日立造船、国内製造業で初めてのグリーンボンドを発行、3年債50億円
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2018年09月19日
一般社団法人エネルギー情報センター
日立造船は9月、国内市場において公募形式による「日立造船グリーンボンド」の発行予定があることを発表しました。なお、今回の発行は、国内製造業で初めてのグリーンボンドの事例となります。
グリーンボンドについて
2006年に国連責任投資原則(PRI)が制定されて以来、ESG投資の広がりを背景に、環境問題への対策手段の一つとしてのグリーンボンドが国際的に注目されています。グリーンボンドとは、企業や地方公共団体等が、グリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券です。2007年に欧州投資銀行(EIB)が発行したのが始まりと言われています。
金融面での環境対策としては、グリーンボンドだけではなく、社会課題への対応を目的としたソーシャルボンド、両方の特性を有するサステナビリティボンド等があります。こうしたESG債は、基本構造は通常の債券と同じながら、環境課題、社会課題の解決に資する事業に係る資金調達を目的として発行される債券となります。
ただ、環境金融の動きは日本において発展途上であり、これまで製造業によるグリーンボンドの発行もありませんでした。こうした中、日立造船は、国内市場において公募形式による「日立造船グリーンボンド」の発行予定があることを発表しました。なお、今回の発行は、国内製造業で初めてのグリーンボンドの事例となります。
ごみ焼却発電の資金に充当
日立造船は「エネルギー」と「水」の環境分野をコア事業領域として、ごみ焼却発電をはじめ、風力発電、バイオマス発電などの再エネ普及に取り組んでいます。また、ごみ焼却発電施設事業は日立造船グループの主力事業であり、日本やアジア、欧州を中心に900件以上を手がけ、世界トップクラスの実績を有しています。
今回のグリーンボンドで調達される資金は、ごみ焼却発電施設の運転資金(資材購入等)に充当される予定です。ごみ焼却発電施設は、ごみの衛生的な処理および電力供給可能であり、CO2排出量の削減効果が認められます。
発行体は日立造船、発行年限は3年であり50億円となります。発行時期は2018年9月が予定されており、日立造船が受注して現在建設中のごみ焼却発電施設にかかる資材購入等の費用としての運転資金に充当されます。
主幹事は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券と野村證券の2社です。「グリーンボンド・ストラクチャリング・エージェント」は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券となります。なお、「グリーンボンド・ストラクチャリング・エージェント」とは、グリーンボンドのフレームワークの策定およびセカンドオピニオン取得に関する助言等を通じて、グリーンボンドの発行支援を行う者のことです。
グリーンプロジェクト概要
①京都市南部クリーンセンター第二工場(仮称) | ②菊池環境保全組合新環境工場 | |
---|---|---|
発注者 | 京都市 | 菊池環境保全組合 |
工事名称 | 京都市南部クリーンセンター第二工場(仮称)建替え整備工事 | 新環境工場(ごみ処理施設)整備及び運営事業 |
対象業務 | ごみ処理施設・管理事務所・環境学習施設の設計および施工 | ごみ処理施設の設計・施工および建設後の20年間の運営 |
処理量 | 500t/日(ストーカ炉 250t/日×2炉) | 処理量 170t/日(85t/日×2炉) |
発電能力/出力 | 14,000kW | 2,800kW |
選別資源化設備 | 180t/6時間 | — |
バイオガス化設備 | 60t/日(30t/日×2系列) | — |
竣工 | 2019年3月末 | 2021年3月末 |
環境省の補助金により第三者評価を取得
「日立造船グリーンボンド」は、第三者評価として、リスクマネジメントに関する先駆的国際機関であるDNV GL ビジネス・アシュアランス・ジャパンからセカンドパーティオピニオンを取得しています。また、第三者評価の取得については、環境省の平成30年度グリーンボンド発行促進体制整備支援事業の補助金交付象となっています。
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
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