法人向け 家庭向け

風力・太陽光・蓄電を統合した世界初のトリプルハイブリッド、豪Windlabが建設開始

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

風力・太陽光・蓄電を統合した世界初のトリプルハイブリッド、豪Windlabが建設開始の写真

10月19日、豪Windlabは風力・太陽光・蓄電を統合したトリプルハイブリッドシステムの建設を開始すると発表しました。事業に協力するVestasによると、この3要素を統合したシステムは、発電所規模では世界初の取り組みとなります。Clean Energy Financeなどから資金を調達後、1億6000万ドルをかけて建設される予定です。

世界初の風力・太陽光・蓄電を統合したシステム

太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーは、天候などにより発電量が変わるため、系統に負荷をかけることとなります。その解決の一つとして、再エネ発電設備に蓄電池を併設することにより、出力変動を緩和する方法があります。

例えば、2017年4月にSBエナジーと三菱UFJリースは、蓄電池を併設するメガソーラー「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク2」を設置すると発表しています[関連記事]。

再エネと蓄電池を併設する手法は、系統負担の軽減策として今後も需要が見込まれますが、豪Windlabは風力・太陽光・蓄電を統合したトリプルハイブリッドシステムの建設を開始すると発表しました。事業に協力するVestasによると、この3要素を統合したシステムは、発電所規模では世界初の取り組みとなります。Clean Energy Financeなどから資金を調達後、1億6000万ドルをかけて建設される予定です。

それぞれの要素が補完、高い設備利用率を実現

風力・太陽光・蓄電を統合したトリプルハイブリッドシステムは「Kennedy Energy Park」と呼ばれ、オーストラリアQueensland州のFlinders Shireに建設されます。この地域は、Vestasによると世界トップクラスの風力と太陽光の資源に恵まれています。

「Kennedy Energy Park」は、43.2MWの風力、太陽光を追尾する15MWのメガソーラー、および4MWhのリチウムイオン蓄電池で構成されます。これらはVestas特注の生産制御システムによって管理されます。

風力発電はVestas製の風力発電「V136」が12基採用されています。ハブまでの高さが132メートル、1基当たりの出力が3.6MWと大規模であり、オーストラリアでまだ展開されていない最大の風力タービンです。リチウムイオン蓄電池はテスラによって提供される予定です。

システムは風力と太陽光の補完的な組み合わせによって、高い設備利用率を達成することができます。Vestasの制御システムによって、風力および太陽光が一体化された発電所として連動し、給電要件に適合可能な能力を提供します。

完成後、年間で約21万MWhの電力を生産することが期待されています。これは、平均的なオーストラリアの家庭35,000戸以上に電力を供給することが可能な電力量となります。

オーストラリアで進められるハイブリッド発電プロジェクトを支援

今回のプロジェクトは「1200 MW Kennedy Energy Park」の第1段階として計画されており、60.2MWの規模となります。「1200 MW Kennedy Energy Park」は、二酸化炭素排出の軽減と持続可能エネルギー生成においてクイーンズランド州北部およびオーストラリアに大きな恩恵をもたらすことを目指しています。

1200MWの規模を目指す第2段階は「Big Kennedy」と呼ばれ、クイーンズランド州政府の「Powering North Queensland Plan」の中心的な構成要素となっています。クイーンズランド州では夕方と夜に向けて風力資源が偏っているため、大量の太陽光発電をマッチングさせるのに理想的な環境です。そのため、ネットワーク全体のストレージ容量や、その他のピーク容量を削減することが可能であり、それが「Powering North Queensland Plan」の中心要素となっている理由の一つとなります。

今後さらにオーストラリアで進められるハイブリッド発電プロジェクトを支援していくために、Windlabはオーストラリア再生可能エネルギー庁を通じて、今回のプロジェクトで得た知見などをVestasと共有するとしています。

10年間のPPAをCS Energと締結

今回のプロジェクトは、WindlabとEurus Energy Holdingsの合弁会社であるKennedy Energy Park Holdingsが所有しており、1億6000万ドルをかけて建設される予定です。プロジェクトに必要な資産はWindlabとEurus Energyによって均等に提供され、Clean Energy Financeは、9400万ドルをプロジェクトに出資する予定です。また、オーストラリア再生可能エネルギー庁は、1800万ドルを返還可能な補助金の形で提供する予定です。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

統計情報

統計情報(Excel含)

エネルギー関連の統計情報をExcel等にてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第5回】社会実装と中長期シナリオ 2030年代のロードマップと日本の戦略の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年12月27日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第5回】社会実装と中長期シナリオ 2030年代のロードマップと日本の戦略

これまで4回にわたり、核融合という次世代エネルギーの可能性を、研究・技術・制度の観点からたどってきました。長らく“夢のエネルギー”と呼ばれてきた核融合は、いま確実に社会の現実へと歩みを進めています。 最終回となる今回は、社会実装に向けたロードマップと、日本が描くべき中長期戦略を考えます。 核融合が“希望の象徴”で終わらず、私たちの暮らしに息づくエネルギーとなるために、次の時代に向けた道筋を描きます。

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第4回】制度設計・安全規制・地域産業化 社会実装に向けた最新動向の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年12月17日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第4回】制度設計・安全規制・地域産業化 社会実装に向けた最新動向

第1回では核融合の基本、 第2回では国内研究基盤、 第3回では民間企業による産業化の動きを整理してきました。 こうした技術・ビジネス面の進展を踏まえ、2025年後半には「社会実装」に向けた制度づくりや安全規制の検討が政府内や国際機関で動き始めています。国際基準への日本の参画や、地域での研究・産業活動の広がりなど、核融合を社会に組み込むための枠組み形成が進みつつあります。 本稿では、制度・安全・産業の三つの観点から、この転換点の現在地を整理します。

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第3回】民間企業が牽引する核融合ビジネスの現在地  国内外で加速する産業化の動きの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年11月30日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第3回】民間企業が牽引する核融合ビジネスの現在地 国内外で加速する産業化の動き

第1回では核融合の基本原理と方式を、第2回ではJT-60SAやLHDを中心に日本の研究基盤を整理してきました。近年は研究成果が民間へ移行し、実証炉開発や供給網整備が本格化しています。高温超伝導やAIなどの技術進展により小型化と効率化が進み、投資も拡大。本稿では国内外スタートアップの動向と商用化に向けた論点を整理します。

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第2回】国内研究最前線 JT-60SAとLHDが描く日本の核融合ロードマップの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年11月24日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第2回】国内研究最前線 JT-60SAとLHDが描く日本の核融合ロードマップ

地上に“小さな太陽”をつくるという挑戦が、いま日本の研究現場で確実に動き始めています。 第1回では、核融合がどのようにエネルギーを生み出すのか、その基本原理や世界的な動向について整理しました。今回はその続編として、日本が持つ二つの主要研究拠点、「JT-60SA(大規模トカマク型装置)」と「LHD(ヘリカル方式の大型装置)」に焦点を当て、国内で進む最前線の取り組みを詳しく解説します。 どちらも世界トップクラスの規模と技術を誇り、2030年代の発電実証を目指す日本の核融合開発に欠かせない“橋渡し役”として国際的にも注目されています。

政府も注目する次世代エネルギー、核融合の仕組みと可能性  【第1回】核融合“超入門” 地上に「小さな太陽」をつくる挑戦の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年11月13日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー、核融合の仕組みと可能性 【第1回】核融合“超入門” 地上に「小さな太陽」をつくる挑戦

地上に“小さな太陽”をつくる、そんな壮大な計画が世界各地で進んでいます。 核融合とは、太陽の内部で起きているように、軽い原子が結びついてエネルギーを生み出す反応のことです。燃料は海水から取り出せる水素の一種で、CO₂をほとんど出さず、石油や天然ガスよりもはるかに効率的にエネルギーを取り出すことができます。 かつては「夢の発電」と呼ばれてきましたが、近年は技術の進歩により、研究段階から実用化を見据える段階へと進化しています。 2025年6月当時は、高市早苗経済安全保障担当大臣のもと、政府が核融合推進を本格的に強化しました。 同月に改定された「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」では、研究開発から産業化までを一貫して支援する体制が打ち出されています。 今回はその第1回として、核融合の基本的な仕組みや核分裂との違い、主要な研究方式をわかりやすく解説します。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス