洋上風力発電を促進する法案が閣議決定、一般海域の占有が30年まで可能に
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3月9日、経済産業省は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」が閣議決定したと発表しました。洋上風力発電を促進する法案であり、これまで海域占有期間が3~5年であったところ、最大30年間まで可能となり、資金調達が容易になることが期待できます。
洋上風力、開発可能な「促進区域」を国が指定
洋上風力発電は、火力発電に比べ二酸化炭素の排出量が少なく、大規模な開発により経済性の確保も可能です。陸上風力と比較すると、船舶輸送のため輸送制約が大きいものの、一般的に風況も良く、大規模な発電量が期待できます(図1)。
また、約1~2万点と発電設備の部品点数が多く、関連産業への波及効果が期待できます(自動車は約1~3万点)。加えて、洋上風力発電設備の設置・維持管理での港湾の活用による地元産業への好影響が期待でき、普及は海洋政策上の重要課題の一つとされています。

図1 洋上風力発電のメリット(陸上風力発電との比較) 出典:経済産業省
電源別のライフサイクルCO2排出量については、「原子力・エネルギー図面集2016」によると、石炭火力は943g-CO2/kWhであるのに対し、風力は26g-CO2/kWhと36分の1以下です。
洋上風力のコストについて、欧州においては6~12円/kWhと火力発電と遜色ない水準であり、実用段階に入っています。実証段階にあった1990年の価格水準である60円/kWhと比較すると、5~10分の1まで価格を抑えることに成功しています。一方で、日本においては、海域占有が困難であるなどの理由から、依然として実証段階であり、36円/kWhと高価です。
| 既設の洋上風力発電設備 | 価格 | |
|---|---|---|
| 欧州 | 3,589基(H28末 実用段階)←実証段階(H2頃) | 約6~12円/kWh(H27頃~)←60円/kWh程度(H2頃) |
| 日本 | 6基(全て国の実証試験(H29.3)) | 36円/kWh(H26~)※現在買取は1件のみ |
「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」の関連資料より作成
洋上風力発電について、日本では、海域の大半を占める一般海域については、長期占用の統一的ルールが存在しませんでした。港湾区域においては、平成28年度の港湾法改正により、長期占用が可能ですが、港湾区域は領海の約1.5%とわずかな領域に留まります。
一般海域についても、都道府県条例での運用は可能ですが、占用許可は通常3~5年と短期であり、洋上風力開発の資金調達を困難にします。FIT期間は20年間と長期に渡りますが、占有許可の期間が足を引っ張り、案件組成を阻害する要因となっていました。
また、これまで、地域の先行利用者(海運や漁業等)との調整に係る枠組みが存在しませんでした。そのため、先行利用者にとっては、発電事業者等への適切な意見の伝達が困難であり、発電事業者にとっては、先行利用の実態把握や先行利用者の特定が困難でした。
これらの問題から、3月9日、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」が閣議決定されました。この法案は、基本方針の策定、促進区域の指定、当該区域内の海域の占用等に係る計画の認定制度を創設するものであり、洋上風力発電の開発促進が期待されるものです(図2)。
開発可能な海域は、経済産業大臣及び国土交通大臣が「促進区域」を指定します。この促進区域は、地域・関係者の理解を前提に、これから増やしていき、法案関連資料の中では、2030年までに5区域とする目標を掲げています。このため、地域の先行利用者(海運や漁業等)との調整が行われた海域での洋上風力開発が可能となります。
また、国土交通大臣が許可することで、最大30年間の海域占有が可能となります。通常3~5年となる都道府県条例での運用よりも長期間となり、事業予見性が高まると期待できます。また、FIT期間の20年間の途中で海域占有が途切れることもなく、資金調達が容易になると考えられます。

図2 占用までの手続の流れ 出典:経済産業省
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