旭化成、再エネから作る「グリーン水素」実証プロジェクトを本格始動

2018年05月08日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

旭化成、再エネから作る「グリーン水素」実証プロジェクトを本格始動の写真

旭化成は5月、風力模擬電源を使ってアルカリ水から水素を生成する「グリーン水素」の実証プロジェクトを開始したと発表しました。ドイツ連邦共和国NRW州ヘルテン市にある水素関連技術開発拠点「h2herten」にて実証が行われます。

再エネから作る「グリーン水素」の実証プロジェクト開始

水素は天然ガスや石油など化石燃料を改質するほか、水を電気分解することでも製造できます。そのため、水素製造は再生可能エネルギーとの親和性が高く、過剰に発電した際には水素に変換して貯めておくことで、蓄電池のような役割を果たすことができます。また、水素は蓄電池のほかにも、自動車の代替燃料としても関心が高まっています。

この水素を燃料として走る燃料電池自動車は、走行時の排出が水のみであり、環境に優しいとされています。原料の採掘から発電・走行まで含めた「Well to Wheel」の数値を見ると、燃料電池自動車(太陽光発電にて水素製造)のCO2排出量は14g-CO2/kmであり、ガソリン車の147g-CO2/kmと比較すると10分の1以下となります(図1)。

Well to Wheel のCO2排出量の比較

図1 Well to Wheel のCO2排出量の比較 出典:経済産業省

海外においては、ヨーロッパ、特にドイツでは2022年までに原子力エネルギーを廃絶するともに、変動する再生可能エネルギー源からの電力供給の高シェア化やCO2削減に対する意欲的な目標を掲げています。そのため、再エネの出力変動を緩和することのできる蓄電技術が強く求められています。

こうした中、旭化成はドイツ連邦共和国NRW州ヘルテン市にある水素関連技術開発拠点「h2herten」にて、風力模擬電源を使ってアルカリ水から水素を生成する「グリーン水素」の実証プロジェクトを開始したと発表しました。

食塩電解システムの技術をベースとして、再エネに適したアルカリ水電解システムを開発

今回のプロジェクトは、再エネ電力を使用して「グリーン水素」を製造するものです。旭化成による水素製造プロジェクトの第二弾となります。第一弾では、NEDOによる技術開発支援のもと、神奈川県横浜市において、10MW級の大型アルカリ水電解システムを想定した長時間の水素製造実証プロジェクトに成功しています。

旭化成は、世界26カ国、126カ所の生産拠点で使用されている食塩電解システムのメインサプライヤーです。この技術をベースとして、再生可能エネルギーなどの変動電源に適したアルカリ水電解システムを開発しました。このアルカリ水電解システムはエネルギー転換効率に優れ、10MWまでの大型化が可能であるため、単一装置で大量の水素を生産することができます。

今回の第2弾は、NRW.INVEST(投資や進出を計画するドイツ国内外の企業をサポートするNRW州経済振興公社)の協力のもと、水素関連技術開発拠点「h2herten」と共同で行われます。旭化成によると、今回のプロジェクトは大規模な「グリーン水素」製造のためのアルカリ水電解システムの開発に寄与するとしています。

ヘルテン市長であるFred Toplak氏は、「水素関連技術の開発拠点「h2herten」は、アルカリ水電解システムを構築し統合するための理想的な環境です。AKEU(旭化成ヨーロッパ)との協業は、未来のエネルギー問題解決に取り組む企業との素晴らしい事例であり、今後の「h2herten」のさらなる発展に繋がるものと考えています。」とコメントしています(図2)。

ヘルテン市にて行われたオープニングセレモニーの様子

図2 ヘルテン市にて行われたオープニングセレモニーの様子 出典:旭化成

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

旭化成、再エネから作る「グリーン水素」実証プロジェクトを本格始動の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年05月08日

新電力ネット運営事務局

旭化成、再エネから作る「グリーン水素」実証プロジェクトを本格始動

旭化成は5月、風力模擬電源を使ってアルカリ水から水素を生成する「グリーン水素」の実証プロジェクトを開始したと発表しました。ドイツ連邦共和国NRW州ヘルテン市にある水素関連技術開発拠点「h2herten」にて実証が行われます。

RE100やCDPへの適用可能性がある「非化石証書」、初回オークションは5月受付の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年05月02日

新電力ネット運営事務局

RE100やCDPへの適用可能性がある「非化石証書」、初回オークションは5月受付

経済産業省は、4月26日に開催された制度検討作業部会にて報告のとおり、非化石価値取引市場の初回オークションを平成30年5月14日~平成30年5月18日午後2時の受付期間にて開催すると発表しました。

米アップル、データセンタやアップルストアなど、全世界の自社施設で再エネ100%達成の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年04月12日

新電力ネット運営事務局

米アップル、データセンタやアップルストアなど、全世界の自社施設で再エネ100%達成

Appleは4月、世界各地にある同社の施設で使用する電力を、100%再生可能エネルギーで調達することに成功したと発表しました。対象となる施設は、世界43カ国にあるAppleストア、オフィス、データセンターそして共用施設となります。

太陽光パネル、グリーン購入法の対象となる基準変更、最終処分に関する情報開示が必要にの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年04月05日

新電力ネット運営事務局

太陽光パネル、グリーン購入法の対象となる基準変更、最終処分に関する情報開示が必要に

3月30日、総務省は「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査(2017年9月発表)」の勧告に対する改善措置状況を公表しました。昨年9月発表の実態調査では、総務省が環境省と経済産業省に対して「使用済パネルの適正処理・リサイクル」等について勧告を行っており、今回、それらに対する改善措置がまとめられました。

雨天でも発電できる太陽光発電、雨滴の動きからエネルギーを生成の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年03月20日

新電力ネット運営事務局

雨天でも発電できる太陽光発電、雨滴の動きからエネルギーを生成

アメリカ化学会(ACS)が2月に発行した学術誌「ACS Nano」に、太陽光と雨滴からエネルギー収穫する太陽電池の論文が掲載されました。雨滴による摩擦から電力を生成することで、太陽光発電が不得手とする雨天時であっても発電量を確保することが可能となります。