2016年の「電気業」を営む新設法人数、前年比18.1%減の1791社、改正FITが影響の可能性
一般社団法人エネルギー情報センター

6月30日、東京商工リサーチは2016年に新しく設立された法人2万7829社のうち、約6%にあたる1791社が電力事業者であったと発表しました。2015年が2189社であったため、前年比では18.1%の減少となります。調査が開始された2009年以降、初めて2年連続で前年を下回りました。
2016年の「電気業」を営む新設法人数は約1800社、前年比約18%の減少
これまでコスト高になりやすい再生可能エネルギーの普及は政策に左右される部分が大きく、日本においては補助金による導入支援から始まりました。2003年からRPS制度が始まり、2009~2012年には太陽光の余剰電力買取制度が開始、その後2012年7月にFITが施行されました。効果が限定的であったPRS制度と異なり、FITは太陽光を中心とした電力事業への新規参入を促し、ビジネスとしても大きな市場を生み出しました。
ただ、買取価格が段階的に引き下げられてきたことに加え、改正FITでは参入条件が厳格になるなど、コスト効率や安全性等に対する引き締めが強化されつつあります。例えば、予め電力会社と系統接続を合意しておくことが認定要件になるほか(図1)、2000kW以上の太陽光発電は入札が実施されるなど、これまでよりもFITを利用することが難化傾向にあります。

図1 改正FITにおける事業の流れ 出典:資源エネルギー庁
このようにFITを活用した再エネ事業の進め方も変化していく中、東京商工リサーチは2016年(1-12月)に新しく設立された法人12万7829社のうち、電力事業者は前年比18.1%減の1791社だったと発表しました。東京商工リサーチが調査を始めた2009年以降、初めて2年連続で前年を下回る結果となります(図2)。
なお、今回の調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象327万社)から、2009-2016年に新しく設立された法人データのうち、日本標準産業分類に基づく中分類から「電気業」を抽出し、分析したものとなります。

図2 電力事業者 新設法人年間推移 出典:東京商工リサーチ
太陽光発電が大きく減少、その他は概ね増加
2016年に新設された電力事業者1791社のうち、主な事業内容が「太陽光」、「ソーラー」の新設法人は1045社となり、前年比28.7%減で減少が際立ちます。FIT(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の中でも、太陽光発電の買取価格の値下がり幅が大きいことが一因だと考えられます。
一方で、風力は242社(前年比22.2%増)、地熱は126社(同18.8%増)など、太陽光発電以外は概ね増加しています(図3)。ただ、それでも太陽光発電の減少分を補うには至りませんでした。

図3 電力事業者の新設年次推移 利用エネルギー別(重複あり) 出典:東京商工リサーチ
新設数トップは東京都の566社
新設数トップは、東京都の566社(構成比31.6%)となりました。次いで、愛知県の60社(同3.3%)、大阪府の58社(同3.2%)、福岡県の57社(同3.1%)と続きます。一方で、山形県や鳥取県は最も少なく、双方とも5社(同0.28%)でした。47都道府県のうち、増加は16県、横ばい3県、減少は28都道府県となりました。
資本金、「1百万円未満」が約5割
資本金別では、「1百万円未満」が888社(構成比49.5%)で、約5割を占めました。これを含めた「1千万円未満」が1575社で、全体の約9割(同87.9%)と小規模資本での参入が多いのが特徴です。「1千万円以上」は142社(同7.9%)にとどまりました。
法人格別、合同会社が大幅減
法人格別での最多は、合同会社の957社(構成比53.4%)でした。しかし、前年(2015年)と比較すると20.2%の減少となり、最多を記録した2014年の1821社からは半減(47.4%減)しています(図4)。
合同会社は、株式会社よりも設立コストが安く、決算公告も不要で、株主総会を開催する義務等がありません。そうしたことから、FIT導入以降、太陽光関連の事業者が発電設備ごとに同一住所地に複数の合同会社を設立するケースが相次ぎましたが、2016年度は大幅に減少しています。

図4 法人格別の電力事業者における新設法人 出典:東京商工リサーチ
FITは再エネ導入の原動力となっており、太陽光発電を中心に、約4年間で対象となる再エネの導入量は概ね2.5倍となりました。また、政府は2030年度の再エネの導入水準を電源構成の22~24%とする目標を掲げ、普及拡大を目指しています。
一方で、太陽光発電に偏った導⼊を課題としており(図5)、地熱などリードタイムが長く導入の進んでいない電源開発を推進していく方針です。太陽光発電については、FITといった政策的支援がなくても自立化できるビジネスに進展させることを目指しています。
また、太陽光発電においては、設備が設置される自治体では近隣住民とのトラブル回避に向けたルール整備が進んでいます。例えば、長野市は「太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」を改定し、2017年8月以降に着工される案件には「設置が適当でないエリア」などを設定します。
これまで、電力事業者の新設数を押し上げていた太陽光発電は、これから事業環境が大きく変わっていくと考えられます。今後はFITなど政策的支援に頼らない、自立した新しいビジネスが太陽光発電の市場を牽引していくと想定されます。
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一般社団法人エネルギー情報センター
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