東京都、再エネ電力の購入を促す国内初のモデル事業を開始、共同事業者を公募

2019年07月01日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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東京都は6月、再エネ電力の購入希望者を募り、再エネ電力の購入を促す国内初のモデル事業を開始すると発表しました。7月5日から、都と共同で本事業の運営を実施する事業者を公募開始します。

東京都、再エネ電力のメリットに関する都民への周知を強化

東京都はこれまで、先進的な気候変動対策を展開しており、例えば2010年4月に「キャップ&トレード制度」を開始しています。同制度は、大都市に集中するオフィスビル等の業務部門も対象とした世界初の都市型のキャップ&トレード制度です。

近年の東京都の動きとして、例えば5月21日のU20メイヤーズサミットの中で、都は方針として「今年中にゼロエミッション東京戦略を策定する」と発表しています。

「ゼロエミッション東京戦略」は、2019年12月の策定が予定されており、同年6月5日には都庁で「ゼロエミッション都庁推進会議」が開催されています。なお、ゼロエミッションとは、脱炭素社会への大胆な転換を図り、持続可能な都市の構築を目指すものです。

一方で、『命に関わる暑さ』 『経験したことのない大雨』など、自然災害による影響の甚大さと対策の緊急性が改めて浮き彫りになりつつあります。そのため、「ゼロエミッション東京」は、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えることを追求し、2050年にはCO2排出実質ゼロを目指すものとなります。

東京都は、2020年と2030年をターゲットとした政策目標を設定しており、再エネ電力の利用割合を2016年度の12.1%程度から、2030年には30%程度を達成すると設定しています。都の補助事業や「東京ソーラー屋根台帳」の活用による情報発信、2012年に国が開始したFITなどにより、近年では太陽光発電の導入が大幅に拡大しています。2008年と比較し、2016年は都内太陽光発電導入量が約9倍に増加しました(図1)。

都内太陽光発電導入量の推移

図1 都内太陽光発電導入量の推移 出典:東京都

こうした中、東京都は再エネ電力の購入希望者を募り、一定量の需要をまとめることで価格低減を実現し、再エネ電力の購入を促す、国内初のモデル事業を開始すると発表しました(図2)。

内容としては、都民に対し、再エネ電力を選択できる機会を提供するとともに、家庭による再エネ電力の購入を促進するものです。都は、令和元年7月5日から同月7月19日の期間で、都と共同で本事業の運営を実施する事業者を公募します。なお、審査時期は令和元年7月下旬、審査結果通知等は令和元年7月末が予定されています。

事業実施者は、効果的な広告宣伝、申込み用WEBサイトの構築等、購入希望者の募集及び問合せ対応等の体制整備をする必要があります。そのほか、再エネ電力の販売会社の募集や選定、そのほか購入希望者との仲介を実施します。

事業期間は、令和元年7月末から令和3年3月末までが予定されています。なお、事業実施に要する経費については、初年度の広報活動経費に係る費用に関して、1000万円の範囲内で事業実施者に交付されます。

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