関西大学、従来の100倍発電する摩擦発電を開発、靴に組み込み1歩でLED10個点灯
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2018年03月13日
一般社団法人エネルギー情報センター
関西大学システム理工学部の谷弘詞教授らのグループは、柔軟で軽量な摩擦発電機の開発に取り組んでおり、従来の100倍以上の発電量を有する摩擦発電機の開発に成功したと発表しました。靴のインソールに組み込むことで、1歩あたり0.6mWの発電量を達成しています。
従来の100倍以上の発電量を有する摩擦発電機、0.6mW/ステップの発電量
人の歩行や自動車の振動などで発電する環境発電は、IoT社会におけるセンサ用電源として注目されています。この環境発電について、関西大学システム理工学部・谷教授らのグループは、摩擦で発生する静電気を用いて発電する「摩擦発電機」の開発に数年前から取り組んできました。
関西大学の2017年度版シーズ集では、谷教授による摩擦発電の技術が紹介されており、1)フレキシブルでウェアラブルな使用に適している、2)構造が簡単なため生産性も高い、3)大面積化で電力増が容易といった特徴が記載されています。
摩擦発電に近いものとして、これまでエレクトレットや圧電素子を用いた振動発電が実用化されています。これらの発電方法についてシーズ集は、1)柔軟性がない、2)構造が複雑であり生産性が悪い、などの問題を指摘しており、摩擦発電はそれら課題を解決する可能性があります。
このようなメリットをもつ摩擦発電ですが、発電量について課題がありました。2017年度版シーズ集で紹介されている試作品では、50×50×8mmの摩擦発電器に、20Hzの圧力を繰り返し加えても、約10μWの発電量という結果になっていました。
しかし、2月26日に谷弘詞教授らのグループは、従来の100倍以上の発電量を有する摩擦発電機の開発に成功したと発表しました。50×50×6mmの摩擦発電機を靴のインソールに組み込むことで、1歩あたり0.6mWの発電量を達成しています。
歩行時の発電量については、開発当初は0.003mW/ステップと微弱でしたが、帯電フィルムを保持するゴムの表面粗さを工夫することで、発電量が0.6mW/ステップへ飛躍的に向上しました。この発電量によって、10個以上のLEDの点灯やワイヤレス回路の駆動が可能となります(図1)。
発電量を上げることでスマートフォンなどのバッテリー充電も可能に
摩擦発電機はゴム、帯電フィルム、電極から構成されており、軽量です。また、構造がシンプルでゴムがベースであるため、柔軟かつ低コストであり、さまざまな応用が考えられます。
例えば、靴に組み込めば歩くたびに発電し、ワイヤレス回路によってビーコン信号を発信し位置を知らせることが可能です(図2)。さらに、発電量を上げることで蓄電回路と組み合わせてスマートフォンなどのバッテリー充電も可能となります。
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
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