honda

既存の太陽光発電システムにスマート水素ステーションを新たに接続することで、再生可能エネルギー由来でCO2フリーの水素製造が実現します。その水素によるクラリティの運用、さらにクラリティの発電する電力を外部給電により活用する体制が整いました。

塩害対策のため、スマート水素ステーションは建屋の中に設置されました。さらに、水素製造には除塩フィルター(建屋左)で除塩した空気が利用され、供給される電気は全て、貨物ターミナル屋上のソーラーで賄われます。また、ソーラー発電の電気はスマート水素ステーションに送られる他、リチウムイオンバッテリーの蓄電設備にも蓄えられます。

離島は島外からのエネルギー輸送コストといったエネルギー問題を抱えています。今回の事業は、そうした問題の解消手段のひとつとして、再エネから水素を作り出し、エネルギーの地産地消を実現する試みとなります。

7月28日に行われた稼働式では、はじめに宮古空港ターミナルの代表取締役社長である下地義治氏が登壇し、「昨年7月、環境省から本事業を採択され、同事業の機器設置工事などを進めて参りましたが、このほどスマート水素ステーションが完成し、県内初の燃料電池自動車の稼働が実現しました。世界的な地球温暖化対策の流れの中で、水素技術は注目を集めており、エネルギー環境の向上、新たな産業の創出が期待されています。沖縄県内では先駆けとなるこの事業が水素社会の実現に貢献できれば喜ばしい限りです」と、挨拶を述べました。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

蓄電池×エネルギーマネジメント 第1回の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年03月06日

新電力ネット運営事務局

蓄電池×エネルギーマネジメント 第1回

EVと並んで蓄電池と大きな関わりのある「エネルギーマネジメント」にテーマを絞って、蓄電池の今と未来を全6回に渡ってご紹介していきます。

エネルギー革命の中心を担う蓄電池 第4回の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年11月23日

新電力ネット運営事務局

エネルギー革命の中心を担う蓄電池 第4回

今注目を集める「リチウムイオン電池」について、その概要を全4回にわたってご紹介します。

エネルギー革命の中心を担う蓄電池 第3回の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年11月06日

新電力ネット運営事務局

エネルギー革命の中心を担う蓄電池 第3回

今注目を集める「リチウムイオン電池」について、その概要を全4回にわたってご紹介します。

エネルギー革命の中心を担う蓄電池 第2回の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年10月08日

新電力ネット運営事務局

エネルギー革命の中心を担う蓄電池 第2回

今注目を集める「リチウムイオン電池」について、その概要を全4回にわたってご紹介します。

ワイヤレス化など、進化するEV充電器。国内外のビジネス事例は?最新動向②の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年09月27日

新電力ネット運営事務局

ワイヤレス化など、進化するEV充電器。国内外のビジネス事例は?最新動向②

これまで遅れをとっていると指摘されてきたEV充電インフラですが、2030年までの充電インフラ15万基設置目標を政府が掲げ、民間での動きが活発になっています。国内外のビジネス事例の最新動向をご紹介します。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス ビジネス屋と技術屋が一緒に考える脱炭素