省エネや補助金の獲得につながるIoT、新電力企業が取り組む実例から見る

2016年09月14日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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今後、スマートな工場・ビル・住宅の実現により500万kl近くのエネルギーが削減できると見込まれています。このコラムでは、新電力企業による「電力の見える化」サービスや、それに付随する補助金獲得の優位性について見ていきたいと思います。

IoTによるエネルギーマネジメント、500万kl以上のエネルギー削減

省エネルギーはわが国においても重要な課題であり、パリ協定を踏まえたエネルギー政策の変革の動きとして、重要なポジションにあります。パリ協定ではエネルギーミックス実現により2030年までに温室効果ガスのマイナス26.0%達成を掲げており、エネルギー消費で換算すると4割の削減となります。経済成長を目指しながらのエネルギー消費削減となるため、目標の達成には省エネルギーの推進は必要不可欠ともいえます。

これまで、省エネルギーを実現するには、計画停電など電力の消費者にとって不自由を強いることも多くありました。しかしこれはからは、そうした「我慢の省エネ」から「スマートな省エネ」へと舵を切っていく動きがあります。

スマートな省エネの実現には、IoTの概念が不可欠となります。カメラやセンサーを用いることにより、エネルギー使用状況などを収集し、それをエネルギー管理サービスに落とし込みます。こうすることにより、工場では67万kl、ビルや家庭では414万kl、自動車では52万klの削減が見込まれます。合計すると500万kl以上となり、日本全体のエネルギー消費としては3億6000万klのため、全体の約1.5%をエネルギーマネジメントにより削減する見込みとなります。

さらに、IoTによるスマートなエネルギー管理では、省エネだけではなく、付加的な価値も提供されます。例えば、工場では、高付加価値の製品製造や、IoTによる競争力を持った先端的な工場の実現などが考えられます。

エネルギーマネジメントの全体像

エネルギーマネジメントの全体像 出典:経済産業省

電力とIoTによる「見える化」でエネルギーを削減

電力とIoTを結びつけた事業を展開している企業に、テス・エンジニアリング株式会社があります。同社は、各種環境・省エネ対策システム等導入の為の事業所診断、設計、調達、施工、メンテナンス、24時間監視システム、エネルギー管理システムによる運用管理サポート、エネルギー供給サービス、小売電気事業、太陽光発電事業といった、幅広い事業を展開している企業です。

昨今、IoTによる電力マネジメントにより、エネルギーを上手に管理する仕組みが求められています。その点で、同社はこれまでコージェネレーションシステムを中心とした24時間監視システムにおいて電気、温水、蒸気、空気など、様々な要素の“見える化”を行ってきました。

同社が提供するTESS WebViewは、クラウドサーバにデータを保存し、WEB上での閲覧を可能にしたエネルギーマネジメントシステムです。このシステムを導入した事業者は、いつでも、どこからでも設備の稼働状況を遠隔で確認できます。また、パソコン、スマートフォン、タブレットといった端末から情報を閲覧することができます。加えて、帳票や警報が自動配信されるので、定期確認の簡易化と異常の即時発見を可能にします。

TESS WebViewの特徴

WebViewの特徴 出典:テス・エンジニアリング

エネマネ事業者の活用で補助金を有利に獲得

テス・エンジニアリングは、平成28年度のSIIエネマネ事業者として採択されています。エネマネ事業者とは、エネルギー管理支援サービスを通じて工場・事業所等の省エネルギー事業を支援する者として、一般社団法人環境共創イニシアチブに登録された事業者をいいます。エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入を通じて、工場・事業場等の省エネルギー事業を支援します。

省エネの補助金で有名な「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」というものがあるのですが、これは「省エネルギー効果・電力ピーク対策効果」、「費用対効果」及び「技術の先端性」等を踏まえて政策的意義の高いと認められる事業に対し、省エネに必要となる費用の最大1/3が交付されるものです。

エネルギー使用合理化等事業者支援補助金の概要

エネルギー使用合理化等事業者支援補助金の概要 出典:経済産業省

ただし、同社のような「エネマネ事業者」の提供するエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用することで、より一層の効率的・効果的な省エネルギーを実施する事業については、補助率は最大1/2と経済的な見返りが大きくなります。

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