風力・太陽光・蓄電を統合した世界初のトリプルハイブリッド、豪Windlabが建設開始

2017年10月26日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

風力・太陽光・蓄電を統合した世界初のトリプルハイブリッド、豪Windlabが建設開始の写真

10月19日、豪Windlabは風力・太陽光・蓄電を統合したトリプルハイブリッドシステムの建設を開始すると発表しました。事業に協力するVestasによると、この3要素を統合したシステムは、発電所規模では世界初の取り組みとなります。Clean Energy Financeなどから資金を調達後、1億6000万ドルをかけて建設される予定です。

世界初の風力・太陽光・蓄電を統合したシステム

太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーは、天候などにより発電量が変わるため、系統に負荷をかけることとなります。その解決の一つとして、再エネ発電設備に蓄電池を併設することにより、出力変動を緩和する方法があります。

例えば、2017年4月にSBエナジーと三菱UFJリースは、蓄電池を併設するメガソーラー「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク2」を設置すると発表しています[関連記事]。

再エネと蓄電池を併設する手法は、系統負担の軽減策として今後も需要が見込まれますが、豪Windlabは風力・太陽光・蓄電を統合したトリプルハイブリッドシステムの建設を開始すると発表しました。事業に協力するVestasによると、この3要素を統合したシステムは、発電所規模では世界初の取り組みとなります。Clean Energy Financeなどから資金を調達後、1億6000万ドルをかけて建設される予定です。

それぞれの要素が補完、高い設備利用率を実現

風力・太陽光・蓄電を統合したトリプルハイブリッドシステムは「Kennedy Energy Park」と呼ばれ、オーストラリアQueensland州のFlinders Shireに建設されます。この地域は、Vestasによると世界トップクラスの風力と太陽光の資源に恵まれています。

「Kennedy Energy Park」は、43.2MWの風力、太陽光を追尾する15MWのメガソーラー、および4MWhのリチウムイオン蓄電池で構成されます。これらはVestas特注の生産制御システムによって管理されます。

風力発電はVestas製の風力発電「V136」が12基採用されています。ハブまでの高さが132メートル、1基当たりの出力が3.6MWと大規模であり、オーストラリアでまだ展開されていない最大の風力タービンです。リチウムイオン蓄電池はテスラによって提供される予定です。

システムは風力と太陽光の補完的な組み合わせによって、高い設備利用率を達成することができます。Vestasの制御システムによって、風力および太陽光が一体化された発電所として連動し、給電要件に適合可能な能力を提供します。

完成後、年間で約21万MWhの電力を生産することが期待されています。これは、平均的なオーストラリアの家庭35,000戸以上に電力を供給することが可能な電力量となります。

オーストラリアで進められるハイブリッド発電プロジェクトを支援

今回のプロジェクトは「1200 MW Kennedy Energy Park」の第1段階として計画されており、60.2MWの規模となります。「1200 MW Kennedy Energy Park」は、二酸化炭素排出の軽減と持続可能エネルギー生成においてクイーンズランド州北部およびオーストラリアに大きな恩恵をもたらすことを目指しています。

1200MWの規模を目指す第2段階は「Big Kennedy」と呼ばれ、クイーンズランド州政府の「Powering North Queensland Plan」の中心的な構成要素となっています。クイーンズランド州では夕方と夜に向けて風力資源が偏っているため、大量の太陽光発電をマッチングさせるのに理想的な環境です。そのため、ネットワーク全体のストレージ容量や、その他のピーク容量を削減することが可能であり、それが「Powering North Queensland Plan」の中心要素となっている理由の一つとなります。

今後さらにオーストラリアで進められるハイブリッド発電プロジェクトを支援していくために、Windlabはオーストラリア再生可能エネルギー庁を通じて、今回のプロジェクトで得た知見などをVestasと共有するとしています。

10年間のPPAをCS Energと締結

今回のプロジェクトは、WindlabとEurus Energy Holdingsの合弁会社であるKennedy Energy Park Holdingsが所有しており、1億6000万ドルをかけて建設される予定です。プロジェクトに必要な資産はWindlabとEurus Energyによって均等に提供され、Clean Energy Financeは、9400万ドルをプロジェクトに出資する予定です。また、オーストラリア再生可能エネルギー庁は、1800万ドルを返還可能な補助金の形で提供する予定です。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

2024年度にも国内で初導入が計画される潮流発電。世界の先進的な事例や、その仕組みと可能性とは!?の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年08月17日

新電力ネット運営事務局

2024年度にも国内で初導入が計画される潮流発電。世界の先進的な事例や、その仕組みと可能性とは!?

排他的経済水域世界第6位という海洋国である我が国において、海洋エネルギーは大きなポテンシャルを有しています。潮流発電は一定の規則性を持った潮汐力により、年間を通じて安定的で、予測可能な発電方式であることから今後の可能性として期待がされます。今回は、潮流発電(潮汐力発電)について紹介します。

太陽光パネルの廃棄とリユース・リサイクルの現状と課題の写真

一般社団法人 環境エネルギー循環センター(EECC)

2023年07月31日

EECC運営事務局

太陽光パネルの廃棄とリユース・リサイクルの現状と課題

導入が進んだ太陽光パネルの廃棄に関する問題について、政府が検討会を通じで業界団体にヒアリングをしています。その中で、実態が浮き彫りになってきた太陽光パネルのリユース・リサイクルの現状と課題についてご紹介します。

日本はポテンシャルが高い!?地熱発電を地域観光や企業の自家発電に活用の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年12月07日

新電力ネット運営事務局

日本はポテンシャルが高い!?地熱発電を地域観光や企業の自家発電に活用

電力高騰や原発再稼働などがメディアで取りざたされている電力業界。カーボンニュートラル社会に向けて、これから考えれることは何か。今回は、日本にはまだポテンシャルのあるクリーンエネルギーの一つである地熱発電を取り上げ、国内外の事例をご紹介します。

風力発電の最新の国内動向や、課題と解決策についての写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年09月29日

新電力ネット運営事務局

風力発電の最新の国内動向や、課題と解決策について

三菱商事の洋上風力の入札案件や豊田通商の陸上風力開発など、風力発電関連のニュースが多く取り上げられています。再生可能エネルギーとして日本では太陽光に次ぐ導入ポテンシャルがある風力発電の最新の国内動向をご紹介。また、課題や解決のための取り組みについても取り上げます。

世界で太陽光パネル廃棄に関する議論が加速。日本は24年にリサイクル義務化検討への写真

一般社団法人 環境エネルギー循環センター(EECC)

2022年09月08日

EECC運営事務局

世界で太陽光パネル廃棄に関する議論が加速。日本は24年にリサイクル義務化検討へ

今後、寿命を迎えた太陽光パネルの大量廃棄が起こるという懸念が世界中で広がっています。日本では、環境省が太陽光リサイクル義務化の検討にはいりました。そこで今回は、現状のリサイクル設備やパネル回収システムについてご紹介しながら、今後の廃棄・リサイクルの動きについて考えていきます。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス ビジネス屋と技術屋が一緒に考える脱炭素