CO2をプラスチックに変換する新しい銅触媒の開発、トロント大学発表
一般社団法人エネルギー情報センター

1月15日、トロント大学のTed Sargent氏が率いる研究者グループは、Nature CatalysisにてCO2をエチレンに変換する研究結果を発表しました。エチレンはポリエチレンの原料であり、温室効果ガスからプラスチックを生み出す可能性が示されました。
CO2をプラスチック製造に利用
世界では地球温暖化対策として、省エネルギー技術の開発や代替フロン削減対策等の温室効果ガス排出削減の取組みが行われています。
日本では、約束草案における2030年度の2013年度比26%の温室効果ガス削減目標に対する対策の1つとして、火力発電の高効率化が位置付けられています。この実現にはIGCCなどの次世代技術により、火力発電それ自体を効率化するほか、CO2を貯留または利用する技術(CCUS)の活用が重要です(図1)。

図1 CO2の回収、貯留・利用 出典:経済産業省
世界的に温室効果ガスの削減の必要性が高まる中、トロント大学のTed Sargent氏が率いる研究者グループは、Nature CatalysisにてCO2をエチレンに変換する研究結果を発表しました。エチレンはポリエチレンの原料であり、温室効果ガスからプラスチックを生み出す可能性が示されました。
メタンの排出量をほぼゼロに抑えながら、エチレン生産量を最大化
研究の中心は二酸化炭素還元反応であり、CO2は触媒の助けを借り、電流と化学反応を用いて他の化学物質に変換されます。この触媒について、金、銀、亜鉛は一酸化炭素を作ることが可能であり、スズとパラジウムはギ酸を作ることができます。そして、研究グループによると、プラスチックの材料となるエチレンは、銅のみが製造することができます。
Phil De Luna氏によると、「銅はメタン、エチレン、エタノールなど、さまざまな化学物質を作ることができますが、それを制御することは困難です」と述べています。しかし、研究グループは新たな銅触媒を設計し、メタンの排出量をほぼゼロに抑えながら、エチレン生産量を最大化する理想的な条件を特定しました(図2)。

図2 CO2をエチレンに変換するナノ構造銅触媒の表面 出典:Canadian Light Source
この結果は、CLSの上級科学者Tom Regier氏によって開発された装置により、研究者がCO2還元反応を通じて銅触媒の形態、化学的環境の両方をリアルタイムで研究することが可能となったためです。Rafael Quintero-Bermudez氏によると、「この装置によって、プロセスを改善する方法などについて、多くの研究課題を探究することができました」と述べています(図3)。

図3 X線分光法の研究や、材料特性解析などを行ったPhil De Luna氏(左)とRafael Quintero-Bermudez氏(右) 出典:Canadian Light Source
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