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【第1回】エネルギー価格補助制度の実像と制度設計を読み解く

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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家庭や企業にとって、電気料金や都市ガス料金の高騰は日々の暮らしや経営に直結する深刻な課題です。特に2022年から2023年にかけては、ウクライナ情勢の緊迫化や円安の進行、燃料価格の世界的な上昇が重なり、日本でも光熱費の負担感が急速に増しました。 こうした影響に対応するため、政府は2023年1月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を開始し、使用量に応じて毎月の請求額を国が一部負担する仕組みを導入。段階的な延長や追加支援を含めて、全国の家庭や事業者に広く適用されてきました。 本シリーズでは、エネルギー価格高騰に対する公的支援策の全体像と課題を3回にわたりお伝えします。第1回は「電力・都市ガス補助金」の変遷と制度設計の特徴を取り上げます。

図1:化石燃料輸入額の推移(2010〜2022年)
出典:資源エネルギー庁「エネルギーに関するさまざまな動きの今がわかる!『エネルギー白書2024』」

1. 電気・ガス価格激変緩和対策の全体像と変遷

(1) .制度の創設と仕組みの特徴

「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は、2022年10月の総合経済対策に基づき創設され、2023年1月使用分(2月請求分)から全国で補助が開始されました。主な目的は、電気・ガス価格の高騰による家庭や企業の負担軽減であり、申請を必要とせず、毎月の請求額から自動的に補助額を差し引く仕組みが採用されました。これは支援の迅速性と対象の網羅性を確保するうえで有効な制度設計と評価されています。

また、制度は全国一律の補助設計であったため、寒冷地やエネルギー集約型業種など、特定の条件下にある地域や事業者に対しても同じ単価が適用されました。地域差や業種特性に応じた精緻な設計には至りませんでしたが、支援の即時性と包括性を優先した結果といえます。

(2) .対象の拡大と補助単価の推移

補助制度は、導入後も物価や燃料価格の動向にあわせて補助単価が段階的に見直されてきました。2023年1月の制度開始時には、電気1キロワット時あたり7円、都市ガス1立方メートルあたり30円が補助されていましたが、その後のエネルギー市場の落ち着きに伴い、2023年5月には5円/15円に縮小。さらに同年10月には3.5円/12円程度へと再度引き下げられました。

当初は2024年6月使用分(7月請求)をもって補助が終了する予定でしたが、厳冬期の光熱費上昇に対応するため、2024年冬には一時的な追加支援が実施されました。この際には、電気が2〜3円、都市ガスが10円の範囲で補助され、寒冷地や使用量の多い家庭・企業への緩和策となりました。

その後、2025年夏には猛暑による電力需要の増加に備えて、7月から9月にかけて「夏期電気・ガス料金支援(第2フェーズ)」が実施されました。補助単価は月ごとに若干異なり、電気は2.0〜2.4円、都市ガスは8〜10円の水準で設定されています。こうした一連の措置は、単発の支援にとどまらず、経済・気候情勢に応じて柔軟に対応されてきたことを示しています。

図2:2025年夏期(7月〜9月)に実施される「電気・ガス価格激変緩和対策事業(第2フェーズ)」における支援単価
出典:経済産業省:資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」

2. 補助金の影響|支援単価の変遷と家計・産業への実質的効果

(1). 家計への影響:光熱費の実質負担を軽減

経済産業省の試算によれば、激変緩和対策により家庭の光熱費負担は1世帯あたり月額2,000〜3,000円程度軽減されたとされています【資源エネルギー庁『価格高騰対策について』】。とくに電力使用量が増える夏季や、暖房需要が高まる冬季には、家計支出への直接的な緩和効果がみられました。
ただし、この試算は制度導入初期(2023年1月)の高い補助単価を前提としており、その後の段階的な見直しによって、補助の実質的な効果は次第に縮小しています。

制度は申請不要で自動適用される点が利用者から評価されただけでなく、請求書には「国による補助額」が明記される「見える化」も導入されました。これにより、光熱費の内訳や政策支援の内容が視覚的にわかりやすくなり、省エネ意識の向上にも一定の効果をもたらしたと考えられます。

一方で、電気・ガス料金の高止まりが続く中、補助終了後の負担増や、節電・節ガスへの行動変容をどう促していくかが、今後の課題といえます。

(2).産業への影響:中小企業や高エネルギー業種の支援

産業界では、製造業をはじめ、宿泊業、外食業、小売業など、エネルギーコストが経営を圧迫する業種で大きな恩恵がありました。特に、中小企業にとっては、原材料高と光熱費高騰のダブルパンチを緩和する役割を果たし、雇用維持や営業継続につながったケースも報告されています。

一方で、補助金は時限的な措置であるため、経営判断には慎重さが求められました。補助単価の段階的縮小と制度終了を見据えて、企業は電力契約の見直し、業務用機器の高効率化、エネルギー使用の見直しなど、構造的な対応を迫られる場面も増えています。支援の有無に依存しないコスト管理能力の強化が、今後の競争力維持に向けた重要なテーマとなりつつあります。

3. 制度運用上の課題と自治体・事業者対応

(1). 事業者の対応負担とシステム調整

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