2016年の「電気業」を営む新設法人数、前年比18.1%減の1791社、改正FITが影響の可能性

2017年07月03日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

2016年の「電気業」を営む新設法人数、前年比18.1%減の1791社、改正FITが影響の可能性の写真

6月30日、東京商工リサーチは2016年に新しく設立された法人2万7829社のうち、約6%にあたる1791社が電力事業者であったと発表しました。2015年が2189社であったため、前年比では18.1%の減少となります。調査が開始された2009年以降、初めて2年連続で前年を下回りました。

2016年の「電気業」を営む新設法人数は約1800社、前年比約18%の減少

これまでコスト高になりやすい再生可能エネルギーの普及は政策に左右される部分が大きく、日本においては補助金による導入支援から始まりました。2003年からRPS制度が始まり、2009~2012年には太陽光の余剰電力買取制度が開始、その後2012年7月にFITが施行されました。効果が限定的であったPRS制度と異なり、FITは太陽光を中心とした電力事業への新規参入を促し、ビジネスとしても大きな市場を生み出しました。

ただ、買取価格が段階的に引き下げられてきたことに加え、改正FITでは参入条件が厳格になるなど、コスト効率や安全性等に対する引き締めが強化されつつあります。例えば、予め電力会社と系統接続を合意しておくことが認定要件になるほか(図1)、2000kW以上の太陽光発電は入札が実施されるなど、これまでよりもFITを利用することが難化傾向にあります。

改正FITにおける事業の流れ

図1 改正FITにおける事業の流れ 出典:資源エネルギー庁

このようにFITを活用した再エネ事業の進め方も変化していく中、東京商工リサーチは2016年(1-12月)に新しく設立された法人12万7829社のうち、電力事業者は前年比18.1%減の1791社だったと発表しました。東京商工リサーチが調査を始めた2009年以降、初めて2年連続で前年を下回る結果となります(図2)。

なお、今回の調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象327万社)から、2009-2016年に新しく設立された法人データのうち、日本標準産業分類に基づく中分類から「電気業」を抽出し、分析したものとなります。

電力事業者 新設法人年間推移

図2 電力事業者 新設法人年間推移 出典:東京商工リサーチ

太陽光発電が大きく減少、その他は概ね増加

2016年に新設された電力事業者1791社のうち、主な事業内容が「太陽光」、「ソーラー」の新設法人は1045社となり、前年比28.7%減で減少が際立ちます。FIT(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の中でも、太陽光発電の買取価格の値下がり幅が大きいことが一因だと考えられます。

一方で、風力は242社(前年比22.2%増)、地熱は126社(同18.8%増)など、太陽光発電以外は概ね増加しています(図3)。ただ、それでも太陽光発電の減少分を補うには至りませんでした。

電力事業者の新設年次推移 利用エネルギー別(重複あり)

図3 電力事業者の新設年次推移 利用エネルギー別(重複あり) 出典:東京商工リサーチ

新設数トップは東京都の566社

新設数トップは、東京都の566社(構成比31.6%)となりました。次いで、愛知県の60社(同3.3%)、大阪府の58社(同3.2%)、福岡県の57社(同3.1%)と続きます。一方で、山形県や鳥取県は最も少なく、双方とも5社(同0.28%)でした。47都道府県のうち、増加は16県、横ばい3県、減少は28都道府県となりました。

資本金、「1百万円未満」が約5割

資本金別では、「1百万円未満」が888社(構成比49.5%)で、約5割を占めました。これを含めた「1千万円未満」が1575社で、全体の約9割(同87.9%)と小規模資本での参入が多いのが特徴です。「1千万円以上」は142社(同7.9%)にとどまりました。

法人格別、合同会社が大幅減

法人格別での最多は、合同会社の957社(構成比53.4%)でした。しかし、前年(2015年)と比較すると20.2%の減少となり、最多を記録した2014年の1821社からは半減(47.4%減)しています(図4)。

合同会社は、株式会社よりも設立コストが安く、決算公告も不要で、株主総会を開催する義務等がありません。そうしたことから、FIT導入以降、太陽光関連の事業者が発電設備ごとに同一住所地に複数の合同会社を設立するケースが相次ぎましたが、2016年度は大幅に減少しています。

法人格別の電力事業者における新設法人

図4 法人格別の電力事業者における新設法人 出典:東京商工リサーチ

FITは再エネ導入の原動力となっており、太陽光発電を中心に、約4年間で対象となる再エネの導入量は概ね2.5倍となりました。また、政府は2030年度の再エネの導入水準を電源構成の22~24%とする目標を掲げ、普及拡大を目指しています。

一方で、太陽光発電に偏った導⼊を課題としており(図5)、地熱などリードタイムが長く導入の進んでいない電源開発を推進していく方針です。太陽光発電については、FITといった政策的支援がなくても自立化できるビジネスに進展させることを目指しています。

また、太陽光発電においては、設備が設置される自治体では近隣住民とのトラブル回避に向けたルール整備が進んでいます。例えば、長野市は「太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」を改定し、2017年8月以降に着工される案件には「設置が適当でないエリア」などを設定します。

これまで、電力事業者の新設数を押し上げていた太陽光発電は、これから事業環境が大きく変わっていくと考えられます。今後はFITなど政策的支援に頼らない、自立した新しいビジネスが太陽光発電の市場を牽引していくと想定されます。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

EMS関連市場、卒FIT等により2030年に約1.7兆円、省エネからデータ取引等の付加価値の時代へ、富士経済予測の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年12月10日

新電力ネット運営事務局

EMS関連市場、卒FIT等により2030年に約1.7兆円、省エネからデータ取引等の付加価値の時代へ、富士経済予測

富士経済は国内のEMS関連市場を調査した結果として、国内市場が2030年に1兆7134億円(2018年度比194%)に達する見込みであると発表しました。この調査では、EMS関連システムや需要家側EMS関連設備、EMS関連サービスの市場動向を整理し、それらをEMS関連市場として定義した上で今後の動向を推測しています。

太陽光発電の廃棄対応、1kWhの発電につき0.8円程度の積立金の可能性、10kW以上の設備、2022年7月開始予定の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年11月26日

新電力ネット運営事務局

太陽光発電の廃棄対応、1kWhの発電につき0.8円程度の積立金の可能性、10kW以上の設備、2022年7月開始予定

経済産業省では平成31年より「太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するワーキンググループ」を設置し、適切な積立が行われるよう制度設計が議論されています。本記事では、使用済み太陽光発電に対する省庁の動きを見ていきます。

中小企業等を対象としたRE100の新枠組、「再エネ100宣言RE Action」発足、環境省がアンバサダー参加の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年10月16日

新電力ネット運営事務局

中小企業等を対象としたRE100の新枠組、「再エネ100宣言RE Action」発足、環境省がアンバサダー参加

10月9日、グリーン購入ネットワーク、イクレイ日本、公益財団法人地球環境戦略研究機関、日本気候リーダーズ・パートナーシップの4団体は、使用電力の再エネ100%化宣言を表明するイニシアティブ「再エネ100宣言 RE Action(アールイー・アクション)」を発足しました。

第1回ベースロード市場、価格は8.70~12.47円/kWh、2018年度平均エリアプライスを下回るの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年09月13日

新電力ネット運営事務局

第1回ベースロード市場、価格は8.70~12.47円/kWh、2018年度平均エリアプライスを下回る

本記事では、8月9日に実施された第1回目ベースロード市場のオークション結果(2020年度受渡分)について概要を見ていきます。どのエリアにおいても、約定価格が平均エリアプライスを下回る一方、売りに比べ買い入札量が少なく16.1億kWhの約定量に留まりました。

2021年度の固定価格買取制度の検討状況、小規模はFIT継続、大規模はFIPや入札になる可能性の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年08月15日

新電力ネット運営事務局

2021年度の固定価格買取制度の検討状況、小規模はFIT継続、大規模はFIPや入札になる可能性

「特別措置法」であるFIT法には、2020年度末(2021年3月31日)までに抜本的な見直しを行う旨が規定されています。本記事では、国による検討内容から、2021年度以降のFIT制度における方向性を見ていきます。