法人向け 家庭向け

電力自由化によって広がりを見せる新電力、ファン・コミュニティの魅力で訴求する仕組み

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

電力自由化によって広がりを見せる新電力、ファン・コミュニティの魅力で訴求する仕組みの写真

電力自由化に伴い、既存コンテンツのブランド力や地域の魅力にフォーカスしたプランが徐々に増えてきています。今回のコラムでは、そういった電力以外のブランドにおけるファンの購買力や、地域の持つ魅力を新電力事業に取り込む際の基本について概観していきます。

独自のファンを持つコンテンツの魅力を活用した新電力の仕組み

電力の自由化により、電力プランは爆発的に増加し多様性も生まれました。しかし、いくら魅力的なプランがあっても、電力に全く関心がない層には、その価値が響きづらいです。そうした層に電力販売を切り込むために、電力とは全く別のジャンルからファンを取り込むようなプランが生まれてきています。別のジャンルとは、例えばスポーツやアニメといったものであり、既に一定のファンや顧客を持つコンテンツとなります。

スポーツやアニメといったジャンルは、既にセグメントされたターゲット層を持っており、購買力も期待できるため、企業にとって非常にわかりやすい魅力的なコンテンツとなっています。そうした、既存のブランド力を橋渡しとして電力プランの販売力を強化するような多様性が生まれることも、電力自由化の魅力の一つです。

電力会社がスポーツなどのブランド力を取り入れる場合は、既に電力会社がブランド力を持つコンテンツを持っている場合を除き、他社との提携で事業展開します。そうすると、2社以上が資金を出して広告宣伝活動などを行えるので、一社当たりの負担は少なくなります。あるいは、1社だけでは実現しえない規模の広告などを製作することも可能となります。

企業同士のコラボは、ブランド力の強化にも繋がります。特に、認知度の高い企業同士のコラボでは効果が高いです。話題になりメディアなどでも取り上げられるので、お互いの企業の顧客がそれぞれの企業のブランドに注目することも期待できます。

新規顧客の獲得や、新境地の開拓といったことも見込めます。これまでのやり方では訴求できなかったセグメントに魅力を伝えられるようになります。また、ブランドイメージがある程度固まっている企業でこのようなことを試みると、人々はその意外性に注目します。

しかしいざコラボレーションするとなると、ブランドの持つ世界観、ファンの特徴、権利者のスタンスによって、重視すべきポイントはバラバラです。また、熱心なファンはたしかに購買力を持っていますが、その分クオリティには厳しい目を持っており、下手をすれば逆に反発を浴びさえします。普段目にする大ヒットしているコラボ商品の裏には、「とりあえずコラボ」の無数の失敗があるのです。異業種同士が協力し合うときには、両社の方向性などが一致するかを事前によく考えなくてはならないです。そして、「異業種同士がタッグを組んだ」という話題性だけでなく、顧客にとって価値のある新たなサービスを生み出せるかを、入念に検討する必要があります。

世の中には、非常に多くのコンテンツが溢れています。そうした中で、自社の電力商品と相性の良いコラボ先は、慎重に見極める必要があります。仮に電力商品との親和性が低いコンテンツと提携してしまった場合は、自社とコラボ先のお互いにとって不利益となるような結果になることも考えられます。

また、コラボ先の相手に流されすぎず、自社の目標とする道を常に意識することも大事です。協力関係を築いて一蓮托生としてやっていく訳ですから、コラボ先の意見を尊重しつつも、自社の利益も大事にするようなビジネスの目が必要です。

また、コラボスタート時は社会的なインパクトが大きいですが、それにいつまでも頼っていては持続的な経営は難しいです。顧客にとってメリットのあるサービスを提供できているかは、常に意識する必要があります。

地域の魅力を引き出す新電力の仕組み

電力とは別のジャンルから顧客を取り込むという観点では、地域(コミュニティ)の力を利用する形も非常に有効です。例えば、電力プランの調達先が地域内の発電所である場合は、地域内に雇用を生み、経済を地域内で循環させることができます。発電所の運営にも人手がいりますので、その運営にも雇用が生まれますし、本来地域外の電力会社に流出する資金(電気料金)に関しても、地域の電力会社が受け取ります。そうすると、地方の活性化といった効果が期待できます。

電力の販売で得た利益を地域に還元することにより、地域活性化を目指すような仕組みも考えられます(図1)。こうすることにより、自分の住む地域に愛着のある層は、地域の活性化を期待して電力プランに加入してくれる可能性が高まります。

地域新電力の概要

図1 地域新電力の概要 出典:環境省

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

統計情報

統計情報(Excel含)

エネルギー関連の統計情報をExcel等にてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

次の記事:新電力で地域活性化、電気を使うだけでお気に入りの発電所を応援できるサービス

前の記事:省エネや補助金の獲得につながるIoT、新電力企業が取り組む実例から見る

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年02月11日

新電力ネット運営事務局

電力小売全面自由化から10年 数字が語る制度と市場の現実【第3回】なぜ私たちは、10年経っても「電気代の比較」で迷い続けるのか

電力小売全面自由化から10年が経過し、電気料金のメニューや契約形態は大きく多様化しました。 一方で、どの電気契約が有利なのかという問いは、いまも多くの現場で解消されないまま残っています。 見積書を並べ、単価を比較し、条件を読み込んでも、最後の判断に踏み切れない。こうした迷いは、単なる理解不足や情報不足として片づけにくいものになっています。 判断が難しくなる背景には、情報の量ではなく、比較に持ち込まれる情報の性質が揃わなくなったことがあります。 単価のように「点」で示せる情報と、価格変動や運用負荷のように時間軸を含む「線」の情報が、同じ比較枠の中で扱われやすくなっているためです。 本稿では、この混線がどこで起きているのかを整理します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年01月19日

新電力ネット運営事務局

2025年の電力先物市場:年間取引量4,583GWhで過去最高更新、年度物導入と中部エリア上場を控えた市場の変化

価格変動リスクへの対応を意識した取引行動が、実務レベルで具体化し始めた一年となりました。 制度面では年度物取引の導入、取引環境では流動性改善やコスト低減策が進み、企業側では中長期のヘッジ設計を見直す動きが重なりました。こうした複数の要因が同時に作用した結果、東京商品取引所(TOCOM)における電力先物の年間取引量は約4,583GWhと、前年比約5倍に拡大し、過去最高を更新しています。 中でも、東エリア・ベースロード電力先物が前年比約5倍、西エリア・ベースロード電力先物が前年比約3倍と伸長し、主要商品の取引が全体を押し上げた形となりました。加えて、2025年5月に取引を開始した年度物取引も、市場拡大を牽引する要素となっています。 本稿では、2025年通年の動向を中心に、市場拡大の背景と今後の論点を整理します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年01月19日

新電力ネット運営事務局

電力小売全面自由化から10年 数字が語る制度と市場の現実【第2回】10年で広がった、「経営の期待」と「現場の実務」の距離

「自由化から10年」という節目を迎え、制度の成果や市場の成熟度をめぐる議論が活発化しています。 現場の会話をたどると、同じキーワードでも立場により意味がずれます。 たとえば、経営の「コスト削減」は現場では「業務負荷の増加」、制度側の「安定供給」は供給現場では「柔軟性の制約」として現れます。 第2回では、こうした変化のなかで生じている立場ごとの認識のずれを整理し、経営・現場・供給事業者という三つの視点から、なぜ議論が噛み合わないのかを構造的に考察します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年12月31日

新電力ネット運営事務局

電力小売全面自由化から10年、数字が語る制度と市場の現実【第1回】数字の区切りに惑わされず、いまの制度と市場を見直す

「自由化から10年」という言葉が、各所で頻繁に取り上げられるようになりました。 しかし、制度の導入や市場設計の見直しが今も続いており、電力を取り巻く環境は「完成」に近づくどころか、なお変化の途上にあります。 本稿では、数字がもたらす完了感と、制度・市場の実態との間にあるずれを整理し、“節目”という言葉の意味をあらためて考えます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年12月27日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第5回】社会実装と中長期シナリオ 2030年代のロードマップと日本の戦略

これまで4回にわたり、核融合という次世代エネルギーの可能性を、研究・技術・制度の観点からたどってきました。長らく“夢のエネルギー”と呼ばれてきた核融合は、いま確実に社会の現実へと歩みを進めています。 最終回となる今回は、社会実装に向けたロードマップと、日本が描くべき中長期戦略を考えます。 核融合が“希望の象徴”で終わらず、私たちの暮らしに息づくエネルギーとなるために、次の時代に向けた道筋を描きます。