ジンコソーラー、P型多結晶シリコン太陽電池にて世界最高の22.04%を達成
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2017年10月16日
一般社団法人エネルギー情報センター
10月2日、中国のジンコソーラーが、PERCを活用したP型多結晶シリコン太陽電池にて世界最高の22.04%を達成したと発表しました。前回の記録は、1年前にドイツのFraunhofer ISEが達成した21.63%であるため、0.41%の向上を達成したこととなります。
年々と向上する発電効率、2016年は世界平均で17.5%
世界において太陽光発電の規模は拡大を続けており、ドイツのITRPVによると、2016年において累積導入量が300GWpを突破したとされています。こうした大量導入によって学習効果などが働き、2016年1月には0.58US$/Wpであったモジュール価格は、2017年8月には0.35US$/Wpと6割程度となりました。
発電効率も年々と向上しており、世界市場において、2010年には平均モジュール効率が14.7%であったのに対し、2016年には17.5%と約1.2倍になっています。ITRPVのレポートによると、今後も効率が向上していくと予測されており、例えば、PERC技術を活用したP型の多結晶シリコンについては、平均セル効率が2016年度の約19.2%から、2027年には約21.5%にまで上昇するとされています(図1)。
図1 156×156mm2のセルにおける技術別の平均変換効率の予測推移 出典:International Technology Roadmap for Photovoltaic
太陽光発電の構造については、現在8割ものシェアを持つ裏面電極(BSF)から、今後は効率化が期待できる裏面不動態型セル(PERC)へと移行していくと考えられます。2027年にはBSFは約1割程度までシェアを落とし、一方でPERCは6割を占め主流になっていくことが想定されます(図2)。
図2 セル技術ごとの世界シェア 出典:International Technology Roadmap for Photovoltaic
世界最高の発電効率22.04%、ジンコソーラーが達成
今後シェアが伸びていくと期待されるPERC型において、中国のジンコソーラーが、P型多結晶シリコン太陽電池にて、世界最高の22.04%を達成したと発表しました。前回の記録は、1年前にドイツのFraunhofer ISEが達成した21.63%であるため、0.41%の向上を達成したこととなります。
ジンコソーラーは、世界90ヶ国以上の顧客に太陽光発電所、商業⼜は住宅⽤太陽光発電製品、ソリューションと技術サービスを提供する企業です。2016年には6.65GWの製品を出荷(図3)、太陽光発電⽤パネルメーカーとして世界⼀の出荷量を達成しました。
2017年6月30日時点で、垂直統合ソーラー製品バリューチェーンを構築することで、シリコンインゴットとウエハーで6.0GW、太陽電池で4.5GW、太陽光発電モジュールで7.5GWの年間総発電容量を持ちます。また、世界各地に生産施設や子会社を持ち、計1万5000人以上を雇用しています。
図3 太陽電池モジュール出荷量の推移 出典:ジンコソーラー
アンチLID技術でPERC特有の問題を克服
記録を達成した太陽電池は、多結晶シリコン基板上にホウ素が添加されたものとなります。高度なテクスチャリング、パッシベーション、およびアンチLID技術が、PERC構造に統合されることで、22.04%という世界記録を達成しました。
基本的なPERC構造のパネルでは、セル内部の構造変化によって出力が低下する「LID現象」が発生します。今回、ジンコソーラーが用いたアンチLIDとは、PERC構造の太陽電池に見られる出力低下を抑制する技術です。
単結晶シリコン型ではLID現象が起きやすいため、PERCでは多結晶が用いられることが一般的です。今回の記録を達成した太陽電池も、多結晶が用いられています。
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一般社団法人エネルギー情報センター
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