通信自由化から電力自由化を考える(2)
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2016年01月08日
株式会社ICTラボラトリー
今回は、1985年の自由化で通信事業に起きたことを、市場規模という観点から考察する。そして、2016年4月の電力小売完全自由化への対応を考える材料を読者に提供したい。
1. 序
今回は、1985年の自由化で通信事業に起きたことを、市場規模という観点から考察する。そして、2016年4月の電力小売完全自由化への対応を考える材料を読者に提供したい。
2. 1985年と今日の市場規模の変化
2.1. 市場規模推移
まず、最初に見ていただくのが通信サービスの市場規模である。通信サービス市場は、この30年間で5.4兆円から22.5兆円と4倍以上に拡大している。(4.8% CAGR)
インターネット・携帯電話という起爆剤があったにせよ、各社が新サービスの開発・提供に努め、用途を拡大し需要を喚起したことに起因する。
2.2. 事業者数推移
次に見ていただくのが、事業者数である。民営化当時、通信事業者は87社であった。2015年現在、事業者数は約17,000社となり、約190倍に拡大している。
市場の拡大には、インターネット・携帯電話という起爆剤が重要であったが、同様に、事業者の拡大も大きな役割を果たしている。
2.3. まとめると・・・
1985年の通信自由化時、新規事業者が手がけたのは市外電話サービスであった。
一定年齢以上の人の記憶にはあるだろうが、当時、新規参入各社は、市外通話料金の割安さを売りにして、LCRと呼ばれるアダプタを各家庭に提供し、市外向け発呼を自社回線に取り込もうと躍起になっていた。1990年には903社が参入していた。
今から思うと単純なことではあるが、それでも、大小含めて多くの企業が通信市場に参入した。通信自由化のここから始まった。
その後、90年代中盤、インターネット・携帯電話が普及・拡大し、通信サービスの市場規模は一気に拡大した。そして、事業者にとっての主戦場は、市外通話ではなく、インターネット/ブロードバンド・携帯電話に移行した。
80年代後半、多くの事業者が通信市場に参入し、試行錯誤し切磋琢磨し質量共に充実した事が、90年代後半のインターネットサービス・携帯電話サービスでの競争とサービス改善・市場拡大につながった。そして、市場規模は4倍に拡大した。
もし、通信サービスが電電公社事業、一社独占サービスであったならば、ここまで急速で多様な拡大はなかったであろうと思われる。
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株式会社ICTラボラトリー
1985年4月 富士通株式会社に入社。光伝送機器事業部門に配属され、機器開発から商品企画、及び通信部門事業戦略立案を担当。2006年3月、富士通を退職し株式会社ICTラボラトリーを設立。以後、ICTやスマートグリッド(=ICT×エネルギー)を中心に市場調査サービスを開始し、今日に至る。
企業・団体名 | 株式会社ICTラボラトリー |
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