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エネルギーデジタル化の最前線 第6回

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「モノからコトへ」と人の関心が移っていると言われて機会が増えてきている。家電やスマートメーターから集まってくる膨大なデータは、コト消費社会においてどのような役割と担うのでしょうか?

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『IoT・AI・データを活用した先進事例8社のビジネスモデルを公開 エネルギーデジタル化の最前線2020』(2019年)

2つの異なる価値

IoT家電やスマートメーターなどから集められる膨大なエネルギー利用情報は、「リアルタイムデータ」と「ストックデータ」の2種類に分けることができる。リアルタイムデータは、毎秒ごとに変化するフローデータであり、ストックデータは文字通り蓄積されていくデータである。この2種類は、その利用方法や価値を生む対象が大きく異なる。最初に既に活用が盛んにおこなわれている「リアルタイムデータ」について紹介する。

家電や自宅のリアルタイムデータは、その家庭の人々の生活に直接、役立つ。たとえば、宅内の家電利用状況のリアルタイムデータは、子供や親、ペットの見守りで活用されている。室温のリアルタイムデータは空調などの家電制御や宅配事業者への不在情報共有などに役立つ。すでに多くの実用的な取り組みが行われている。

東京大学大学院情報学環・越塚登研究室、同大学工学系研究科田中謙司研究室は「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」において、開発した配送ルーティングエンジンによる配送試験を行い、98%の配送成功率を得たことを発表した。これは、宅配における不在配送を9割以上削減することに相当し、非常に有効といえる。「リアルタイムデータ」を活用したサービスは、今後もますます増えていく。

循環型社会の実現を促進する「ストックデータ」

一方の「ストックデータ」は家電や住居などの「これまで」を集めたデータである。IoT化された家電は、いつ使用されたかという「リアルタイムデータ」と同時にこれまでに何回、どのくらいの頻度で使用されたかという「ストックデータ」が蓄積される。「ストックデータ」は、いわばモノの履歴書だ。家庭内のあらゆるもののIoT化が進みつつある現在は、データをまさに「溜めている」状況だ。そのため活用されたケースはまだ少ないが、このストックデータの増加は、ひとつのモノが人から人へと活用され続ける循環型社会の実現を促進する。なぜなら、「ストックデータ」が示す家電の正確な利用回数から、家電の故障や不具合が起こる時期を精緻に予測することが可能となるからだ。

例えば、メーカーは、ユーザーに対して「そろそろ洗濯機の利用が3,000回を超えるから故障する前に新製品に買い替えませんか?今なら、○○円お得ですよ」といった説得力のある買い替え提案ができ、他社製品を購入してしまうのを未然に防ぐことができる。加えて、製品の利用データから、どのような使い方、利用頻度が故障を誘引するかもわかる。より耐久性に優れた製品を生み出すことに大いに役立つ。

いま、ネットオークションなどに出品されている中古家電は、目に見える傷以外の使用状態はわからない。型番や製造年を基に値段が決められるケースがほとんどだ。同じ型番・製造年の掃除機でも、これまでの使われた回数や頻度から、この先どのくらい使えるかを予想して価格が設定されれば「正当な評価額」で購入できる。中古車の査定金額が、自動車の製造年や車種だけでなく、走行距離によって変わることと似ていると考えるとわかりやすい。

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企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
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