RE100やCDPへの適用可能性がある「非化石証書」、初回オークションは5月受付
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一般社団法人エネルギー情報センター

経済産業省は、4月26日に開催された制度検討作業部会にて報告のとおり、非化石価値取引市場の初回オークションを平成30年5月14日~平成30年5月18日午後2時の受付期間にて開催すると発表しました。
非化石価値の取引、再エネ賦課金の抑制などの効果
非化石価値取引市場は、CO2フリー電源の環境価値を、入札を通じて取引する市場のことです。①高度化法上の非化石電源調達目標の達成後押し、②需要家にとっての選択肢拡大、③固定価格買取り制度による国民負担の軽減、といった目的から創設されることとなりました。
小売電気事業者は、落札した非化石証書を、高度化法の非化石電源比率の報告に利用することができます。また、販売する電気に非化石証書を活用することで、実質再エネ・CO2フリー電気の販売を行うことが可能となります。
加えて、非化石証書の売却収入は、FIT賦課金の原資に充てられることから、FIT制度による国民負担の軽減に資することが期待されます。FITを活用した再エネの導入拡大は国民負担の増加に繋がっており、2018年度の再エネ賦課金は、6年連続の上昇で2.90円になりました[関連記事]。ただし、非化石市場の創設により、今後は負担が軽減されていく可能性があります。
3つの価値を有する非化石証書
非化石証書は「非化石価値」のほか、「ゼロエミ価値」、そして「環境表示価値」を有します。非化石価値は、高度化法の非化石電源比率算定時に計上できる価値です。ゼロエミ価値は、温対法上のCO2排出係数が0kg-CO2/kWhとなる価値となります。最後に環境表示価値は、小売電気事業者が需要家に対して付加価値を表示できる価値となります。
非化石価値
高度化法とは、非化石エネルギー源の利用促進などに関する法律です。この高度化法において、非化石電源比率の2030年目標は、エネルギーミックスを踏まえ44%に設定されています。この高度化法において、落札した非化石証書は、非化石電源比率の報告に利用することができます。そのため、非化石証書は小売電気事業者の非化石電源調達目標の達成に資するといえます。
ゼロエミ価値
小売電気事業者は調達した非化石証書の電力量に「全国平均係数」を乗じたものを、温対法上の調整後排出係数の算定時に実二酸化炭素排出量から減算することが可能と整理されています。
環境表示価値
「電力の小売営業に関する指針」において、非化石証書(再エネ指定)を購入した場合には、「実質的に、再生可能エネルギー○○%の調達を実現」と表示することが可能と整理されています。前述のゼロエミ価値により、CO2排出係数にも反映されるので、その点でも需要家に訴求可能です。ただし、小売電気事業者の電源構成には影響を与えることができません。
非化石価値取引市場の仕組み
低炭素投資促進機構(GIO)が、日本卸電力取引所(JEPX)のシステム内に設置される口座を通じ、FIT電気の買取量(kWh)に相当する非化石証書の入札を行います。小売電気事業者は、GIOより非化石証書を取得します(図1)。GIOは、販売した証書の売却収入を賦課金の原資に充てることで、需要家の再エネ賦課金負担を低減します。

図1 FIT非化石証書の取引スキームイメージ 出典:経済産業省
RE100やCDPへの適用可能性
今回の非化石証書など、環境価値を有するクレジット等にとって、CDPやRE100といった国際イニシアチブへの適用可能性は、その信頼性や汎用性の面からも重要です。
CDPにおいて、日本国内では2017年に有力企業500社がCDPの調査対象に選ばれ、そのうち283社が回答しています。これら対象になる企業にとって、非化石証書を組み合わせた電力がCDPに認定されるかどうかは調達方針に関わります。
このCDPについて、3月2日の「制度検討作業部会」にて「非化石証書を付けた電力について、再エネとしてゼロ排出電源として計上可能。CDP質問書への報告について公式認定された」との説明がありました。そのため、企業がCDPに報告する温室効果ガス排出量の算定において、非化石証書は有効であると考えられます。
ただし、CDPは非化石証書を再エネ電力として認定しましたが、利用にあたって下記3点の推奨条件を提示しました。この推奨条件は、排出リーケージの懸念が生じることに起因しています。
- ①できる限り再エネ電力を調達(FIT電力)
- ② ①が難しい場合もできる限りGHG排出原単位の低い電力を調達
- ③最低でも系統平均以下のGHG排出原単位の電力を調達
海外における正常なGHGプロトコルの場合、正確な残渣ミックスに基づき、排出量を正確に計測することができます。残渣ミックスとは、環境価値証書などにより属性権利が主張できない国・地域内のGHG排出原単位ですが、日本の場合は全電源平均にて算出されるため区別されておりません。
例えば、欧州ではEU指令にて規定されたトラッキングシステムにより、発電源証明が発行される仕組みがあります。しかし、日本の場合はトラッキングが難しく、系統平均で算出されるため、リーケージが大きくなる不完全GHGプロトコルになると考えられます(図2)。ただ、残余ミックス係数が公表されていない場合でも、途上市場向けではルール上CDP適用が可能となっています。そのため、非化石証書を付けた電力について、再エネのゼロ排出電源として計上可能になっていると考えられます。
なお、「RE100」では、正式な手続きを待つ状況にあり、今後、非化石証書の有効性が判断される見込みです。

図2 GHGプロトコルでの算定企業にとっての残渣ミックスの重要性 出典:経済産業省
非化石価値取引市場の入札スケジュール
FIT電気(2017年4月~12月発電分)に係る非化石証書の初回オークションについて、入札受付は「平成30年5月14日~平成30年5月18日午後2時」の期間となります。
初回オークションで落札された非化石証書は、2017年度の高度化法の非化石電源比率の報告や、温対法の排出係数の報告等に利用可能です(図3)。今後のオークションについては、年4回程度実施される予定です。
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一般社団法人エネルギー情報センター
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制度の目的は電力の安定供給を強化し、価格急騰のリスクを抑えることにあります。ただし、調達コストの前倒し負担や市場流動性の低下といった副作用も想定されます。今後は、容量市場や需給調整市場との整合性、データ連携による透明性、新規参入環境の整備といった論点への対応が、制度の実効性を左右することになります。




























