太陽光発電の陰を利用した農業、日射不要のキクラゲを栽培作物に、地元の雇用にも
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2017年09月04日
一般社団法人エネルギー情報センター
8月31日、サステナジーは「登米善王寺太陽光発電所」および「加美八幡堂太陽光発電所」において、太陽光発電とキクラゲ栽培を両立するソーラーシェアリング事業を開始したと発表しました。日射不要なキクラゲを栽培作物として選定することで、太陽光発電の陰の部分で農業を営むことが可能となります。
太陽光発電の影を活用したソーラーシェアリング
平成24年7月に開始されたFIT制度により、再生可能エネルギー発電の事業採算性が向上することで、農山漁村における新たな所得機会の可能性が生じています。そのため、農地に支柱を立てて、営農を継続しながら太陽光発電設備を設置するソーラーシェアリングの導入が進んでいます。
ソーラーシェアリングは、耕作放棄地の有効活用や新たな雇用創出などによる地域の活性化が見込める事業モデルです。 農地転用許可の件数に関しては、平成25年度の97件から平成27年度には374件と3.5倍以上になっており、さらなる普及が期待されています。
H25年度 | H26年度 | H27年度 | 合計 |
---|---|---|---|
97 | 304 | 374 | 775 |
表1 営農型発電設備を設置するための農地転用許可実績(単位:件数) 出典:農林水産省資料より作成
こうした中、8月31日、サステナジーは「登米善王寺太陽光発電所」および「加美八幡堂太陽光発電所」において、太陽光発電とキクラゲ栽培を両立するソーラーシェアリング事業を開始したと発表しました。日射不要なキクラゲを栽培作物として選定することで、太陽光発電の陰の部分で農業を営むことが可能となります。
「登米善王寺太陽光発電所」と 「加美八幡堂太陽光発電所」 出典:サステナジー
年間約4万kgの収穫量、電力は全量が東北電力へ売電される見込み
ソーラーシェアリングは、日射を必要とする作物を生産するために小型の太陽光パネルを採用し、下部の農地にも太陽光を採り入れるのが一般的です。しかし今回の案件では、太陽光発電システムを建設することによってできる影を活用するため、日射の不要なキクラゲが選定されました。 なお、キクラゲは国内で流通している商品の9割以上が中国からの輸入に依存しており、希少価値の高い国産品はニーズが高いです。
営農については、2017年6月より宮城県の農業生産者であるアグリ古川農産とスワンドリームが地元の住民を新たに雇用し、栽培を開始しています。全ての面積を使用して栽培すると年間約4万kgの収穫量になります。
太陽光発電の発電開始時期は2017年9月末の予定であり、全量が東北電力へ売電される見込みです。発電容量は、「登米善王寺太陽光発電所」および「加美八幡堂太陽光発電所」の双方ともに2MWとなります。
ソーラーシェアリングでのキクラゲ栽培、(左)「登米善王寺太陽光発電所」(右)「加美八幡堂太陽光発電所」 出典:サステナジー
日立キャピタルがプロジェクトファイナンス型リースを提供、大和ハウス工業がEPCおよびO&M
今回の案件では、日立キャピタルが太陽光発電設備のプロジェクトファイナンス型リースを提供し、大和ハウス工業が設計・調達・建設(EPC)および保守(O&M)を行います。
日立キャピタルグループは2003年に風力発電分野で業界に先駆けて金融サービスを提供して以来、風力や太陽光などの地球環境に配慮した再生可能エネルギーの普及に貢献してきました。大和ハウスグループにおいては、エネルギー事業として太陽光発電所を全国191ヶ所187MW(2017年3月末時点)稼働させています。
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一般社団法人エネルギー情報センター
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