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アンモニアを直接燃料とした燃料電池、世界最大規模の発電に成功

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アンモニアを直接燃料とした燃料電池、世界最大規模の発電に成功の写真

7月5日、京都大学はアンモニアを直接燃料とした固体酸化物形燃料電池で、1kWクラスの世界最大規模の発電に成功したと発表しました。ノリタケカンパニーリミテド、IHI、日本触媒、豊田自動織機、三井化学、トクヤマとの共同研究の結果となります。

水素を運ぶ「エネルギーキャリア」として有用なアンモニア、燃料電池に活用

水素はクリーンであることに加え、化石燃料・再生可能エネルギーからの製造が可能で、エネルギー供給源の多様化にも寄与します。ただし、水素の製造、輸送・貯蔵はコストがかかり、現状の水素製造コストはガソリンの数倍となっています。このため、水素を実社会に組み込むためには、水素利用に関する研究・実証は重要です。

2014年度にスタートした「戦略的イノベーション創造プログラム」の10テーマの中では、水素社会に向けた技術開発プログラムとして「エネルギーキャリア」が組み込まれました。「エネルギーキャリア」とは、気体のままでは貯蔵や長距離の輸送の効率が低い水素を、液体にしたり水素化合物にして効率的に貯蔵・運搬する方法です。

このエネルギーキャリアでは、CO2フリー水素の製造から3つのキャリア(液化水素、有機ハイドライド、アンモニア)による輸送、貯蔵そして水素の利用までの主要な技術開発が推進されます(図1)。

エネルギーキャリアの取組み

図1 エネルギーキャリアの取組み 出典:科学技術振興機構

平成28年4月1日時点において、戦略的イノベーション創造プログラムによる「エネルギーキャリア」のテーマは10個あり、いずれも水素利用の拡大に貢献すると考えられるものです(図2)。今回、京都大学が発表した固体酸化物形燃料電池(SOFC)はその一つであり、1kWクラスの世界最大規模の発電に成功する結果となりました。

SIPエネルギーキャリア・テーマ一覧(平成28年4月1日現在)

図2 SIPエネルギーキャリア・テーマ一覧(平成28年4月1日時点) 出典:科学技術振興機構

高効率なSOFCの特徴

燃料電池にはいくつかの種類があり、今回の研究で活用されたSOFCはその中の1つです(表1)。SOFCは、700~900℃で動作する酸化物セラミックスを構成材料とする燃料電池となります。SOFCやMCFCは他と比較して電池の動作温度が高く、排熱を利用した複合発電もできるため、特に高温型燃料電池と呼ばれてます。

また、PEFC型よりも遅れて市場投⼊されたSOFC型は、理論上はより⾼い発電効率を有し、改質器等の構造から部品点数が少なくて済むといった特徴を持ちます。

ヒドラジン形 直接メタノール形 DMFC アルカリ形 AFC 固体高分子形 PEFC リン酸形 PAFC 溶融炭酸塩形 MCFC 固体酸化物形 SOFC
温度[℃] 5~60 5~150 5~150 5~150 160~210 600~700 700~900
燃料 酸化剤 ヒドラジン
空気、H2O2
メタノール
空気
H2(不含 CO2)
O2(不含 CO2)
H2
空気
H2
空気
H2、CO
空気
H2、CO
空気

表1 燃料電池の種類 出典:横浜国立大学資料、京都大学資料より作成

このSOFCについては、既に都市ガスを利用する家庭用ユニットでは実用化されています。2011年には、当時のJX日鉱日石エネルギーより世界最初の家庭用固体酸化物形(SOFC)システム「エネファーム typeS」が発売されました。2012 年には大阪ガスよりアイシン精機製システムの販売が開始され、家庭用燃料電池システムとして世界最高水準(2012年3月時点)の発電効率を実現しています(図3)。

各社の家庭用燃料電池システム

図3 各社の家庭用燃料電池システム 出典:NEDO

アンモニアとSOFCの融合、実用化クラスの発電量

アンモニア(NH3)はそれ自身が水素を多く含んでおり、エネルギーキャリアとして期待されています。京都大学が今回発表した成果は、アンモニアを燃料として直接SOFCスタックに供給することで、1kWの発電を実現するものです。

1個の燃料電池(単セル)では数10 ワット(W)程度の出力ですが、SOFCスタックでは燃料電池をセパレーターと呼ばれる導電性の材料と交互に数十~数100個コンパクトに直列に連結することで、電圧および出力を増加させています。今回の研究では、SOFC燃料電池を連結する方法を取っています。

今回のアンモニア燃料電池は、電解質であるジルコニアの片面に取り付けた燃料極に、発電の燃料となるアンモニアガスを直接供給します。そうして反対側の空気極に空気を供給することによって、両極の間で電力を発生させる原理が利用されています(図4)。

図4 直接アンモニアSOFCの原理図 出典:京都大学

これまでも小規模な発電は試験されてきましたが、今回の技術はこの燃料電池単セルを30枚積層し、温度分布を最小として、アンモニアが各セルに均等に流れるようにしています。その結果、より実用規模に近い1kWクラスのSOFCスタックへ直接アンモニアを供給し、発電できるようになりました(図5)。

今回の研究の結果、アンモニア燃料電池であっても、これまでの汎用SOFCと同程度の発電出力を達成できることが分かりました。そのため、アンモニアがSOFCの燃料として適しており、有害物質や温暖化ガスの発生を伴わない発電が実用規模まで拡大できる可能性を示すものとなります。

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