出力46,199kWの地熱発電が稼働開始、10,000kWを超える大規模地熱は国内23年ぶり
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2019年05月22日
一般社団法人エネルギー情報センター

山葵沢地域においては、湯沢地熱社(電源開発と三菱マテリアル及び三菱ガス化学が共同出資により2010年4月に設立)が、2015年5月から山葵沢地熱発電所の建設を進めてきました。その後、2019年5月20日、電源開発などは同発電所の営業運転を開始したと発表しました。出力10,000kWを超える大規模地熱発電所の稼働は、国内では23年ぶりとなります。
国内で23年ぶりの大規模地熱発電所
日本の地熱発電は、当時の工業技術庁が1947年に地熱開発技術委員会を設立し、各事業者が調査等を開始したことにより普及が始まりました。
1966年には、日本初の地熱発電所として、松川地熱発電所が完成しています。その後の1970年代、2度にわたる石油ショックを契機とし、東北・九州地域を中心に発電所建設が相次ぎました。1996年には地熱発電設備50万kWを達成し、この間で日本の地熱発電技術は世界有数となりました。
さらなる普及の契機となったのは、2012年に始まった「固定価格買取制度」です。ただ、同制度により地熱発電所は順調に普及しているものの(50件以上)、その多くが中小規模の案件となっています。
こうした中、大規模案件としては、山葵沢地域(秋田県)や、安比地域(岩手県)において開発が進められてきました。これらはいずれも、NEDO地熱開発促進調査により、地熱資源の賦存が確認された地域です。
山葵沢地域においては、湯沢地熱社(電源開発と三菱マテリアル及び三菱ガス化学が共同出資により2010年4月に設立)が、2015年5月から山葵沢地熱発電所の建設を進めてきました(図1)。その後、2019年5月20日、電源開発などは同発電所の営業運転を開始したと発表しました。

図1 位置図 出典:電源開発
今回の発電所は、秋田県湯沢市の有望な地熱資源を活用して、発電出力46,199kWの発電を行うものです。出力10,000kWを超える大規模地熱発電所の稼働は、国内では23年ぶりとなります(図2)。
湯沢地熱社は、山葵沢地熱発電所の安定稼働を通じて、再生可能エネルギーの活用拡大に貢献するとしています。
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