振動発電の新素材開発で20倍以上の出力、身のまわりやEVの振動を電気に変換

2018年02月16日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

振動発電の新素材開発で20倍以上の出力、身のまわりやEVの振動を電気に変換の写真

東北大学と東北特殊鋼は2月、振動発電機能を有するクラッド鋼板を共同開発したと発表しました。身のまわりの生活振動や、工場設備などの微小な振動を利用するIoTセンサー、省電力が課題のEVなどでの利用が期待されます。

振動発電の新素材開発、身のまわりやEVの振動を電気に変換

自然エネルギーの利用促進に対する意識の高まりとともに、環境中に素材する希薄なエネルギーを電気に変換するエネルギーハーベストが注目されています。対象となる環境エネルギーは、振動、光、熱、および電磁波など、身の回りに存在している未利用希薄エネルギーです。

この中で振動エネルギーを利用する振動発電は、振動や衝撃、動きから電気エネルギーを取り出す極めて汎用性の高い技術です。取り出すことができるエネルギー密度が他のエネルギー源に対して高いという点が、振動発電の特長の一つです(図1)。

直射日光は別として、振動発電は他のエネルギー源に比べて10~100倍の抽出可能なエネルギーを潜在的に有しているといえます。また、太陽光や風に比べると得られるエネルギー量は微小ですが、振動は自動車、鉄道、機械、人などが動くたびに必ず発生するため、気象・天候に左右されないエネルギー源です。

そのため、振動発電では例えば、電池のいらない無線センサシステムやリモコンが実現します。そのほか、振動を電源に、橋梁やトンネルなどインフラの状態管理や、機械のモニタリングがメンテナンスフリーになり、人やモノの動きを知らせることで防犯防災にも役立ちます。

各エネルギー減における単位面積当たりのエネルギー量

図1 各エネルギー減における単位面積当たりのエネルギー量

この振動発電に関して、東北大学と東北特殊鋼は2月、振動発電機能を有するクラッド鋼板を共同開発したと発表しました。身のまわりの生活振動や、工場設備などの微小な振動を利用するIoTセンサー、省電力が課題のEVなどでの利用が期待されます。

複雑な構造を必要とせず、単純な曲げ振動により発電可能

新開発のクラッド鋼板は、冷間圧延鋼板(SPCC相当)とFeCo系磁歪材料の冷間圧延板とを熱拡散接合させたものです。このクラッド構造によって、FeCo磁歪材料単独の場合よりも数倍から20倍以上の振動発電出力を得ています。また、電磁力学場の数値シミュレーションにより増幅機構解明にも成功しています。

今回開発されたクラッド鋼板は、従来から振動発電素子として知られている圧電素子と比較すると、微小な振動(加速度0.1G、振幅20µm、周波数50Hz)では25倍以上の出力が確認されています。IoTなどの無線センサー用電源としては十分な電力が得られ、破損しにくいという点も特徴です。

また、冷間圧延鋼板をニッケル板におきかえたクラッド構造にすると、より大きな出力(圧電素子の50倍以上)が得られます。超磁歪材料Galfenolに匹敵する発電性能を有する可能性もあり、調査が進められています。

圧電材料や超磁歪材料の板を用いた振動発電器においては、発電効率を大きくするため、板面方向の伸縮を大きくする平行梁構造のような複雑な構造がよく用いられます。しかし、今回のクラッド鋼板は、そうした複雑な構造を必要とせず、クラッド鋼板の単純な曲げ振動により発電ができることも特徴の一つです。

振動が微小なために機能しなかった箇所にも適用可能

東北大学と東北特殊鋼は、以前よりFeCo系磁歪材料の共同開発を行っています。東北特殊鋼では、2016年より自社の鋼材工場の設備の振動を利用したFeCo系磁歪材料による振動発電器を電源とするIoTセンサーシステムを試験的に運用しています。東北特殊鋼によると、今回開発されたクラッド鋼板による振動発電器を利用することで、これまで振動が微小なために機能しなかった箇所にシステムを拡大することも可能としています。

また、将来の大型化を想定した試験として、自動車を模した台車に振動発電を取り付けて走行させる実験が実施されています(図2)。東北大学によると、実験では数mW以上の出力が確認されており、実際の自動車ではW級あるいは路面状態によってはそれ以上の発電量が期待できるとしています。

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