雨天でも発電できる太陽光発電、雨滴の動きからエネルギーを生成

2018年03月20日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

雨天でも発電できる太陽光発電、雨滴の動きからエネルギーを生成の写真

アメリカ化学会(ACS)が2月に発行した学術誌「ACS Nano」に、太陽光と雨滴からエネルギー収穫する太陽電池の論文が掲載されました。雨滴による摩擦から電力を生成することで、太陽光発電が不得手とする雨天時であっても発電量を確保することが可能となります。

雨滴の摩擦で電気を生み出す太陽光発電

近年、太陽光発電に関する技術は大きく進歩していますが、雨天で劇的に性能が低下する特性はいまだ大きな課題です。経済産業省の「北海道住宅用太陽光発電導入ガイドブック」によると、太陽電池の発電量について、曇りでは晴天の1/2~1/10、雨天では1/5~1/20と大きく下がることが示されています。

こうした中、中国のSoochow Universityの研究グループは、雨天でも発電できる太陽光発電を開発しました。雨滴による摩擦を利用したナノ発電素子(TENG)に、太陽電池セルを統合することで、天候の変動に強い太陽光発電が実現します。

最大短絡電流は33nA、最大解放電圧は2.14V

研究グループは、太陽光と雨滴の両方から発電するため、太陽電池と摩擦発電(TENG)を統合したエネルギー収穫構造を構築しました。TENG素子は、PEDOT:PSS層の上に刷り込み形成するジメチルポリシロキサン(PDMS)で構成されます(図1)。

PEDOT:PSSは、ヘテロ接合シリコン太陽電池とTENGの電極として作用します。加えて、光の反射を低減する効果を持つため、短絡電流密度が増大し、発電量の増加に寄与します。PDMSについては、水滴との接触面積を増加させることで、TENGの出力向上に成功しています。これらの工夫から、最大短絡電流は33nA、最大解放電圧は2.14Vといった数値を実現しています。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

ペロブスカイト太陽電池の課題解決と今後の展望の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年11月01日

新電力ネット運営事務局

ペロブスカイト太陽電池の課題解決と今後の展望

前編では、ペロブスカイト太陽電池の基本的な特徴やそのメリットについて紹介しました。今回は、性能の安定性や材料に含まれる鉛の問題、エネルギー変換効率などの課題に対する最新の解決策や企業の取り組みを交えて解説します。

ペロブスカイト太陽電池の特徴とメリットの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年09月27日

新電力ネット運営事務局

ペロブスカイト太陽電池の特徴とメリット

太陽光発電は、再生可能エネルギーの代表的な存在として世界中で注目を集めています。その中でも、シリコン太陽電池に次ぐ次世代のエネルギー技術として「ペロブスカイト太陽電池」が大きな注目を集めています。ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟性があり、従来の太陽電池では難しかった場所での活用が期待されていることから、多様な分野での普及が期待されています。 2024年度には福島県内での実証実験が予定され、日本国内でも本格的な導入に向けた動きが始まっています。注目が集まるペロブスカイト太陽電池について、2回に渡りお伝えします。第1回目では、ペロブスカイト太陽電池の基本的な特徴やメリット、そしてシリコン太陽電池との違いについて、詳しく解説していきます。

2024年度の出力制御②優先給電ルールにおける新たな施策についての写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年08月28日

新電力ネット運営事務局

2024年度の出力制御②優先給電ルールにおける新たな施策について

再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大が進み、導入量が増えた結果、 電力需要が低い時期には「発電量過多」になり、全国的に 出力制御 が行われるようになってきました。この出力制御について、2回に渡りお伝えしています。 1回目はそもそも出力制御とは何か、増加している要因、過去の事例についてお伝えしました。今回は、経済産業省・資源エネルギー庁が優先給電ルールに基づく新たな施策を公表したので、その内容をご紹介します。

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす②ー盗難対策の重要性と太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてーの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年07月18日

新電力ネット運営事務局

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす②ー盗難対策の重要性と太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてー

太陽光発電施設から銅線が盗まれる事件が後を絶ちません。銅相場が高止まりし、売却狙いの犯罪が再生可能エネルギーの産業を脅かしています。1回目は太陽光発電設備が狙われる理由と自衛についてをお伝えしました。2回目は盗難対策の重要性と太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてお届けします。

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす①ー犯罪が増え続ける背景と自衛についてーの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年06月13日

新電力ネット運営事務局

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす①ー犯罪が増え続ける背景と自衛についてー

太陽光発電施設から銅線が盗まれる事件が後を絶ちません。銅相場が高止まりし、売却狙いの犯罪が再生可能エネルギーの産業を脅かしています。第2回にわたり銅窃盗の再生エネルギー戦略への影響と各企業の防止策についてご紹介します。1回目は太陽光発電設備が狙われる理由と自衛について、2回目は太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてお届けします。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス