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大林組、3MWクラスの大型風力発電でも超大型クレーンを使わずに組み立てる装置を開発

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大林組、3MWクラスの大型風力発電でも超大型クレーンを使わずに組み立てる装置を開発の写真

5月19日、大林組は巴技研と共同で、大型風車であっても超大型クレーンを使わない組み立てを可能とする「ウインドリフト」を開発しました。陸上用では最大規模となる3MWクラス大型風車でも対応可能であり、建設コストの低減も期待できる装置となります。

大型風力でも超大型クレーンを必要としない装置

風力発電を大型化すると上空の強い風を捉えられるという利点がありますが、地組工法やシングルブレード工法という一般的な施行では、1,200t級の超大型クレーンが必要となります。しかし、この超大型クレーンは国内には数台しかないため調達が困難であるうえ、現場への輸送も容易ではありません。加えて、従来の地組工法やシングルブレード工法では双方とも、大きな施工ヤードが必要になることなどが課題でした。

そこで、大林組は巴技研と共同で、大型風車であっても超大型クレーンを使わない組み立てを可能とする「ウインドリフト」を開発しました。現在、陸上用では発電容量3MWクラス(支柱の高さ90m程度)の風車が最大となっていますが、その最大規模であっても超大型クレーンを必要としない仕組みとなります。

これまでにも「沖縄県島尻郡佐敷町佐敷風力発電所」や「茨城県真壁郡真壁町つくば風力発電所」など、同様の装置はありましたが、3MWクラスの大型風車への対応を可能とし、ハブとブレードの建て起こし機能を加えるなど、高機能化が実現しました。

10~20%程度のコスト低減など、3つの特徴

今回開発された装置「ウインドリフト」では、10~20%程度のコスト低減が可能です。それは、施工スペースを最大30%程度削減できることから、立木の伐採や造成などの準備工事を減らすことができ、加えて超大型クレーンにかかるコストも不要となるからです。

また、風力発電所は、強風下の立地に建設される為、山岳地など狭隘な地形であったり、海辺等の地盤が良くない場所である可能性も高いです。超大型クレーンが必要な場合、こうしたクレーンが搬入路走行不可である地域は大型風力の建設が難しいです。しかし今回の装置は10tトラックなどの運搬車両で搬入できることから、山間部、離島、狭あいな現場などのさまざまな場所に搬入できます。このように搬出入が容易なことから、風車が運転を開始した後の突発的な機材の交換修理などに迅速対応することも可能です。

加えて、風の影響を受けにくいこともあり、工程遅延のリスクを軽減できます。例えば、従来のハブとブレードをそれぞれ直接風車の支柱上端に取り付けるシングルブレード工法は、3MWクラスの風車建設の場合、超大型クレーンを使用して高所へ部材を吊り上げたうえで、取り付ける作業が必要です。このような高所での作業は、風の影響により工程が大きく左右されることが課題でした。一方で「ウインドリフト」では、ハブとブレードを立木上空(地上10m程度)で前もって水平に組み立て、油圧ジャッキにより安定してリフトアップすることから、風の影響を受けにくくなります(図1)。

ウインドリフトを用いた工法

図1 ウインドリフトを用いた工法 出典:大林組

大林組グループ最初の風力発電で利用

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