ローソン、IoT化された店舗にコンビニ初の国産杉CLT使用、調達電力を6割削減見込み
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2018年01月22日
一般社団法人エネルギー情報センター
1月18日、ローソンはコンビニエンスストアとして初めて、断熱性能の高い国産杉CLTを使用した木造の環境配慮モデル店舗「ローソン館林木戸町店」をオープンすると発表しました。IoT化された店舗設備の導入などにより、外部調達する電力量を2016年度の標準的な店舗対比で約6割削減する見込みです。
群馬県に木造の環境配慮モデル店舗「ローソン館林木戸町店」をオープン
ローソンは2008年に広島県にて環境対策集約店をオープンし、それ以降「LED照明」「CO2冷媒冷凍冷蔵機」「太陽光発電設備」の新規・既存の店舗への導入を進めています。2009年からは店内の照明器具としてLED照明の使用を開始しており、現在ほとんどの店舗で導入済みです。
また、2010年からはフロン類と比較して地球温暖化係数が約1/4000のCO2冷媒を使用しており、大幅な省エネを実現しています。このノンフロン化に関しては、2017年11月時点で約2500店舗に導入されています。
そのほか、2012年からは店舗屋根上に12kW相当の太陽光パネルを設置して発電しており、10kW相当は売電し、2kW相当は店舗の消費電力に充当しています。太陽光発電については、2017年11月時点で約2000店舗に導入されています。
このように環境配慮を進めるローソンが、コンビニエンスストアとして初めて、断熱性能の高い国産杉CLTを使用した木造の環境配慮モデル店舗「ローソン館林木戸町店」をオープンすると発表しました(図1)。IoT化された店舗設備の導入などにより、外部調達する電力量を2016年度の標準的な店舗対比で約6割削減する見込みです。
コンビニ初、CLTの活用で省エネ
CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)は、厚みのある木板を木目が直交するように複数層重ね、接着剤で張り合わせた木質建築材料です。強度が高く、断熱性に優れています。建築物の省エネ・省CO2化が期待できることから、国はCLTの普及に向け平成32年度までのロードマップを示しています(図2)。
今回の店舗では、国産杉を使用したCLTを使用しています。そうすると、建築断熱性能が向上するため、電気使用量の削減による省エネと、店舗建設時のCO2排出量の削減が期待されます。
店舗の構造や内装に、国産杉を使ったCLTをはじめ、国産木材を使用(約62m3/店)することで、店舗建築時のCO2排出量を、約1.9ン‐CO2/店削減(標準店対比)する見込みです。
IoTを組み合わせ調達電力を6割削減見込み
今回の店舗では、IoT化された店舗設備の導入により、電力ピーク時の節電制御・受給調整が実現します。店内の要冷ケースやエアコン、LED照明、蓄電池、ウルトラエコアイスをIoT化することで、外部から自動で節電制御することが可能となり、電力の需給調整が実現します。
また、最新の省エネ施策や太陽光発電設備による創エネ施策を導入することで、外部調達する電力量が2016年度の標準的な店舗対比で約6割削減する見込みです。
ローソン館林木戸町店において採用された主な創エネ・省エネ設備
①太陽光発電システム
店舗屋根上に24kW相当の太陽光パネルを設置して発電。14kW相当は店舗の消費電力に充当。10kW相当は売電。
②蓄電池(ECHONET Lite対応)
店内に5.6kWh相当の蓄電池を設置し、太陽光発電システムで発電した電気の充放電を遠隔制御。受給バランスにあわせて充放電することで、電力調整力として活用。
③CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)
店舗の屋根・天井部の構造や内装に、断熱性の高いCLT(直交集成板)を使用し、建物の断熱性能を向上させることで、空調設備の負担を軽減。
④自動開閉換気窓
中間期(3月~5月頃、9月~11月頃)に、店内外の温度・湿度を感知し、窓を自動で開閉して快適な外気を取り入れ、空調設備の負担を軽減。
⑤地中熱利用給気ピット
床下ピットに溜まった地熱を店内の換気に活用。温度変化の少ない地熱を利用し、室内温度に近い外気を店内に給気(夏期25℃、冬期14℃を想定)することで、空調設備の負担を軽減。
⑥CO2冷媒冷凍冷蔵機(ECHONET Lite対応)
要冷ケースの室外機に、フロン類と比較して地球温暖化係数が約1/4000のCO2冷媒を使用してノンフロン化。地球温暖化防止とともに、大幅な省エネを実現。
⑦扉付きCO2冷媒要冷ケース(ECHONET Lite対応)
標準的な店舗ではオープンタイプの要冷ケースの一部に、ペアガラスの扉を設置。冷気漏れを防ぐとともに断熱性能を高めることで、冷蔵効率をアップ。
⑧ウルトラエコアイス(要冷蓄熱槽)(ECHONET Lite対応)
外気温の低い夜間に要冷室外機の運転を行い蓄熱槽内に氷をつくり蓄熱。外気温が高い昼間に、蓄熱槽内の熱エネルギーを使用して要冷ケースを冷却することで、エネルギーの消費効率を高めて省エネと蓄エネの両方を実現。
⑨LED照明(調光機能付き)(ECHONET Lite対応)
店舗の照明器具全てにLED照明を使用。天候に合わせて光の明暗を調節することで、さらに消費電力を抑制。
⑩省エネ実行支援システム
店舗に設置したタブレットに「省エネの実施案内」を通知するとともに、IoT化された店舗設備(要冷・空調・照明等)を電力ピーク時に「外部から自動で節電制御」できるシステムを導入。
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
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