藻のバイオ燃料への転換に道筋、光合成能力を調べる方法開発、九州大学
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8月24日、九州大学は重水を使って、藻類の一種であるミドリムシの光合成能力を調べる方法を開発したと発表しました。ミドリムシは光合成によってバイオ燃料にも使える油脂を造り出しますが、今回の研究により光合成能力の高いミドリムシを選別することで、効率的なエネルギー生成が期待されます。
農業と競合しない「藻」をバイオ燃料に、光合成能力を調べる方法を開発
バイオ燃料は、バイオマスを原料にしてつくられる燃料のことです。二酸化炭素を吸収して成長した植物に由来するため、京都議定書では消費しても二酸化炭素の排出はないものとみなされます。このバイオ燃料のうち、バイオエタノール(ガソリンの代替燃料)とバイオディーゼル(軽油の代替燃料)は、輸送用燃料などとして世界中で利用されています。
日本においては、平成26年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画において、バイオ燃料は温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーとして位置付けられ、「国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、導入を継続する」こととされています。
一方で、バイオ燃料の増産は、食料・飼料価格の高騰だけでなく、自然環境への影響も懸念されます。そのため、欧米では食料競合を招く可能性がある第一世代バイオ燃料の導入を制限し、藻類等を原料とする次世代バイオ燃料の導入や開発を促進しています。
藻類は水中に生息している植物の総称であり、主に光合成によって増殖します。その一部には育成の過程において燃料を生産するものがあり、世界の諸問題に対する効果的な解決策として藻の活用が注目されています。
藻類が注目される理由の一つとして、単位面積当たりのエネルギー生産量がバイオ系では最大という点があります。次世代火力発電協議会の資料によると、藻類は同じ再生可能資源であるパームと比較して、単位面積当たり2-10倍の生産性を持つとしています。また、藻類の培養には、土を必要としないため、農業と競合しないという特徴も持ちます。
こうした次世代エネルギーとして期待される藻類について、九州大学は重水を使って、藻類の一種であるミドリムシの光合成能力を調べる方法を開発したと発表しました。ミドリムシは光合成によってバイオ燃料にも使える油脂を造り出しますが、今回の研究により光合成能力の高いミドリムシを選別することで、効率的なエネルギー生成が期待されます。
光合成の原料となる水の代わりに「重水素」を利用
ミドリムシは光合成によって、水と二酸化炭素から糖類を生産します。ストレス環境下では、この糖類をパラミロン顆粒として備蓄し、さらにバイオ燃料にも使える油脂に転換します。
こうしたプロセスにより藻類はバイオ燃料を作りますが、藻類によるバイオ燃料の実用化には高い光合成能力が要求されます。そのため、光合成能力の高いミドリムシ個体を探し出すことができれば、藻類による再生可能なエネルギーの実用化が前進します。
九州大学の研究グループは、光合成の原料となる水の代わりに、通常の水素よりも重い「重水素」を持つ水(重水)を使って、光合成により重水素をミドリムシに取り込ませました。そして、ラマン分光法を原理とした顕微鏡で観察した所、重水素標識された個体の見分けが実現しました(図1)。この手法は、光合成能力の高いミドリムシを選別する方法として活用が期待できるものです。

図1 光合成により重水素をミドリムシへ取込ませラマン顕微鏡で追跡する手法の模式図 出典:九州大学
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