世界最大の1万kW級の水素製造装置、再エネ拡大を見据えたデマンドレスポンスに活用

2017年08月04日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

世界最大の1万kW級の水素製造装置、再エネ拡大を見据えたデマンドレスポンスに活用の写真

8月1日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は再生可能エネルギーから得た電力を用いて水素を製造・利用するPower to Gasについて、福島県で水素エネルギーシステムを構築するプロジェクトを採用しました。1万kW級の水素製造装置を備えたシステムとなり、世界最大規模の製造能力となります。

NEDOが進める水素の利活用推進

NEDOは、再生可能エネルギーから得た電力で水素を製造、利用するシステム(Power to Gas)の実現を目指し、研究開発プロジェクトを推進しています。そのため、2016年9月から、Power to Gasシステムの経済性・技術成立性の評価や、実フィールドにおけるシステム技術開発の実施内容などを検討する基礎検討(FSフェーズ)を6テーマにおいて実施してきました。

そして2017年8月1日、NEDOは各テーマの実現可能性や計画内容を評価し、3テーマについてシステム技術開発(実証フェーズ)に移行することを決定しました。3テーマの概要は、以下の通りです。

テーマ1、再エネ利用水素システムの事業モデル構築と大規模実証に係る技術開発

再生可能エネルギーの導入拡大を見据えた電力系統の需給バランス調整(デマンドレスポンス)としての水素活用事業モデルおよび水素販売事業モデルの確立を目指すものです。電力系統の需給バランス調整への対応、水素需要予測に基づいた水素製造およびこれらを組み合わせて最適化する効率的な運用技術の確立が図られます。

委託先 株式会社東芝、東北電力株式会社、岩谷産業株式会社
実証研究場所 福島県浪江町
再生可能エネルギーの種別 太陽光、風力
テーマ2、稚内エリアにおける協調制御を用いた再エネ電力の最大有効活用技術

再生可能エネルギー由来電力の活用を最大化するため、水電解水素製造装置、蓄電池および水素混焼エンジンの協調制御システムを開発するものです。短周期・長周期変動緩和および下げ代不足対策等のサービスを提供しつつ、水素を外販する変動緩和事業の実現を目指した取組が進められます。

委託先 株式会社日立製作所、北海道電力株式会社、一般財団法人エネルギー総合工学研究所
実証研究場所 北海道稚内市
再生可能エネルギーの種別 風力、太陽光
テーマ3、CO2フリーの水素社会構築を目指したP2Gシステム技術開発

季節や時間によって大きく変動する太陽光発電に対して、その電力を固体高分子形水電解水素製造装置を隣接に設置することで吸収し、電力網の供給余力と発電サイドの需給調整力を創出するものです。また、製造された水素を工場等の熱需要や運輸において利活用することで、需要サイドでの化石燃料の消費を抑制する新たな事業モデルの実現に向けた技術開発が行われます。

委託先 山梨県企業局、東レ株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、株式会社東光高岳
実証研究場所 山梨県甲府市
再生可能エネルギーの種別 太陽光

世界最大規模の1万kW級の水素製造装置を備えたシステム、再生可能エネルギーの導入拡大を見据えたデマンドレスポンスに活用

今回の記事では、上記3テーマの内の1つである、福島県で水素エネルギーシステムを構築するプロジェクトについて見ていきます。これは、世界最大規模の1万kW級の水素製造装置を備えたシステムとなります。

福島県における水素エネルギーシステム構築プロジェクトは東芝、東北電力、岩谷産業が進めているものです。上述のように、NEDOが公募した「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発/再エネ利用水素システムの事業モデル構築と大規模実証に係る技術開発」において、2016年9月に採択されました。その後、3社はこれまでシステム構成や仕様、技術・経済成立性について検討・評価を進めてきました。

水素エネルギーシステムでは、水素を大容量かつ長期間保存できます。そのため、再エネ電力を一旦水素に変換して貯蔵することにより、再生可能エネルギーを大量導入した際のデマンドレスポンスとしての活用が期待されています。

今回の事業は、再生可能エネルギーの導入拡大を見据えたデマンドレスポンスのための水素活用事業モデル等を確立させるものです。陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを中心とした電気を活用して、福島県内に設置する最大1万kW級の水素製造装置で水素を製造します。

製造した水素は、水素発電装置により電力系統の調整力として活用するほか、液化し外部に供給することも想定されています(図1)。

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