太陽光発電と海水のみで作物を育てられる農場がオーストラリアで開始

2016年11月09日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

太陽光発電と海水のみで作物を育てられる農場がオーストラリアで開始の写真

これまで、砂漠のように気候条件が厳しく水が少ない地域では、農業を営むことが難しいとされてきました。今回オーストラリアで開始された「Sundrop Farm」は、太陽光と海水を利用することにより、従来は農業に適さないとされた地域でも、高品質な生産物を生み出せるポテンシャルがあります。

太陽光発電と海水利用の農場、オーストラリアで開始

土壌も、殺虫剤も、化石燃料も、地下水も利用しない農場がオーストラリアのPort Augustaで運営開始しました。この農場では、太陽光発電と海水を活用し、作物を育てるのに必要な環境を整える技術を利用しています。化石燃料にも頼らないので、エネルギー市場の影響も受けず、土壌も利用しないので、天候や干ばつの影響も少ない仕組みとなります。

農地の広さは20ヘクタールに及び、そこでは150人の雇用を生みながら遺伝子組み換えではない作物が生産されています。Colesというオーストラリアのスーパーマーケットチェーンと協力関係にあり、750ものアウトレットに直販しています。そうすることにより、仲介を解さず、低価格を維持しています。

試験版は2010年から稼働

2010年には、南オーストラリア州に試験版として初のSundrop Farmが稼動を開始しました。その地域では、新鮮な水が不足しており、かつ厳しい気候のため、従来の伝統的な農業では適さないと考えられていました。しかし、そうした環境であっても、海水と太陽光を利用したSundrop Farmの技術が、高品質な生産物を生み出していました。

その後、2014年から太陽光発電を集約して発電するシステム等の着工が開始され、2016年10月に商業用規模の農場として本格稼働を開始しました。そのシステムの概要については、以下にて見ていきたいと思います。

Sundrop Farmの風景

図1 Sundrop Farmの風景 出典:Sundrop Farms Advisors

Sundrop Farmのシステム、太陽光をミラーで集約して発電

Sundrop Farmが太陽光と海水だけで作物を作る仕組みについて見ていきたいと思います。まず、電力については2万3千枚のミラーから集めた光を115メートルの受信タワーに集約し、それを電気に変換しています。その発電能力は、晴れた日には39メガワットもの電力を生み出すことが可能としています。

電力は海水を脱塩して真水にする淡水化プラントに利用され、ここで作物の育成に必要な水が作られます。淡水化プロセスは、化学的処理を必要とせず、純粋な蒸留である淡水を生産します。また、太陽熱を活用して温室を温めることが可能であり、逆に温室を冷やしたい場合は、淡水化していない海水が利用されます。この海水には、害虫を近づけない役割もあり、この機能が殺虫剤を利用しない農業の一助となっています。

また、従来のように土壌が使われておらず、ココナッツの殻を利用した水耕栽培が採用されています。栄養豊富なココナッツの殻により作物の成長を促し、かつ雑草の発生も抑えられます。農作物を育てるのには水が大量に必要となりますが、それは前述の海水から作った水や、ときには屋根に貯まった雨も利用されています。水は複数回にわたり再利用され、廃棄物は最小限に抑えられるとしています。

sundropシステムの概要

図2 sundropシステムの概要 出典:Sundrop Farms Advisors

現在、ポルトガルのOdemiraと米国のTennesseeでも農場建設が計画されています。さらに、砂漠の広がっている地域など、気候条件などが厳しく、従来は農業に適していないとされてきた地域でも、さまざまな農作物を栽培できるポテンシャルがあります。実際に、そうした不毛の地域であれば、従来農法の5~30倍の高い収穫を期待できるとしています。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

FIT買取期間が終了する2019年以降、新たな供給力と需要を獲得するビジネスチャンスにの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年12月19日

新電力ネット運営事務局

FIT買取期間が終了する2019年以降、新たな供給力と需要を獲得するビジネスチャンスに

12月18日、「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」が開催され、FIT制度からの自立に向けた事業環境の整備などについて検討が行われました。2019年以降、各発電所のFIT買取期間が順次終了しますが、その発電所は小売電気事業者やアグリゲーターにとって、新たな供給力と需要を獲得するビジネスチャンスとなります。

アジア初、セブン‐イレブンが路面に設置する太陽光発電設備を導入の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年12月14日

新電力ネット運営事務局

アジア初、セブン‐イレブンが路面に設置する太陽光発電設備を導入

12月6日、セブン‐イレブン・ジャパンは「セブン‐イレブン千代田二番町店」を、「ひとと環境にやさしい店舗」として開店すると発表しました。58種の技術による設備を採用しており、店舗全体の外部調達電力を約28%削減するほか、 対象設備に関連する作業時間を1日あたり約5.5時間削減することが可能となります。また、路面型太陽光発電設備の採用はアジア初となります。

世界最大の蓄電池が南オーストラリア州で運転開始、129MWhの規模で風力による電力受入の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年12月05日

新電力ネット運営事務局

世界最大の蓄電池が南オーストラリア州で運転開始、129MWhの規模で風力による電力受入

11月23日、南オーストラリア州政府は世界最大のリチウムイオン蓄電池が稼働開始したと発表しました。蓄電池を設置したのは米テスラであり、性能は100MW/129MWh、30000以上の家庭に十分な電力を供給する性能を保持しています。

千葉商科大学、メガソーラーなどの活用で日本初の「自然エネルギー100%大学」に、2020年度目標の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年11月15日

新電力ネット運営事務局

千葉商科大学、メガソーラーなどの活用で日本初の「自然エネルギー100%大学」に、2020年度目標

11月13日、千葉商科大学は、所有しているメガソーラー野田発電所等で発電するエネルギー量と、市川キャンパスにおいて消費しているエネルギー量を同量にする「自然エネルギー100%大学」を目指すと発表しました。同大学は日本の大学単体では日本一大きいメガソーラー発電所を所有しており、それを活用することで2018年度に「RE100大学」、2020年度に「自然エネルギー100%大学」を目指します。

世界最大の浮体式洋上風力発電所、スコットランド沖で稼働開始の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年10月31日

新電力ネット運営事務局

世界最大の浮体式洋上風力発電所、スコットランド沖で稼働開始

10月18日、ノルウェイのstatoilは浮体式洋上風力発電所をスコットランド沖で稼働開始したと発表しました。タービンの総出力は30MWで、浮体式洋上風力発電において世界最大規模であり、全長は253メートルに達します。その内の78メートルが海面下に沈み、構造物はバラストで浮上、ブイのように直立します。1基当たり3もの係留ケーブルが繋がることで安定する構造となります。