東芝、酸化銅を用いた太陽電池で透明化に成功、世界初、発電効率22.0 %
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東芝は、タンデム型太陽電池の実現に向けて、世界で初めて亜酸化銅を用いたセルの透明化に成功したと発表しました。透明で目立たず、限られた面積で高い発電効率を期待できる技術となります。太陽光発電事業において高い採算性の期待できる土地が少なくなる中、ニーズが高まっていくものと考えられます。
透明かつ高効率な太陽光発電、東芝が開発
これまで日本の再エネ普及を牽引してきた太陽光発電ですが、原則的に効率的な発電が期待できる土地から開発が進んでいく中、採算性の高い土地を確保していくことは今後より困難になっていくと考えられます。
そのため、今後は限られた設置面積を有効利用できる太陽光発電システムへのニーズが高まっていくものと考えられます。この点、日本においても研究開発が進められており、東芝はフィルム型のペロブスカイト太陽光発電で世界最高の変換効率10.5%を達成したと発表しています。印刷プロセスで作製できるため低コスト化が可能であり、フィルム型のため従来は設置できなかった場所で発電することが可能となります【関連記事】。
また、東北大学は透明かつフレキシブルな太陽電池の開発に成功したと発表しています。車のフロントガラスやビルの窓、携帯電話ディスプレイの表面、さらには人体の皮膚等、あらゆる場所へ太陽電池を設置することが可能なポテンシャルを持ちます【関連記事】。
その他、理化学研究所は東京大学と科学技術振興機構との共同研究グループは、衣服に貼り付け、洗濯ができる太陽光電池の開発に成功しています。ウェアラブルセンサーの電源に活用することが期待される技術となります【関連記事】。
このように、日本においては様々な団体等で研究が進められ、太陽光発電の適用範囲は今後広まっていくものと考えられます。なお、限られた面積で効率的に発電するという観点では、近年、タンデム型太陽電池への期待が高まっています。
タンデム型太陽電池は、異なる材料の太陽電池を積層した構造を持ち、高い発電効率を実現できると考えられています。一つの材料を用いた太陽電池では、スペクトルミスマッチにより、50%以上の高い変換効率は困難を極めますが、タンデム型はその問題を解決できるポテンシャルを持ちます。
こうした中、東芝は、タンデム型太陽電池の実現に向けて、世界で初めて亜酸化銅(Cu2O)を用いたセルの透明化に成功したと発表しました(図1)。透明で目立たず、限られた面積で高い発電効率を期待できる技術となります。太陽光発電事業において高い採算性の期待できる土地が少なくなる中、ニーズが高まっていくものと考えられます。

図1 透過型Cu2O太陽電池(小型セル:サイズ25mm角) 出典:東芝
地球上に豊富に存在する銅の酸化物(Cu2O)を利用
現在タンデム型としてはガリウムヒ素半導体などを用いた太陽電池が製品化されており、市販の結晶Si太陽電池と比べて1.5倍から2倍高い30%台の発電効率が報告されています。一方で、結晶Si単体の太陽電池と比べて製造コストが数百倍~数千倍と高いことが課題となっています。
そこで東芝は、低コストなタンデム太陽電池のトップセル用に、世界初の透過型Cu2O太陽電池を開発しました。Cu2Oは、地球上に豊富に存在する銅の酸化物で低コスト化が見込めるほか、高効率な発電も期待できます。
Cu2Oは酸化銅(CuO)や銅(Cu)といった不純物相が生成しやすく、かつ混ざり合いやすい性質があります。しかし東芝は、Cu2Oの薄膜を形成するプロセスにおいて、酸素の量を精密制御する独自の成膜法を適用し薄膜内部でのCuOやCuの発生を抑えることで、Cu2Oの透明化を実現しました。これにより、波長が600nm以上の長波長光を約80%透過することができます。
また、結晶Siとは異なる波長域の光を吸収して発電するため、結晶Siの発電が殆ど阻害されない特徴があります。透過型Cu2O太陽電池をトップセルに用い、現在広く普及している結晶シリコン(Si)太陽電池をボトムセルに用いることで、長波長光で高効率に発電しています。全体として、短波長から長波長まで幅広い波長の光をエネルギーに変換できるので、低コストで高効率なタンデム型太陽電池の実現が可能となります(図2)。
なお、東芝は、今回の技術を用いたプロトタイプにて実験を行っており、ボトムセルに用いた結晶Si太陽電池が、単体で発電させた場合の約8割の高出力を維持して発電することを確認しています。
プロトタイプのタンデム太陽電池の効率は、トップセル効率の4.4 %とボトムセル効率の17.6 %の合計値であり,初期目標効率である20%を超える22.0 %という良好な結果が得られています。
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