世界最大の蓄電池が南オーストラリア州で運転開始、129MWhの規模で風力による電力受入

2017年12月05日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

世界最大の蓄電池が南オーストラリア州で運転開始、129MWhの規模で風力による電力受入の写真

11月23日、南オーストラリア州政府は世界最大のリチウムイオン蓄電池が稼働開始したと発表しました。蓄電池を設置したのは米テスラであり、性能は100MW/129MWh、30000以上の家庭に十分な電力を供給する性能を保持しています。

世界最大の蓄電池が稼働開始、米テスラが設置

2016年9月、50年に一度とされる規模の嵐が南オーストラリア州を直撃し、重要なインフラを破壊しました。その結果、州全体で停電が発生、170万人が電気を利用できない状態になりました。

これに対して、南オーストラリア州政府は、住民のエネルギー安全保障を確実にするため解決策を模索しました。その結果、少なくとも100MWの容量を持つグリッドスケールの蓄電池を配備し、緊急時の備えをすることが重要との結論に至りました。

2017年3月、州政府は、再生可能エネルギープロジェクトを支援するために1億1400万米ドルの資金を創出する計画を発表しました。その後、蓄電池の建設に係る競争入札が実施され、2017年7月、米テスラが90以上の競合の中から、案件を獲得するに至りました。蓄電池はフランスの再エネ企業Neoen、米テスラ、そして南オーストラリア州政府との合意の下、南オーストラリア州Jamestownに設置されます。

テスラと南オーストラリア政府との間では、グリッド接続契約が締結されてから100日間までに運転開始となることが合意されました。また、テスラCEOのElon Musk氏は、仮にその期間内に運転開始できなければ、無料で引き渡すと明言しています。

蓄電池の性能は100MW/129MWhであり、30000以上の家庭に十分な電力を供給する性能を保持しています。南オーストラリア州政府の発表によると、世界最大のリチウムイオン蓄電池であるといい、12月1日から正式に稼働開始しました(図1)。

蓄電池は、フランスの再エネ企業Neoenが運営する風力発電「Hornsdale Wind Farm」から電力を受け入れます。「Hornsdale Wind Farm」は、蓄電池の設置されるJamestown近郊にて稼働しています。

蓄電池の電力は、電力市場である「National Electricity Market」に供給されます。貯めておいた電力は停電時だけではなく、夏季ピーク負荷の管理などにも利用され、全体的な電力インフラの信頼性を向上させることに寄与します。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

ペロブスカイト太陽電池の課題解決と今後の展望の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年11月01日

新電力ネット運営事務局

ペロブスカイト太陽電池の課題解決と今後の展望

前編では、ペロブスカイト太陽電池の基本的な特徴やそのメリットについて紹介しました。今回は、性能の安定性や材料に含まれる鉛の問題、エネルギー変換効率などの課題に対する最新の解決策や企業の取り組みを交えて解説します。

ペロブスカイト太陽電池の特徴とメリットの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年09月27日

新電力ネット運営事務局

ペロブスカイト太陽電池の特徴とメリット

太陽光発電は、再生可能エネルギーの代表的な存在として世界中で注目を集めています。その中でも、シリコン太陽電池に次ぐ次世代のエネルギー技術として「ペロブスカイト太陽電池」が大きな注目を集めています。ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟性があり、従来の太陽電池では難しかった場所での活用が期待されていることから、多様な分野での普及が期待されています。 2024年度には福島県内での実証実験が予定され、日本国内でも本格的な導入に向けた動きが始まっています。注目が集まるペロブスカイト太陽電池について、2回に渡りお伝えします。第1回目では、ペロブスカイト太陽電池の基本的な特徴やメリット、そしてシリコン太陽電池との違いについて、詳しく解説していきます。

2024年度の出力制御②優先給電ルールにおける新たな施策についての写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年08月28日

新電力ネット運営事務局

2024年度の出力制御②優先給電ルールにおける新たな施策について

再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大が進み、導入量が増えた結果、 電力需要が低い時期には「発電量過多」になり、全国的に 出力制御 が行われるようになってきました。この出力制御について、2回に渡りお伝えしています。 1回目はそもそも出力制御とは何か、増加している要因、過去の事例についてお伝えしました。今回は、経済産業省・資源エネルギー庁が優先給電ルールに基づく新たな施策を公表したので、その内容をご紹介します。

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす②ー盗難対策の重要性と太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてーの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年07月18日

新電力ネット運営事務局

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす②ー盗難対策の重要性と太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてー

太陽光発電施設から銅線が盗まれる事件が後を絶ちません。銅相場が高止まりし、売却狙いの犯罪が再生可能エネルギーの産業を脅かしています。1回目は太陽光発電設備が狙われる理由と自衛についてをお伝えしました。2回目は盗難対策の重要性と太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてお届けします。

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす①ー犯罪が増え続ける背景と自衛についてーの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年06月13日

新電力ネット運営事務局

太陽光ケーブル窃盗が再エネ普及を脅かす①ー犯罪が増え続ける背景と自衛についてー

太陽光発電施設から銅線が盗まれる事件が後を絶ちません。銅相場が高止まりし、売却狙いの犯罪が再生可能エネルギーの産業を脅かしています。第2回にわたり銅窃盗の再生エネルギー戦略への影響と各企業の防止策についてご紹介します。1回目は太陽光発電設備が狙われる理由と自衛について、2回目は太陽光ケーブル盗難から事業者を守るサービスや商品についてお届けします。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス