取引市場

概要

全国規模で、発電事業者や小売電気事業者の間で電力を取引するための市場です。電気事業制度改革の一環として、2003年に設立され2005年4月から取引を開始しています。

背景

地域の電力需要を独占的に賄ってきた大手電力会社(一般電気事業者)は、大規模発電所をあちこちに抱えているため豊富な電力を持ちます。一方で大出力の発電所を持たない新電力会社は、既存の大手電力会社と比べて確保できる電力の量は限られるため、大々的に事業展開しづらいです。

電力調達の方法としては、設備投資して自社で新しい発電所を抱える、既存の電力会社や発電施設を抱える工場などと相対契約して調達するなどがあります。そのほかの方法としては、日本唯一の電力取引所、日本卸電力取引所(JEPX)を活用することです。

具体的な内容説明

日本卸電力取引所はJEPXとも呼ばれ、一定の条件を満たす会員企業が市場で電力を調達したり、販売したりする仕組みを提供しています。2017年6月1日の時点で125社の会員数となっており、2015年の取引量は168億kWhとなっています。

市場にはいくつか種類があります。一つ目は、翌日に受渡する電気を48の単位(30分)に分割し取引するスポット市場(1日前市場)です。二つ目は数時間後(最短1時間後)に受け渡す電気を30分の単位で取引する1時間前市場です。三つ目は、翌月初から1ヶ月間受け渡す電気の先渡市場です。四つ目は小型の自家発やコジェネ等の分散型電源の余力活用,固定価格買取制度対象電源へのアクセス機会の拡大の観点から、分散型・グリーン売電市場が用意されています。

効果・影響・結果

卸電力取引所は発電事業者と小売電気事業者との間で行われる電力取引であり、相対の取引と取引所取引の2つに大別されます。卸電力取引所が活性化することにより、小売事業者は経済合理的な電源調達が可能となり、小売市場における競争環境と低廉で安定的な電力供給の実現につながります。

卸電力取引所の取引量は年々増加しており、特に2013年の、一般電気事業者9社が卸電力取引所で余剰電力の売り入札を行うことと、電源開発株式会社と契約している電源の切出しを行うことといった自主的取組開始後は増加率も大きくなっています。しかしながら、販売電力量全体に占める比率は2014年度実績で2%未満にとどまります。

その原因は、大手電力会社は自社で必要とする電力を製販一体で売っており、余剰分しか市場に放出しないためです。市場に出回る電力の量が少ないため価格変動も大きくなりがちです。卸電力取引所で電力を買うことは、新電力にとっては仕入れをすることと等しいです。仕入れ価格が時々で大きく上下するようでは、安定的に事業展開することはできません。

容量確保の取り組みについて

市場で取引される電力の厚みを増やそうと2016年に「グロス・ビディング」と呼ばれる制度の導入を卸電力取引所が大手電力会社に促し始めました。グロス・ビディングとは、大手電力各社がグループ内取引をしている電力の一定量を市場に放出する仕組みを指します。今までは大手電力会社の発電部門は、作った電力を小売部門に直接渡していました。しかしグロス・ビディングにおいては、小売部門に直接渡すよりも先に、まずは卸電力取引所の市場での売却を優先します。大手電力会社グループ内の小売部門は必要な分を市場から買い戻し、自社の需給を一致させます。

英国や北欧諸国では定着している制度で、経済産業省も「市場の流動性や価格指標性の獲得」につながるほか「新規事業者(新電力)への事業機会の提供」が可能になるとして、導入を促しています。