日本初、三井造船が機械式の波力発電装置を設置、9年間に及ぶ研究成果

2017年05月15日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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5月10日、三井造船は日本で初めて「機械式波力発電装置」を設置し、波力発電の実証試験を開始したと発表しました。新たな運転制御方法の効果、荒天時の耐久性の確認など実証項目を確認し、2017年の夏頃まで実施する予定です。

日本初、機械式波力発電装置が設置される、開発には9年間の歳月

四方を海に囲まれ、世界第6位の広大なEEZ(排他的経済水域)を有する日本において、海洋に存在する未利用の再生可能エネルギーに対する開発を行うことは重要です。そうした中、三井造船は日本で初めて「機械式波力発電装置」を設置し、波力発電の実証試験を開始しました。

今回の発電所は、東京都伊豆七島の一つである神津島の北側に位置する黒根沖で、離岸距離800m・水深32mの外洋に設置しています。4月17日に設置工事を終え、同日に発電を開始し安定した発電を継続しています(図1)。三井造船は2008年から機械式の波力発電の研究を開始しており、約9年をかけて沖合に設置可能な発電装置が完成、実証試験が出来る段階にきました。

機械式波力発電装置の外観

図1 機械式波力発電装置の外観 出典:三井造船

このプロジェクトは、2011年度から開始した「海洋エネルギー発電システム実証研究」の一環であり、発電コスト40円/kWh以下を実現する発電システムの確立に向けたものです。NEDOと共同して研究しており、三井造船から五洋建設、東京大学にそれぞれ委託を行い、開発を進めています。全体のとりまとめを三井造船が実施、現地施工は五洋建設に、海洋観測・シミュレーションは東京大学が協力しています。

この試験は、新たな運転制御方法の効果、荒天時の耐久性の確認など種々の実証項目を確認し、2017年の夏頃まで実施する予定です。

定格出力は3.0kW

装置の主な仕様は、装置定格出力は3.0kW、全長約13m、フロート直径2.7m、スパー直径1.0m、空中重量約10トンです。実証期間中の平均発電量は600Wが想定されています。今回の実証試験では系統連系は行わず、各種計器類、通信機器で利用します。余った電力はバックアップ用として、容量20kWhのリチウムイオン電池に常に供給します。

機械式波力発電装置は、波によるフロートの上下運動を回転運動に変換して発電を行います。今回の装置では、欧米に比べて比較的波エネルギーが小さい日本近海での発電効率の上昇と、豊富な漁場との共存を考慮した設置面積の最小化が図られています。三井造船が造波装置で培ってきた制御技術を用い、発電機をモータとして使って装置を励振させることで、より大きな発電量が得られます。

海洋エネルギー発電の世界・日本の状況

地球の表面積の7割を海洋が占めていることから、海洋エネルギーの賦存量は膨大なものとなります。例えば、英国産業貿易省によると、世界における潮流発電のポテンシャルは3000GWと試算されており、流速や地理条件からそのうちの3%が発電に利用可能であるとしています。

波力発電に関しては、世界全体のポテンシャルが1000~10000GWになるとの試算があり、世界全体の発電量約5000GWを上回る可能性もあります。近年の導入状況としては、OESのAnnual Report 2015によると、海洋エネルギー発電は欧州を中心に実証試験装置の導入が進んでおり、全世界で既に導入されている容量は530MW、合意が得られている計画容量は580MWとなっています(図2)。

各国の海洋エネルギー導入状況

図2 各国の海洋エネルギー導入状況 出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

ただ、現状では海洋エネルギー発電への投資は盛んではなく、環境エネルギー政策研究所によると、世界全体の再生可能エネルギーへの投資額32兆円(2014年)の内、海洋エネルギー発電は約0.15%(460 億円)です。その一方で、2030年における世界全体の海洋エネルギー発電の市場規模は4.8兆円に達するとの富士経済による予測もあります。

このように将来性のある海洋エネルギー発電ですが、日本の海洋エネルギー研究開発はグローバルの視点からは全体的に遅れています。欧米各国の海洋エネルギー研究開発が、波力・潮流を中心に一部実用段階にあり、実海域試験のStage4~5にあると言えるのに対し、日本はこれまで多くが初期の研究開発段階であり、陸域でのStage1~2にありました。

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