農業を組み合わせる営農型の太陽光発電、一時転用期間が3年から10年に

2018年05月22日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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5月15日、農林水産省は営農型太陽光発電の一時転用期間を延長する等の促進策を発表しました。これまで、一時転用期間は3年でしたが、条件によっては10年に延長するとしています。

営農型の太陽光発電、一時転用期間が3年から条件によっては10年に延長

現状、再エネ(太陽光・風力・バイオマス・水力・地熱)を利用した発電設備を農地に設置する場合には、農地転用許可が必要になります。農地転用し発電するケースとして、①農地全体を転用して設置する方式と、②農地に支柱を立てて営農を継続しながら発電する「営農型発電」があります。この営農型発電の大きな特徴として、売電による継続的な収入に加え、作物の販売収入も得られることが挙げられます。

営農型の太陽光発電が注目されたきっかけは、2012年に開始されたFIT制度です。この制度により、再生可能エネルギー発電の事業採算性が向上し、農山漁村において新たな所得機会の可能性が生じています。

こうした背景もあり、農地に支柱を立てて、営農を継続しながら太陽光発電設備を設置する方式の導入が進んでいます。実際に、地転用許可実績は、2013年時点に97件であったところ、2015年は374件と4倍近くの規模になっています。

H25 H26 H27 合計
97件 304件 374件 775

農林水産省資料より作成

このような中、農林水産省は営農型太陽光発電の一時転用期間を延長する等の促進策を発表しました。これまで、一時転用期間は3年でしたが、条件によっては10年に延長するとしています。

荒廃農地を活用するケースなどで10年に

これまで、営農型太陽光発電については、一時転用期間が3年となっており、営農に問題が無ければ再許可を可能とする仕組みでした。しかし今後、担い手が営農する場合や、荒廃農地を活用する場合等には、10年に延長されます(図1)。

営農型太陽光発電設備の農地転用許可上の取扱いの変更について

図1 営農型太陽光発電設備の農地転用許可上の取扱いの変更について 出典:農林水産省

農林水産省による営農型太陽光発電の促進策

今回、農林水産省が発表した営農型太陽光発電の促進策は下記の5つとなります。

  1. 一時転用許可期間の変更(3年→10年)
  2. 優良事例の紹介
  3. 相談窓口の設置
  4. 資金調達の円滑化
  5. 悪質なケースへの対応

まず、優良事例の紹介については、農林水産省が営農型発電の優良事例を類型化し、随時ウェブサイト等で紹介するとしています。例えば、群馬県高崎市のファームクラブの事例では、水耕栽培と組み合わせ高収益化を実現しています。

この優良事例の工夫として、太陽光パネルは両面透過型を使用しており、ハウス内の白い防水シートの反射光も発電に利用している点が挙げられます。栽培している作物は、水菜、ルッコラ、リーフレタス、パクチー、バジル等の葉物野菜です。水耕栽培であり、収穫量は周辺地域の露地栽培と比較して300%あります。また、「ソーラー野菜」シールを付けて自社店舗で販売しています。転用部分の農業収入は493万円/年となり、売電収入の490万円/年も加わるため、高い収益性が期待できます(図2)。

中里農場全体では、社員とパートを含めて100名雇用し、一部は障害者も雇用し、農福連携にも取り組んでいます。また、中央農業大学校のソーラーファームコースの実習生を受け入れる予定としています。

収支構造

図2 収支構造 出典:農林水産省

営農型の発電事業について、手続きや収益性が不透明だという方向けに、農林水産省では相談窓口を設置しています。地方農政局の農山漁村再生可能エネルギー相談窓口が、営農型太陽光発電に関する農業者等からの問合せに対応しています。優良事例やチェックリスト等の情報提供のほか、専門家を紹介するなど、農業者等による営農型太陽光発電の検討をバックアップしています。

そのほか、地域の金融機関に対しては、営農型太陽光発電の農地転用許可の取扱い等の促進策について情報提供するとしています。これにより、金融機関側としては、融資の判断が的確にできるようになると期待できます。

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