「高温対応機器エリア」でサーバの冷却電力を極小化、NECが名古屋に都市型データセンターを開設
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一般社団法人エネルギー情報センター

9月5日、NECは愛知県名古屋市内に「NEC名古屋データセンター」を新設し、2019年4月よりサービス提供を開始すると発表しました。データセンターに「高温対応機器エリア」が設置されることで、高いエネルギー効率が実現します。
「高温対応機器エリア」設置でデータセンターを省エネ化
インターネットやスマートフォンの普及、そしてサーバの低価格化により、ICTと呼ばれる情報通信技術の市場が拡大しています。社会全体で取り扱うデータ量が飛躍的に増加することで、データセンター需要が高まり、成長分野として期待されています。
一方、データセンターは日本全体の消費電力量の1%を超える規模に達しており、データセンターの増加による電力需給への負荷が危惧されています。加えて、電力価格の高騰などが運用コストを引き上げることで、日本のデータセンターの国際競争力の低下が懸念されています。
こうした中、NECは環境への配慮とコスト低減を実現する「NEC名古屋データセンター」を新設し、2019年4月よりサービス提供を開始すると発表しました(図1)。「高温対応機器エリア」が設置されることで、データセンター全体では高いエネルギー効率が実現します。

図1 NEC名古屋データセンター外観 出典:NEC
高いエネルギー効率(pPUE1.1台)を実現
データセンタのエネルギー消費効率を表わす指標として、PowerUsage Effectiveness (PUE) が広く認知されています。PUEは、「データセンター全体消費電力÷データセンター内IT機器消費電力」で求められ、1に近いほど効率が良くなります。
冷房などに電力を全く割かず、消費電力が全てIT機器に使われる場合、PUEは1となります。なお、2015年7月に経済産業省が公開した「中小企業等省エネルギー型クラウド利用実証支援事業」のレポートによると、その事業で登録されたPUEの平均値は実測値が1.91であったとしています。
今回のデータセンターでは、40℃の高温環境下でも安定稼働するNEC製サーバ機器を採用するとともに、サーバ冷却電力を極小化した「高温対応機器エリア」が設置されています。「高温対応機器エリア」においては、データセンターの部分的な電力効率を示すpPUEが1.1台となり、高いエネルギー効率を実現しました。
データセンター全体としては、外気エネルギーを積極的に活用した省エネ効果の高い空調方式を採用することで、PUE1.3台を実現しています。NECによると、データセンターにおける運用コストの約50%は電力が占めているとしており、省電力化がコスト削減にも大きく寄与することが期待されます。
可用性99.999%の無停電電源と72時間無給油連続運転が可能な自家用発電機
電源設備としては、可用性99.999%の高信頼な無停電電源(UPS)と、72時間無給油連続運転が可能な自家用発電機が冗長構成で配置されます。なお、自家用発電機の性能は名古屋市地域強靭化計画の目標値を満たすものとなります。
建物には積層ゴムを用いた免震構造が採用されています。地震、停電、ネットワーク障害などへの優れた耐災害性と安定稼働を実現し、事業継続性の向上に貢献します。
セキュリティ対策では、ICカード認証や、顔認証技術が採用され、サーバラックを開錠するまでに多段階のセキュリティチェックが実施されます。また、建物周囲に設置された監視カメラ映像は、NECの行動検知技術を用いて24時間365日リアルタイムで解析されます。
名古屋駅から15分以内でアクセス可能
今回のデータセンターは、名古屋駅から15分以内でアクセス可能な都市型データセンターとなります。NECのシステム開発や保守の拠点からも20分圏内のため、緊急時の作業にも迅速に対応することができます。また、NECのクラウドやハウジング、他データセンターのハウジングと連携することで、ハイブリッド環境や災害復旧環境を容易に構築できます(図2)。

図2 NEC名古屋データセンターを活用したハイブリッド環境 出典:NEC
これらの特長により、新たなシステム構築や災害復旧環境の構築、さらに既存システムの最適化など、デジタルテクノロジによりビジネスモデルを変え、新たな収益や価値を生み出すことが可能となります。
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