原子力発電

原子力発電とは

原子力発電は世界で1954年から行われている発電方式です。発電段階においてCO2を全く排出せずに大量の電力を安定して供給することができる事に加え、使い終わった燃料を再処理することにより再利用出来ます。

核分裂反応で発生する熱を利用して水を熱し、そこで生まれる蒸気を利用してタービンを回転させるという仕組みで発電しています。原子力発電による電力生成については、放射線の管理は厳重に行われなくてはなりません。

原子力爆弾は核分裂しやすいウラン235がほぼ100%の割合で構成されています。しかし発電所で使われるウラン燃料には、ウラン235は約4%しか含まれませんので、急激な反応は起こらず比較的安全にウランの力を利用できます。また、原子力発電では核分裂のきっかけとなる中性子を制御棒で吸収することにより、核分裂を止めたり、核分裂の量を調整することができます。

ウラン(ウラニウム)の記号はUで原子番号は92です。天然に存在するものは質量数234、235 及び238です。天然に存在する元素の中で最も重いとされています。天然のウランには、ウラン238 が約99.3%、 ウラン235 が約0.7%、ウラン234 が0.01%未満含まれています。ウラン235 は 中性子を吸収して核分裂を起こしやすく、核分裂を起こすと、大量のエネルギーが放出されると同時に2~3個の中性子が放出されます。

主要なウラン資源国

2016年のデーターによると、ウラン資源の埋蔵量が多い国は、トップはオーストラリア、時点でカザフスタン、カナダ、南アフリカと続きます。

既知ウラン資源(回収可能量)の主要15ヶ国

既知ウラン資源(回収可能量)の主要15ヶ国 出典:日本原子力産業協会

世界の原子力開発の流れ

原子力平和利用は、1953年の国連総会におけるアイゼンハワー米大統領の「アトムズ・フォー・ピース」演説に始まりました。1954年にはソ連でオブニンスク原発、1956年には英国でコールダーホール原発、1957年には米国でシッピングポート原発が発電を開始しました。

これらの原子炉は、核兵器用プルトニウム生産炉や原子力潜水艦用動力炉から発展したものです。1973年の第1次石油危機を契機に石油代替エネルギーとして原子力発電が一躍脚光を浴び、1970年代は世界中で平均年間26基の原子力発電所が新規に着工されました。しかし、1979年のスリーマイルアイランド(TMI)原発事故と1986年のチェルノブイリ原発事故により、世界の原子力開発は停滞しました。

世界の原子力開発の流れ(1)

世界の原子力開発の流れ(1) 出典:日本原子力産業協会

福島第一原子力発電所事故後の世界各国の原子力政策や原子力計画から、大きく原子力推進国と原子力撤退国(脱原子力国)に分類されました。脱原子力国には、ドイツ、イタリア、スイス、台湾などが含まれています(2015年時点)。

世界の原子力開発の流れ(2)

世界の原子力開発の流れ(2) 出典:日本原子力産業協会

原子力発電のメリット

安価なコスト

燃料費を安く抑えられて大量の電力を生み出すことができるため、発電量当たりのコストが安いという特徴があります。また、燃料を一度補充すると約1年は交換の必要がありません。 燃料の管理も安価で輸送費も安く済みます。

大気汚染物質の排出量

火力発電のデメリットである二酸化炭素の排出が原子力発電にはありません。窒素酸化物、硫黄酸化物、酸性雨、光化学スモッグといった大気汚染や地球温暖化の原因となる有害物質を排出しません。

燃料確保の安定性

原子力発電では燃料にウランを使用しています。石油の場合は政情の安定していない中東に大きく依存しているため、価格の変動が大きいですが、ウランを供給している国々は政情が安定している国が多く、価格が急激に変動するリスクが少ないです。また、ウランの流通ルート、価格は世界的に見てもほぼ確立されていて安定してます。

技術力のアピール

原子力発電所を作り運営していくには技術力が求められます。自国で全てできるということは技術力の高さの証明となり日本やフランス・アメリカのように他国から原子力発電所建設を受注することができます。

地元への経済効果

原子力発電が新設される場所(町・村)では新たな雇用が生まれるほか、交付金や税金などによる地元の収入が増加します。

原子力発電のデメリット

極めて高い危険性

原子力発電の最大のデメリット・問題点は「危険性」です。事故が起きた場合の危険性は他のどんな発電方法よりも極めて高いです。

放射性物質の放出

重大な事故が起きると外部に大量の放射性物質が放出されます。原発周辺はもちろんのこと、国土全体や地球規模で汚染される可能性も否めません。土壌や海洋が汚染され、人間や動物も放射線を被曝することになります。放射性物質が放出された場合、その周辺に人間が生活することは半永久的に難しくなります。

事故の修復

事故が起きた際の修復が困難です。原発から高レベルの放射線が放出され続けている場合は、事故の修復のために原発に近づくことも難しいです。そのため、修復までに長い時間を要する可能性が高いです。

津波の被害

冷却に大量の海水を使う場合は、海の近くに原子力発電所を設置する必要があります。つまり津波による被害を受けやすいです。

事故時・廃炉時のコストが高い

通常通りに運転できている場合はコストは安いと言えますが、仮に事故が発生した場合には莫大な賠償金や廃炉コストが必要となります。

兵器への転用可能性

原子力発電所では核分裂を利用するため、核兵器への転用というリスクが存在します。天然ウランから核燃料を作る際に発生する劣化ウランは、劣化ウラン弾として使うことができます。また、原子力発電所そのものや核廃棄物処理施設への外部からの攻撃(テロなど)によって、多大な被害を被る可能性もあります。

技術に関する点

日本では事故への懸念もあり、原子力発電の技術者数が減少傾向にあります。その他、火力発電のように出力を簡単にコントロールすることができない点や、発電を停止させるために必要な所要時間も長いといった特徴があります。

原子炉の種類

軽水炉

核分裂後に放出される中性子の速度を下げるための減速材に軽水(普通の水)を使う原子炉のことです。「沸騰水型軽水炉(BWR)」と「加圧水型軽水炉(PWR)」と更に細かく分類することができます。軽水炉は核兵器の製造に適さないことや、プラントの建設費が安価であることなどから、原子力発電所の主流となっています。

重水炉 (CANDU)

減速材に重水(普通の水より比重の大きい水)を使う原子炉のことです。濃縮していない天然ウラン(濃縮ウランより安い)が利用できるというメリットがあり、天然ウラン資源が豊富なカナダなどで利用されています。ちなみに軽水炉とは逆に核兵器の製造に適しているという懸念もあります。

黒鉛炉 (RBMK)

減速材に黒鉛(炭素)を使う原子炉のことです。黒鉛減速原子炉と呼ばれることもあります。重水炉と同様に濃縮していない天然ウランを燃料として使用できるという特徴があります。日本で最初に導入された原子力発電所である東海原発(運転終了)では、圧力管の数を増やしただけで出力を上げられ、圧力管の製造にも大規模な工場を必要としない簡便さはありますが、冷却水が沸騰すると制御が難しくなる性質があります。

高速炉(FNR)

高速増殖炉において燃料の増殖を行うためには、中性子の無駄使いをなるべく少なくしなければならないので、中性子速度が高いままウラン238に捕獲させます。中性子の速度を下げないで高速中性子のままで燃料の増殖を行いながら発電します。高速増殖炉の中ではウラン238は次々とプルトニウム239に変わっていってプルトニウム239が核分裂すると大体3個の中性子が発生します。これはウラン235の場合よりも多く増殖を行うには好都合です。