ベースロード市場

ベースロード市場とは

ベースロード電源を取引する電力市場のことです。ベースロード電源とは、原子力、石炭火力、一般水力(流れ込み式)等のことを指し、コストが低く出力が一定であることが特徴となっています。

ベースロード市場が創設された背景

ベースロード電源は、開発拠点の制約や、初期投資に要する費用が高額となることから、新規に開発することは容易でないと考えられていますが、運用コストが低く高効率な発電が可能です。

そのため、ベースロード電源は、我が国の電気事業において、安くて安定的な電気の供給を実現する上で、重要な役割を果たしている電源です。ベースロード電源は歴史的に、総括原価方式による料金規制の下、確実な費用回収が制度的に担保される環境下において大規模な開発が進められてきました。

しかしながら、2016年4月に実施された全面自由化後も、みなし小売電力事業者(以下、電力大手)がベースロード電源の大半を保有している状態が続いています。そのため、新規参入した小売電気事業者(以下、新電力)は、ベースロード電源へのアクセスが困難であり、代わりにLNG(液化天然ガス)などのミドルロード電源や再生可能エネルギー、日本卸電力取引所等から電気を調達し、供給を行っています。

こうした中、電力自由化により新電力が、電力大手と同様の環境でベースロード電源を利用できる環境を実現することで、小売電気事業者間のベースロード電源へのアクセス環境のイコールフッティングを図り、小売競争を活性化させるため、2019年にベースロード市場が創設されました。

ベースロード市場の具体的な内容

実際の運用方法としては、日本卸電力取引所の先渡市場を利用して、定期的にオークションを実施してベースロード電源を売買します。

約定した場合、渡期間にわたり、卸電力取引所の先渡市場と同様に、前日スポット市場を通じて、約定した量の電気が受け渡されます。また、オークションの売り入札価格は電力大手ごとに保有するベースロード電源の平均コストを上限に設定します。

2019年に初めての入札が行われ、日本卸電力取引所は8月9日に、ベースロード市場の取引結果を公表しました。全国3地域に分かれ、東京エリアが1kW当たり9.77円、関西エリアは8.70円、北海道エリアは12.47円という結果になりました。

東京エリアの価格は先行する卸取引市場より安く、2018年度の卸取引のスポット(随時契約)の平均値と比べると、全体的に安く、価格差は1%から約20%でした。

しかし、売買成立を示す約定率は低調であり、入札では約600億kW時分が売り出されたとみられましたが、約定したのは約18億kW時と3%程度でした。ベースロード市場における調達は、1年間分の電気を確保することになるため、新電力にとって大きなリスクが伴うという判断が多い様子でした。

また電力大手が提示する供給価格の上限は各社が抱えるベースロード電源の発電コストに基づいており、そのコストには、現在稼働していない原子力発電の固定費も加わっており、電力大手が自社の小売り部門で調達する価格よりも割高との見方がありました。

ベースロード市場に期待される影響

ベースロード市場において、一定の期間にわたり固定的な価格でベースロード電源の受け渡しが行われることとなり、新電力にとっては安定的に電気を調達することができます。また発電事業者にとっても安定的な電気の供給先を確保することが可能になります。

また、電源のイコールフッティングが進められることで、独占的な状態を解消し競争環境を健全化することが期待されます。例えば、電力会社による特定顧客への「差別的廉売」の防止や、特別高圧部門の新電力シェア向上など、電力市場環境の改善が見込まれます。