CO2をプラスチックに変換する新しい銅触媒の開発、トロント大学発表

2018年01月16日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

CO2をプラスチックに変換する新しい銅触媒の開発、トロント大学発表の写真

1月15日、トロント大学のTed Sargent氏が率いる研究者グループは、Nature CatalysisにてCO2をエチレンに変換する研究結果を発表しました。エチレンはポリエチレンの原料であり、温室効果ガスからプラスチックを生み出す可能性が示されました。

CO2をプラスチック製造に利用

世界では地球温暖化対策として、省エネルギー技術の開発や代替フロン削減対策等の温室効果ガス排出削減の取組みが行われています。

日本では、約束草案における2030年度の2013年度比26%の温室効果ガス削減目標に対する対策の1つとして、火力発電の高効率化が位置付けられています。この実現にはIGCCなどの次世代技術により、火力発電それ自体を効率化するほか、CO2を貯留または利用する技術(CCUS)の活用が重要です(図1)。

CO2の回収、貯留・利用

図1 CO2の回収、貯留・利用 出典:経済産業省

世界的に温室効果ガスの削減の必要性が高まる中、トロント大学のTed Sargent氏が率いる研究者グループは、Nature CatalysisにてCO2をエチレンに変換する研究結果を発表しました。エチレンはポリエチレンの原料であり、温室効果ガスからプラスチックを生み出す可能性が示されました。

メタンの排出量をほぼゼロに抑えながら、エチレン生産量を最大化

研究の中心は二酸化炭素還元反応であり、CO2は触媒の助けを借り、電流と化学反応を用いて他の化学物質に変換されます。この触媒について、金、銀、亜鉛は一酸化炭素を作ることが可能であり、スズとパラジウムはギ酸を作ることができます。そして、研究グループによると、プラスチックの材料となるエチレンは、銅のみが製造することができます。

Phil De Luna氏によると、「銅はメタン、エチレン、エタノールなど、さまざまな化学物質を作ることができますが、それを制御することは困難です」と述べています。しかし、研究グループは新たな銅触媒を設計し、メタンの排出量をほぼゼロに抑えながら、エチレン生産量を最大化する理想的な条件を特定しました(図2)。

CO2をエチレンに変換するナノ構造銅触媒の表面

図2 CO2をエチレンに変換するナノ構造銅触媒の表面 出典:Canadian Light Source

この結果は、CLSの上級科学者Tom Regier氏によって開発された装置により、研究者がCO2還元反応を通じて銅触媒の形態、化学的環境の両方をリアルタイムで研究することが可能となったためです。Rafael Quintero-Bermudez氏によると、「この装置によって、プロセスを改善する方法などについて、多くの研究課題を探究することができました」と述べています(図3)。

X線分光法の研究や、材料特性解析などを行ったPhil De Luna氏(左)とRafael Quintero-Bermudez氏(右)

図3 X線分光法の研究や、材料特性解析などを行ったPhil De Luna氏(左)とRafael Quintero-Bermudez氏(右) 出典:Canadian Light Source

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

安価な紙バイオマスからリチウム硫黄電池を製造、リチウムイオン電池の2倍以上を蓄電可能の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年04月18日

新電力ネット運営事務局

安価な紙バイオマスからリチウム硫黄電池を製造、リチウムイオン電池の2倍以上を蓄電可能

レンセラー工科大学は4月、安価かつ豊富に存在する紙バイオマスを使用してリチウム硫黄電池を製造する方法を開発したと発表しました。リチウム硫黄電池は、現在主流であるリチウムイオン電池の2倍以上のエネルギーを蓄積できるとされています。

中部電力、LNG火力発電所で発電効率63.08%を達成、世界一の効率でギネス認定の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年03月29日

新電力ネット運営事務局

中部電力、LNG火力発電所で発電効率63.08%を達成、世界一の効率でギネス認定

3月27日、中部電力および東芝エネルギーシステムズは、中部電力西名古屋火力発電所7-1号において発電効率63.08%を達成し、世界最高効率のコンバインドサイクル発電設備としてギネス世界記録認定を受けたと発表しました。

関西大学、従来の100倍発電する摩擦発電を開発、靴に組み込み1歩でLED10個点灯の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年03月13日

新電力ネット運営事務局

関西大学、従来の100倍発電する摩擦発電を開発、靴に組み込み1歩でLED10個点灯

関西大学システム理工学部の谷弘詞教授らのグループは、柔軟で軽量な摩擦発電機の開発に取り組んでおり、従来の100倍以上の発電量を有する摩擦発電機の開発に成功したと発表しました。靴のインソールに組み込むことで、1歩あたり0.6mWの発電量を達成しています。

これまでの5倍の速度で充電できるリチウムイオン電池、ウォーリック大学発表の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年03月01日

新電力ネット運営事務局

これまでの5倍の速度で充電できるリチウムイオン電池、ウォーリック大学発表

ウォーリック大学は2月、リチウムイオン電池の新しいセンサー技術開発により、これまでの5倍の充電速度が実現することが判明したと発表しました。この新システムは、電気自動車や系統バランシングなど、高度な充電システムが必要とされる場において役割を果たすと考えられます。

蓄電池なしでも再エネ100%を達成する2050年のシナリオ、スタンフォード大学発表の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年02月22日

新電力ネット運営事務局

蓄電池なしでも再エネ100%を達成する2050年のシナリオ、スタンフォード大学発表

2月にスタンフォード大学の研究者が、再エネ100%を達成しながら、グリッドを安定させる方法を論文の中で示しました。2050年に向けた3つのシナリオを提示しており、その中の1つは蓄電池を利用しない未来を描いています。これらのソリューションは、エネルギー需要だけではなく、健康および気候変動の被害を軽減します。